「仕事も趣味もビリヤード」
「ビリヤードだけで生きている」
という人はほんの一握り。
多くの人は一般の職に就き、
余暇にビリヤードを楽しんでいます。
仕事と球、どちらもおろそかにせず、
時間と体力をやりくりする苦労を
多くの人が味わっているでしょう。
でも、中には、
仕事にもビリヤードにも全力投球で、
自分の流儀で成果を上げ、
名を知られている人がいます。
そんな熱い撞球人を紹介する
新インタビュー企画を始めます。
第1回にご登場いただくのは、
「アマローテ」タイトルを持ち、
KRC(京都ローテーションクラブ)で
理事長を務めている今村哲也さん。
普段は自ら興した清掃業と
鳥害対策の会社で勤務しています。
ビリヤードとの出会いは高校時代。
一時はプロへの道を志望していた
という今村さんの撞球ヒストリーを。
…………
今村哲也:Tetsuya IMAMURA
生年月日:1981年6月27日生まれ(取材時38歳)
血液型:A型
出身・在住:京都府出身京都府在住
職業:株式会社クリーンオネスト・代表取締役社長
所属店:VAMP(京都市伏見区)
所属団体:KRC(京都ローテーションクラブ)現理事長
プレーキュー:アダムジャパン『MUSASHI』(倭)(シャフトは早川工房オリジナル10分割)
主な戦績:
2014年『全国アマチュアビリヤード都道府県選手権大会』(国体記念大会)3位タイ
2017年『アマチュアポケットビリヤード選手権大会』優勝
2019年『日本縦断関西オープン』準優勝
憧れのプレイヤー:折戸和幸(KRC元理事長)
ビリヤードを教えてくれた人:当時の周りのプレイヤー全員
ビリヤード以外の趣味:スポーツジム、2ヶ月に1回のフットサル、冬はスノーボード
座右の銘:誘われたら断らない
…………
取材協力:VAMP(京都市伏見区)
――今日はお忙しい中をありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。
今村(以下、今):こちらこそありがとうございます。BDさんのインタビューを受ける機会をもらえて光栄です。面白い話ができるかどうかわかりませんがよろしくお願いします。
――さっそくですが、今村さんのビリヤードとの出会いから教えてください。
今:高校3年で受験の準備に入った頃でした。最初は友達のバイト先の先輩に連れられて行って、2~3回くらいは「誘われたから」行っていましたが、気が付けば友達と2人で自転車で通うようになっていました(笑)。
――受験生とビリヤード。良くないですね(笑)。
今:そうなんですよ。僕は高3の夏に「芸術系の大学に行きたい」と思い立ったけれど、これはビリヤード云々とか関係なく、デッサンとかそうした準備が間に合わなくて、親から「浪人は許さん」と言われていたので、一般の私立四年生大学に進学して自宅から通いました。
――大学生の間もビリヤードを?
今:そうですね。あの頃は学校もあまり行かずにビリヤードとバイトばかりしていて、球も一番撞いていたと思います。でも一応、四年で卒業はしました。卒業するまでにはA級になっていたと記憶しています。
↑18~19歳くらいの頃。美容室のモデルをしてた時の写真
――卒業後の進路は?
今:通っていたビリヤード場に店長として働くようになりました。その頃はプロになろうと思っていたので。中学でスノーボードをしていた時も「プロになりたい」と思ったので、僕はハマるとすぐプロ志向になるんですね。ビリヤードを始めてからスノーボードは少しずつ行く回数が減りました。
――その頃にKRC(京都ローテーションクラブ)へ入ったのですか?
今:在学中か卒業してからかは記憶が曖昧なのですが、およそその頃です。当時のKRCには西村(被)、中野(雅之)とかがいて、僕の後から山本一成が入ってきたと思います(いずれもKRCの主力選手として活躍)。そして、桧山プロ(春義。故人)主催の練習会に誘ってもらったり。当時は一緒にオープン戦にも行っていて、彼らは2日目のベスト32とか16に残って、僕は初日の最終で負ける。「ああ」ってなりますよね。そんな記憶があります。でもビリヤード場で働いたのは1年くらいで、その後に転職をしてビリヤードとも徐々に距離を置くことになりました。
――転職から現在の仕事までの話を聞かせてください。
今:周りから「ビリヤードのプロで食べていくのは厳しい」とか、そんな話を聞いている時に、先輩が起業するというのでそれについて行きました。電話回線の切り替えを勧める営業だったのですが、あまり上手くいかなくて確か1年くらいで終わったかと。
――世の中の厳しさを味わいましたね。
今:ですね。それから不動産や建築関係などいくつか仕事をした中で、知り合いに清掃業をしている人がいたのでアルバイトで手伝って、思えばあれがあったから今に繋がっているんですね。手が足りない時に手伝いに行くけど、普段はそんなに仕事がなかったので、それなら自分で独立して営業をしてみようと。
――清掃業務は順調に?
