10/24に閉幕した、
中国『CBSAツアー 北京・密雲戦』
(男女併催。9ボール)。
本戦(ステージ2)の出場権利がなかった
日本の平口結貴プロは、
現地直前予選(ステージ1)に参加し、
予選2日目で本戦の権利を得て、
強敵ぞろいのフィールドを勝ち進み、
3位タイという戦績を残しました。
6月の『CBSAツアー 泰順戦』に続き、
海外戦で2度目の3位入賞です。
準決勝(vs 陳思明)で敗れた翌日、
平口プロからコメントをいただきました。
まず口をついて出た言葉は、
「起きたら悔しすぎて大変です」でした。
準決勝は本当に素晴らしい試合でした。
未見の方はこちらから。
…………
Yuki Hiraguchi
JPBA50期生
1997年7月11日生(22歳)
北海道出身・在住
Vivapool(北海道)所属
ビリヤード歴は約14年
2013年『全日本ジュニア』
(JOCジュニアオリンピックカップ)優勝
2013年『世界ジュニア』(南アフリカ開催)準優勝
2014年『女流球聖戦』挑戦者(東日本代表)
2015年『アマナイン』優勝
2015年『アジア選手権』ジュニア女子の部3位
2016年『第8女流球聖戦』球聖位
2016年7月プロ入り
2016年『関東レディースオープン』優勝
2017年『ジャパンオープン』優勝
2018年『東海グランプリ』優勝
2019年『全日本女子プロツアー第2戦』優勝
2019年 中国『CBSAツアー 泰順戦』3位、同『北京 密雲戦』3位
使用グローブはOWL
公式サイトは http://yuki-hiraguchi.jp/
…………
――CBSAツアーで2度目の3位です。
「今になってめちゃめちゃ悔しいです。
でも、ステージ1から挑戦して、
3位まで行けたことは良かったです。
全体的に見て充実した遠征になったと思います。
『私もこのレベルの舞台で戦えるんだな』
という確信みたいなものが得られました」
――6月の『泰順戦』に続く2度目の3位。
前回と今回で受け止め方は違っていますか?
「違います。
ちょうど鳴海さん(コーチの鳴海大蔵プロ)とも
そういうことを喋ってたんですけど、
『泰順戦』はだいぶ僻地での開催だったので、
出てないトッププレイヤーもいました。
今回は前回よりはメンバーが
揃っている中で3位に行けたので、
より大きな価値があると思います。
そして、今回の方が会場が大きくて、
カメラの数も多くて、中国の人達に
私の名前と顔を覚えてもらう
チャンスだなとも思っていたので、
そこで勝ち上がって行けたことには
大きな意味があると思います。
それだけに、
『あそこでもっとこういうふうに
出来ていたら……』と考えてしまって、
すごく悔しいです(苦笑)」
――今回はステージ1(現地直前予選)から
参加して、予選2日目に
ステージ2の権利を獲りました。
「日本の『TOPS』
(自遊空間イベント。埼玉)から
そのまま(地元・北海道には戻らずに)
中国に入ったんですけど、
『TOPS』の時から精神状態が良くなかったのに、
それに自分では気付けてなかったです。
鳴海さんはもちろん気付いていて、
『自信を持ってやれば大丈夫』と言うんですが、
私はどうしても自分のプレーに自信が持てなくて、
ステージ1の初日は萎縮してました。
海外ではすぐそうなってしまうんです。
ステージ1初日が終わった時は、
鳴海さんと考えや意見がかみ合わなくて、
一時は話が出来ない状態になってしまいました。
でも、2日目の朝になって
互いに落ち着いて話し合うことが出来ました。
今大会の一番のポイントは
あの2日目の朝ですね。
鳴海さんが私の精神面を立て直してくれたし、
私もやるべきことが整理出来てきた。
そしてその日ステージ1を通過出来ました」
――今回はほぼ同時期に行われていた
『北陸オープン』には出ずに、
中国遠征を選びました。
「国内のランキングを
全く気にしないでいることは出来ないし、
やっぱりポイントの計算とかも
考えてしまうんですけど、
『もしランキングを気にしないで良いとしたら、
今行きたいのはどちらか』と考えて、
『中国に行きたい』という
その時の自分の素直な気持ちを、
鳴海さんとマネージャーさんに伝えました。
結果としては、
たくさん貴重な経験が出来ただけでなく、
今回の結果でCBSAのランキングも上がって、
今後また中国に来やすくなる
(ステージ2から出やすくなる)でしょうし、
3位でも賞金は結構大きかったので
(日本円で約92万円)、
良い決断だったかなと思います」
――今大会でのご自身のプレー内容を
どう評価してますか? BDが見る限り、
ブレイクは全女子選手の中でも
1番ぐらいに良かったと思いますし、
トップ選手達と肩を並べるレベルの
ショット力・ランアウト力を
発揮していたと思います。
「そうですね。
ブレイクは今まで出た海外トーナメントの中で
一番良く決まってたなと思いますし、
ブレイクに助けられたと思う場面もあります。
例えば、グループラウンド初戦の陳佳樺戦(台湾)。
ヒルヒルになって、最後は私のブレイク番。
マスワリで終わらせられたんです。
緊張が高まってきた時でも、
いつもと同じようにブレイクが出来たというのは、
ブレイクに対しては気持ち的なブレとか
波がないからなんだろうなと思います」
――あのブレイクは以前BDでもお聞きした
スタイルの発展型と言って良いでしょうか?
