文化遺産・自然遺産やビーチリゾートなど、
観光スポット豊富な東南アジアの仏教国、タイ。
ビリヤード好きな人にとっては、
「スヌーカー強国」のイメージがあるでしょう。
ですが、プール(ポケットビリヤード)も
盛んだということはあまり知られていません。
首都バンコクだけでなく、
リゾート地として知られるパタヤにも
著名ビリヤード場が複数あり、
ローカルプレイヤーだけでなく、
海外からも多くのプレイヤーが訪れています。
今、熱を帯びているパタヤプール事情を、
現地に住む日本人、「Ian」(イアン)さんが、
複数回にわたってレポートします。
初回は、パタヤの基礎知識と、
パタヤでのトーナメント参戦記です。
…………
Ian記:
サワディーカップ(こんにちは)。
“微笑みの国”、タイはパタヤに住んでいるIanです。
と言っても日本人で、
Ianという名前はこちらでの通称名です。
ここパタヤでは様々な外国人と接するのに、
母国の名前そのままだと、名前が長いとか
発音が難しいといったことがあるため、
全てのタイ人と多くの外国人が
通称名で呼び合っています。
今回から数回に分けて、私、Ianが、
パタヤのプール事情を紹介していきます。
…………
まずはパタヤの概略から。
日本の皆さんも知ってのとおり、
パタヤは世界でも有数の観光立国タイにある
ビーチリゾートです。
日本からタイの首都バンコクまで
飛行機で約6時間。
そのバンコクから南東に160km、
車で約2時間の所に位置しています。
日本との時差は-2時間。
以前は米兵の保養地であり、
現在でも世界中から多くの観光客が訪れたり、
多くの外国人が住んでいます。
今の時期(11月~2月)タイは
ハイシーズンにあたり、暑すぎず雨も降らず
大変過ごしやすい気候が続いてます。
主にヨーロッパの人々の避寒地として、
特に12月~1月にかけて、
街も一番賑やかで混雑します。
…………
パタヤには、自然、観光、アクティビティ、
食事、ビーチ、ナイトライフ等、
全てが揃っていると言っても過言ではありません。
私はそんなパタヤに住んで約6年になります。
仕事を変えながら現在はプライベートで
タイ人に日本語を教えています。
そして出来る範囲でビリヤードを楽しんでいます。
…………
私自身、日本でビリヤードの経験はほぼなく、
本格的に始めたのはタイに住みだしてから。
歴5~6年といったところです。
始めたきっかけは、こちらに住むにあたって
何か趣味を持った方がいいかなぐらいの
ことだったと思います。
一時帰国で日本に戻った時
たまに撞く事はありますが、
パタヤでプレーすることがほとんどです。
日本で試合に参加した事がないため、
比較が出来ず、はっきりとは言えないのですが、
私のレベルは日本で言うところの
「Bクラス真ん中あたり」と考えてください。
タイでのトーナメント参加は
通算で50回程度だと思います。
レギュラートーナメント
(月に1回程度参加)で優勝が1回あり、
2位と3位は多数あります。
そして、毎月1回行われる
『9-Ball High Roller』(9ボールハイローラー)
という大きな大会で、
プレート側(敗者側トーナメント)で
優勝1回と2位1回という成績があります。
…………
今回は昨年末、12/28~29に行われた
『9ボールハイローラー』の様子をお伝えします。
この大会は、毎月最後の週末2日間に
わたって行われ、パタヤにある2つのプールホール、
『Mega Break』と『Legends』で、
交互に持ち回りで開催されます。
今回は私のホームでもある
『Mega Break』での開催でした
(※『Mega Break』については
別記事にてご紹介する予定です)。
定員は64名で、
エントリーフィーは2,000バーツ
(1B=3.6円程度なので約7,200円)。
メイントーナメントの優勝賞金は
30,000B(約10万8千円)。
上位8名まで賞金あり。
プレート(敗者側トーナメント)の
優勝賞金は10,000B(約3万6千円)。
上位4名まで賞金あり。
特に今の時季は参加希望者が多く、
開催の10日以上前には定員に達していました。
今回、日本人選手は私1人。
『Legends』での開催時は、私を含め3人ほど
日本人が参加する場合もあります。
…………
私自身は過去に何度も参加しているので、
要領も雰囲気もわかっています。
ただこの時期のハイローラーは、
タイを訪れる外国人プレイヤーや、
バンコクやホアヒンなどタイ国内
他地区からのプレイヤーも多く参加し、