今:いや、仕事が落ち着いてきたのは最近です。自分で仕事を始めた時に「10年やれ」と色んな人に言われたので、「何の10年かな?」と思いながら続けてみたら、本当に10年くらいで軌道に乗った感じです(笑)。振り返ってみたら信用とかそういうことだったのかな? と。途中、未払いとか色んなこともありました。
――初めて聞く話ばかりです。
今:ビリヤードで会う人って共通の趣味で語り合うくらいで、お互い何をしている人かは知らないことが多いですよね。同じお店で撞いていたら仕事の話もするかもしれませんが。
――本当にそうですよね。仕事を軌道に乗せるまでの間もビリヤードは続けていたのですか?
今:ずっとKRCに籍は置いていましたが、長いブランクだったとも言えますね。特に25~30歳くらいの間はKRCの例会の時だけキューを握る月イチプレイヤーだったので、決して競技者というスタンスではなかったです。
――そして現在は会社の代表に。
今:代表といっても僕を含めて5人の会社ですが。今の仕事は個人で6~7年して、その後に法人化をしてその会社が7期目という状況です。
――ビリヤードに本格復帰をしたのは法人化してからですね?
今:そうですね。このお店(『VAMP』)が出来て1年くらいの頃だったから、今から7、8年くらい前かな? ……に顔を出すようになって、「ほら、やっぱりまたハマってもうたやんか」という感じです(笑)。
――(笑)そして競技に本格復帰。今年からKRCの理事長になられたと聞いています。今村さんにとってKRCとは?
今:実は元々は入りたくなくて、誘われたから「じゃあ入ります」という感じだったと思います。だからKRCとは? と聞かれるとどう答えていいのかわらかないんですよね(笑)。
――入りたくなかったというのは意外です。
今:昔のKRCは怖かったんです。最初の印象が「怖い人多いな」で、20代そこそこの僕はビクビクしながら行っていました(笑)。でも入ってみたら慣れるし、みんな実際には優しかったです。今でも僕にとってKRCがどういう存在なのか上手く説明できないですけど、僕が理事長になったのは、みんなを引っ張って『都道府県対抗』で優勝したい、っていう思いからです。
――「あの大会は特別」。皆が口を揃えますね。
今:僕は優勝したことがないけれど、観に行っても他チームが優勝する姿を見たらグッときますよね。多分これは誰にも話したことはないと思いますが、あそこで優勝したいです。僕がKRCに入会した時は折戸(和幸)さんが理事長だったんですけど、各県のエースが揃う5番手で9割勝つとか、絶対エースだったんです。僕なんか6勝7勝するのにも「ハアハア」言っているのに。あれは憧れますよね。多分、他県の人も折戸さんに憧れている人はいると思います。だから僕が絶対エースになってチームを引っ張って優勝する。これが僕の目標のひとつです。
――すると他の目標は?
今:『アマローテ』(2017年)で優勝した時は、フワフワした状態で「あ、勝った」、「また勝った」という感じで、結果として優勝できたけど実感もわかない状況だったので、次は「優勝するぞ」という思いを持って挑んで、そして優勝したいですね。
――勝ちに行って勝つ。一流の証ですね。
今:実際にはフワフワしてもいいし、何でもいいから、勝ちに行って結果を残したいです。と言っても、今年は『マスターズ』も『アマローテ』も京都予選を通過できていないので、絶対エースとは程遠いですけどね(笑)。
(前編了)
※後編に続く
(後編では今村さんがプロにビリヤードを教わった話、ビリヤードを通じて全国に仲間ができた話、YouTube番組に出演していることなどをお聞きします)
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