「そうですね。根本の部分は同じで、
さらに改良していったものです。
同じブレイクスタイルの人は
海外にもまだいないと思います。
私が見た感じでは、牟可由(台湾)も
すごくブレイクが良かったです」
――ブレイク以外のプレー面は?
「今回は自分でもちょっとだけ
『良い方向に変わってこれたかもしれない』
と実感出来ました。
でも、まだ波が大きすぎます。
気持ちが完全に整っていて、
ある一定のラインより上に行けば、
良いプレーが出せるんですけど、
ラインの手前の精神状態だと、
とたんに安定感がなくなって、
良いショットが少なくなります。
グループラウンドの韓雨戦、
私が4-1に出来る9番を外しましたけど、
あれはもろにそれです(結果6-7で敗戦)。
私の性格上、
自分に自信が持てない時が多くて、
どうしてもプレーのレベルにも
上下の波が出てしまう。そこは課題です」
――「上下の波」は負けた試合で出やすい?
「勝ってる試合でも出ています。
例えば、ベスト8のアミット戦は
全体的に良かったと思うんですけど、
ベスト16の白鳩戦は
ちょっと危ない状態になってました。
あとは単純に、
決勝トーナメントは9ラック先取で
グループラウンド(7ラック先取)より長いので、
序盤に良いプレーをしていても、
『このまま最後まで行けるはずがない』
って考えちゃうんですよね(苦笑)」
――もう一歩上に行くために必要なものとは?
「まだまだいっぱいありすぎて(笑)。
自分でも何が足りないのかなって
考えたんですけど、
準決勝(vs 陳思明)を振り返ってみると、
自分の状態も内容も、顔つきや振る舞いとかも、
今大会で一番っていうぐらい良かったし、
今回に限ってはブレイクは
私の方が相手より良かった。
でも、メンタルの強さ、
球に魂がこもっていたかどうか
というところで言うと、
私も同じぐらい気持ちをこめたつもりですけど、
まだ足りてなかったかなと。
どこかで弱気な自分が
顔を出してしまってたんだと思います。
だからまずは、今回の準決勝ぐらいの
プレーは『当たり前に出来るんだ』と、
自分をもっと信じるところからですね。
その上であとは楽しむことを忘れずに。
そしてテーブルから離れても、
試合の合間でも、いちプレイヤーとして
強気に堂々と振る舞うこと。
海外選手は皆、上手い下手は関係なく、
会場ではいつも強そう、上手そうに
振る舞っているし、堂々と撞いていますから。
あとは……、あぁ、色々あるなぁ……(笑)」
――今年、あとは『全日本選手権』と
『世界選手権』を残すのみです。
「2大会とも優勝を目指して準備をします。
本番までの1、2ヶ月の間にも
技術は伸ばせると思うし、
ブレイクの安定感をもっと高めたいです。
特にセーフティと空クッション。
今までも練習してきていて
前よりはだいぶ良くなったと思うけど、
もっと上手くならないとトップレベルでは
戦えないなと実感したので、
練習量を増やしていきたいです。
そして今回の経験を通じて、
『自分の芯』というものを持つことの大事さを
痛感したので、もっと自分を見つめて、
自分のプレーに自信を持てるようになりたいです」
――わかりました。
最後に応援してくれた方々へ一言。
「今回私はステージ1の初日で
いきなりおかしくなりましたけど、
いつも応援・サポートしてくださっている
方々のおかげで、気持ちを立て直して
3位まで行くことができました。
ファンの方、Vivapool(札幌)のお客さん、
北海道の皆さん、メンタルコーチさん、
お母さん、コーチとマネージャー、
スポンサーの方々、ありがとうございました。
本当に皆さんの応援が励みになりました。
また全日本選手権と
世界選手権でも応援をよろしくお願いします」
(了)
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