異様な盛り上がりと熱気を感じます。
試合はあらかじめ決められている
Mega Breakのハンデキャップシステムを
採用して進められていきます。
ですので、誰にでも勝つチャンスはあります
(※ハンデキャップについても別記事にて)。
大会は16時ぐらいから始まり、
翌朝の4時頃まで続きます。
まずは64名がダブルイリミネーションで戦い、
勝ち組32名をメイントーナメント側、
負け組32名をプレート側
(敗者側トーナメント)に振り分けます。
そしてそこから2回負けたら終わりの
ノックアウト方式になります。
ですので、最低4試合は
戦えるフォーマットになっています。
…………
ワールドトッププレイヤーの一人、
デニス・グレイブ(エストニア)も参戦。
一緒に写っているのは
パタヤに住んでいる彼の父親です。
…………
大会中は「Calcutta」(カルカッタ)、
つまり、どのプレイヤーが勝つか賭ける
「外ウマ」も行われます。
当たればこちらの方が大会賞金より
はるかに高額な配当金を得られるため、
皆、試合前のこの時間が一番楽しそうで
盛り上がっています。
…………
タイの女性プレイヤーでNo.1、2を争う実力者、
Pennipa Nakjui選手も出ていました。
皆、通称名のNam(ナム)と呼んでいます。
「カルカッタ」とは別に、
TVテーブル(日本で言う華台)の試合などは、
仲間内で1ラックごとにノセたりしているので
観てる側も真剣ですね。
TVテーブルの試合映像。↓
…………
試合経過や対戦相手などは
随時こちらのスコアボードで確認出来ます。
…………
大会開催時もお店は通常営業をしていますが、
少しでも進行を早めるために、
14台あるテーブルのうち10台を使って行います。
私の戦績はと言うと……、
初戦は普段のトーナメントでもよく当たる
地元タイ人選手のOran
(日本で言うA下レベル)と対戦。
ハンデは私「4」、Oran「7」。
普段は私の方が分が良く、苦手意識はありません。
おかげで硬さもなくプレー出来たんですが、
結果は3-7で私の負け。Oranの方が
勝利への執念が上回っていた感じでした。
2試合目は私より格下で初対戦の
フィンランド人選手、Jari
(日本で言うBクラスの下)。
ハンデは私「6」、Jari「4」。
結果は3-4で私の負け。
相手にリーチをかけられたラックで
7番を穴前カタカタ。
8番→9番と取り切られ万事休す。
これでプレート側(負け組)に回る事が決定。
ただまだ最低あと2試合プレー出来るのが、
この大会の良い所です。
その後の勝敗を駆け足で。
vs David(アメリカ)
ハンデ:私「4」-「6」David
結果:4-4で私の勝利
vs Moji(タイ)
ハンデ:私「6」-「4」Moji
結果:1-4で私の負け
vs Got(タイ)
ハンデ:私「4」-「7」 Got
結果:4-5で私の勝利
vs Ann(タイ)
ハンデ:私「5」-「4」Ann
結果:0-4で私の負け
以上、6試合して2勝4敗で終戦……。
今回の対戦相手は
なぜかタイ人選手に偏っていました。
敗因としては格下に0勝3敗。これが全てですね。
9ボールというゲームの性質上、
ローレベルプレイヤーはどうしても
ラッキーやフロックの割合が増えますし、
ハンデによってレース数に差があるので、
特に格下の選手相手に先行される
展開になると苦しくなります。
精神状態を上手くコントロール出来なかったのが
反省材料ですね。
…………
優勝はフィンランドのLari選手
(1番ボールを持っているキャップの男性)。
ちなみに彼のハンデキャップは私より1つ下です。
おめでとう! そして選手の皆さん、運営スタッフ、
店舗スタッフ、全ての方々お疲れ様でした。
私自身は賞金ゲットまでは遠かったですが、
今回も良い経験をさせてもらいました。
結果からもわかるように、必ずしもプロ選手や
実力上位の選手が勝てる訳ではありません。
しっかりとハンデキャップが決められていて、
誰にでも勝つチャンスがあるため、
毎回盛り上がっているんだと思います。
1月の『9ボールハイローラー』は、
別のプールホール、『Legends』で行われます。
日本の読者の皆さんも、
いつかパタヤに来られる機会がありましたら
参戦してみてはいかがでしょうか。
(了)
…………
Ianさん、ありがとうございました!
次回はタイのビリヤード事情を
また違う切り口で教えていただく予定です。
…………
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