〈BD〉【寄稿】『ニュージーランド8ボール選手権』に参加してみた by 岡﨑智也

2019 NZ 8-ball Championship ※Photo : Tomoya Okazaki(以下全て)
2019 NZ 8-ball Championship ※Photo : Tomoya Okazaki(以下全て)

 

今年(2019年)4月から

ニュージーランド(NZ)に滞在している、

ビリヤード好きの京大生・岡﨑智也さん

(※現在は休学中)。

 

これまでNZビリヤード事情を

様々な観点から紹介してくださっていますが、

 

今回は、

10月にNZ南島のダニーデンで行われた

『ニュージーランド8ボール選手権』の

参戦記を届けてくれました。

 

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岡﨑智也・記

 

皆さん、こんにちは! 岡﨑です。

 

NZからの寄稿も5回目になります。

 

こちらは現在初夏。

日本ほど暑くはなく、

昼間でも気温は20度前半。

過ごしやすい季節になっています。

 

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さて、今回は10月26日~27日に

行われた『NZ8ボール選手権』の

模様をお届けします。

 

NZPA(New Zealand Pool Association)主催の

今年度最後の公式戦になります。

 

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ダニーデン国際空港。

 

NZでの全国規模の試合は3つ。

 

8月の『NZ10ボール選手権』と

『NZ9ボール選手権』、

 

そして10月の『NZ8ボール選手権』です。

 

『NZ10ボール選手権』と

『NZ9ボール選手権』は、

NZ北島の最大都市、オークランドにある

『Pool & Blues』での開催でした。

 

今回の『NZ8ボール選手権』の開催地は、

南島のダニーデンという都市。

 

オークランドからは2時間のフライトで到着。

到着時はあいにくの雨でした。

 

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中心市街に立つダニーデン市庁舎(右)と

セント・ポール大聖堂(左)。

 

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ダニーデン駅。

 

ダニーデンの人口は13万人。

NZで5番目に大きい都市です。

 

スコットランドからの移民が作った町で、

街中には昔ながらの建築が残ります。

 

上の画像の建物は、全て1800年代後半から

1900年代前半にかけて建てられたもの。

風情があります。

 

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Baldwin Street。

 

「世界一急な坂道」としてギネスブックに

載ったことのある道路もあります

(※現在は世界一ではありません)。

 

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今回の会場となるのは、

そんな街の中心部にあるビリヤード場

『Bowey’s Pool Lounge & Bar』です。

 

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階段を上がってまず目に飛び込んでくるのは

天井が高く開放感のある空間に並ぶ

ビリヤード台。

 

ポケットビリヤードの9フィート台が10台、

英国式8ボールの7フィート台が8台あります。

 

どちらも『Pool & Blues』に

置かれている台と同じ型です。

(ポケット台はブランズウィック

『ゴールドクラウンV』のコピー)。

 

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各テーブル脇には壁掛け式のスコアボード。

試合の際に遠目からでもスコアがわかります。

 

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ハードダーツも2台設置。

 

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そして『Lounge & Bar』の名の通り、

店内には広々とした食事スペースと

バーカウンターが。

 

ビリヤードはせずに食事だけ、

という楽しみ方もできます。

バーカウンターの上にはシカの剥製が…。

 

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料理は全てシェフが厨房で調理します。

 

NZといえば羊、ということで

「Southern Lamb」を注文。

 

マッシュポテトの上にラム肉、

ローストトマトを載せた一品。

ラム肉は臭みもなく、

とても美味しかったです。

 

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そんな素晴らしいビリヤード場の

オーナーがこちらのお二人。

 

以前の記事でもご紹介した

Mike Bowen(マイク・ボーウェン)と

その奥様Glenda(グレンダ)。

 

彼らには今回の滞在でとてもお世話になりました。

空港からの送迎はもちろん、自宅への宿泊、

『Bowey’s』までの送迎、食事、観光案内……。

 

自分以外のオークランドからの

遠征組も似たようなもので、

今回Bowen宅には、彼と旧知の仲である

Matt(マット・エドワーズ)を

はじめ合計7人が宿泊。

 

それ以外の人も空港からの

送迎をしてもらうなど、彼らの

ホスピタリティには頭が上がりません。

 

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さて、『8ボール選手権』は

土日開催でしたが、その前日の

金曜日の夜に地域対抗戦がありました。

 

『Interprovincial Challenge』と

名付けられたこの試合。

 

北島のオークランド(Auckland)、

南島のカンタベリー(Canterbury)、

オタゴ(Otago)の

3地域からそれぞれA・Bチームを作り、

 

AチームはAチーム同士、

BチームはBチーム同士でリーグ戦を行い、

それぞれ優勝を競います。

 

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チームは6人で構成。

 

1人1球交代のチームスコッチ9ボール2試合、

スコッチペアの9ボールを3試合、

そして各プレイヤーによる

1対1の8ボールを6試合という内容です。

 

それぞれの試合は2ラックないし

3ラック制(先取りではありません)。

 

2ラック制の試合は1-1の引き分けがあります。

総獲得ラック数を競います。

 

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交流戦のような雰囲気で、

ビール片手にプレーする選手もちらほら。

とは言いつつ、

地域対抗となると負けたくないもの。

応援にも熱が入ります。

 

わかりやすく例えるならば、

アメリカ対ヨーロッパの試合、

『Mosconi Cup』を

さらにカジュアルにした感じでしょうか。

 

↓会場の雰囲気(YouTubeリンク)

 

 

※大会ビデオはこちら

 

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熱戦の結果、Aチーム・Bチームともに

オークランドが優勝しました。

 

写真はオークランドBチームのキャプテン。

彼とはBowen宅で同じ部屋に泊まっていました。

いつも陽気なナイスガイです。

 

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その翌日、

いよいよ『8ボール選手権』がスタート。

 

男子は69人の参加で、16組に分かれて

4人または5人の総当たりリーグ戦を行い、

そのうち上位3人が

決勝シングルトーナメントに進出。

 

女子は17人の参加で、4組に分かれて

同じようにリーグ戦を行い、上位3人が

決勝シングルトーナメントに進出

という形式でした。

 

また、各組の集合時間を4つに分散させ

(8:00、11:30、15:00、18:30)、

待ち時間が少なくなる工夫がされていました。

 

↓会場風景(YouTubeリンク)

 

 

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日本にいた頃には

ほとんど撞く機会のなかった8ボール。

ましてや公式戦など初めてのこと。

否応なしに緊張が高まります。

 

…………

 

 

自分の組は4人リーグだったので、

ここで落ちるのは一人だけ。

 

自分を含めて3人が1勝2敗で並び、

得失点差でなんとかリーグ3位に滑り込んで

決勝トーナメントに進出しました。

 

1日目はこれで終了。

翌日に向けて他のプレイヤーの試合を見て

主に戦略面を勉強しました。

 

8ボールは9ボールと比べて

実力差が結果に表れやすいゲームと言われます。

 

トッププレイヤー同士の試合ともなると、

マスワリ合戦、高度なセーフティーの応酬に

なるのでとても勉強になります。

 

…………

 

 

さて、気持ちを切り替えて2日目です。

 

男子の決勝トーナメントは

6ラック先取で48人。

各組の1位選手はシードとなり、

ベスト32から参戦します。

 

リーグ3位の自分は、

初戦のベスト48戦にて

他のリーグ2位選手と対戦しました。

 

…………

 

 

対戦相手はNZ在住のフィリピン人。

「フィリピン」の響きだけで、

強さ2割増しに感じます。

 

しかも偶然着ていたポロシャツのおかげで、

お互いに母国を代表した

国別対抗戦のような空気に。

 

国を背負って戦ったこの一戦に、

辛くも6-4で勝利しました。

 

…………

 

 

試合途中からは、

Facebookでライブ配信もされていました。

 

…………

 

 

結局、筆者はその次の試合で負け、

17位タイで終了となりました。

 

負けたあとは観戦しながら

ビールを飲むのがNZ流。

お店のロゴが入ったグラスでいただきます。

 

…………

 

 

偶然にもその日の夜は

ラグビーワールドカップの準決勝、

NZ対イングランドの試合がありました。

 

NZの国民的スポーツであるラグビー。

ナショナルチーム「All Blacks」は、

その驚異的な強さや、

試合前の踊り「ハカ」で有名です。

 

そんなラグビーの、

しかも4年に1度の試合となると

観戦しないわけにはいきません。

 

お店のラウンジスペースにある巨大スクリーンで、

みんなビリヤードそっちのけで応援。

 

↓応援の様子(YouTube動画リンク)

 

 

残念ながらNZはこの試合に負けてしまい、

観戦していた人は

「明日は朝起きれないかも」と

落胆を隠せない様子でした……。

 

…………

 

 

さて、そんな空気の中で

『8ボール選手権』は進んで行き、

男女それぞれの決勝戦が行われました。

 

男子は、NZ男子ランキング1位の

Matt Edwards(マット・エドワーズ、

写真右)が3度目の優勝。

 

女子は、同じくNZ女子ランキング1位の

Molrudee Kasemchaiyanan

(モルルディー・カセンチャヤナン、写真左)が

5年連続7度目の優勝を飾りました。

 

※彼らに以前インタビューした

記事のリンクは本稿の最後に。

 

…………

 

 

これで今年度の公式戦は全て終了しました。

 

今年NZで様々な試合に出て、

個人的に最も印象深いのが

「ビリヤードを楽しむ姿勢」です。

 

今年度『アマナイン』A級チャンピオンの

田中裕也さんがインタビュー

おっしゃっていた通り、

自分の勝ち負けに関係なく、

試合そのものを楽しんでいる人が多い気がします。

 

試合に負けても、

「ナイスショットだったよ」

「次の試合も頑張ってね」と

笑顔で相手に声をかける人。

 

初戦で当たっただけなのに、

「どんな感じ? 勝ち進んでる?」

「負けちゃったのか~。残念だったな。

ビール飲むか?」と気遣ってくれる人。

 

真剣に勝負に向かい、

なおかつそれを楽しんではじめて、

負けた時に率直に相手を称えられるのだと思います。

 

勝者と敗者が決まるのは勝負事として当然ですが、

だからこそ勝敗だけにとらわれない姿勢が

重要だと改めて感じました。

 

(了)

 

…………

 

岡﨑さん、今回もありがとうございました。

 

※岡﨑智也さん寄稿その1:

『NZオープン』参戦記

 

※寄稿その2:

NZ最大級ビリヤード場、

Pool & Bluesに行ってみた【前編】

 

※寄稿その3:

NZ最大級ビリヤード場、

Pool & Blues、に行ってみた【後編】

 

※寄稿その4:

NZトップ選手、マットとモルルディーに聞いてみた【前編】

 

※寄稿その5:

NZトップ選手、マットとモルルディーに聞いてみた【後編】

 

※寄稿その6:

NZ在住日本人ビリヤードファンの仕事・暮らし・球ライフ

 

 

 

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