〈BD〉カーリーに聞く世界トッププレイヤーのちょっと裏側・その1。ラルフ・スーケー編

 

コロナウイルスの影響で

全世界の公式ビリヤードトーナメントが

中止または延期になっています。

 

いつになるかわかりませんが、

プール(ポケットビリヤード)の

メジャーイベントが再開された時のために、

 

ワールドトップスターたちの

プレースタイルや人となりについて

理解を深めておきましょう。

そしてまた試合観戦を楽しみましょう。

 

……ということで、

2011年『9ボール世界選手権』チャンピオンの

「カーリー」こと赤狩山幸男プロに、

 

世界の名プレイヤー達について

あれこれ語っていただきました

(プレースタイルなど球のことについては

BDから強くせがんで話してもらいました)。

 

初回で紹介するのは、

1996年『9ボール世界選手権』優勝。

2008年『8ボール世界選手権』優勝。

『ワールドプールマスターズ』優勝6回。

 

日本を含め世界中でタイトルを獲得している

ドイツの「カイザー」(皇帝)、

ラルフ・スーケー(現在51歳)です。

 

…………

 

赤狩山幸男・談:

 

「ラルフさんのことは1990年代から知ってたけど、初めてちゃんと喋ったり一緒に撞いたのは2004年か2005年のことです。当時僕が使っていたキューのメーカーのKeithAndyさんが企画したチャレンジマッチツアーで、ラルフさんと一緒に国内10箇所のビリヤード場を回らせてもらいました。どのお店でも、エキシビションマッチとしてラルフさんvs僕の9ボール7ラック先取をやりました。

 

その時は僕の4勝6敗だったのかな。ラルフさん、『えっ、思ったより撞けるじゃないか』って顔をしてましたね。『キミはグッドプレイヤーだ。なんで海外に出てないんだ?』みたいなことを言われました(※赤狩山プロが頻繁に海外に出て行くようになったのは2009年頃から)。

 

それ以来、国内外のトーナメント会場で会えば挨拶するぐらいの仲になりました。よく覚えてるのは、僕が9ボール世界選手権(2011年。カタール)で優勝した時に、一番初めに『おめでとう!』を言いに来てくれたのがラルフさんだったこと。運営席のすぐ横で決勝戦を見てくれていて、終わったらすぐに讃えてくれた。すごく嬉しかったことを覚えています」

 

2019 US OPENより
2019 US OPENより

 

赤狩山幸男・談:

 

「ラルフさんの球のことを僕が言うのもおこがましいですけど、一言で言えば『総合的にすごく上手い人』です。勢いでは行かずじっくり考えて、ミスの少ないプレーをやり続ける。ショット技術が高いだけでなく、常に無理のない選択を出来る人だと思います。ああいうスタイルを『堅実派』と言うのかもしれません。セーフティの技術もすごく高い。かと思うと、ここぞという時に思い切り良く攻めのショットを選んで決める時もあります。

 

球に対して『妥協しない人』という印象もあります。チャレンジマッチだろうが試合だろうが、相手がどんなレベルでも100%を出そうとする。アマチュアさん相手でもビシッと厳しいセーフティを決めてきます。

 

プライベートでそんなにご一緒したことはないですが、買い物に行った時に食料品のパッケージを見つめてカロリー計算をしてたのは印象にありますね(笑)。第一線で長く戦おうと思ったら、こういうところからやらないといけないんだなと思いました。球と同じで日常生活も几帳面なんだと思います。

 

ホントかどうかわからないけど、『朝起きてキューを磨くところから1日が始まる』という噂話も耳にしました。いやいやいや……と思うけど、絶対ないとも言い切れないのがラルフさんですね(笑)。

 

昨年(2019年)12月の『9ボール世界選手権』の決勝ラウンド(ベスト64)で、64名中、一番の年長者がラルフさん(51歳)で、その次はもう僕(当時44歳)だったという記憶があります。気付けば僕もずいぶん上に来たもんだなと(笑)。でも、ラルフさんなどの先輩が頑張っている姿を見たら『やるしかない』と思うのもたしかです。試合が再開されたら世界のどこかでまたラルフさんと会いたいですね」

 

(了)

 

…………

 

ラルフ・スーケーの試合を見るならこれ。↓

 

2002年『ワールドプールマスターズ』決勝戦。

E・レイズを倒して4度目の優勝達成。

 

この頃のスーケーは

対レイズ戦で高い勝率を誇り、

「レイズストッパー」として知られていました。

 

レイズ自身も各メディアに

「スーケーにはなぜか勝てないんだよ」と

苦笑いでこぼしていたほどです。

 

「カイザー」の冷静沈着・

堅実なプレーをお楽しみください

(途中で数ラック、映像が抜けています)。

 

 

この時、33歳だったのか、カイザー……。

 

…………

 

Vol.1 R・スーケー編

Vol.2 T・ホーマン編

Vol.3 R・アルカノ編 

Vol.4 E・レイズ編

Vol.5 F・ブスタマンテ編

 

 

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語り手:赤狩山幸男

 

Yukio Akagariyama

2011年ナインボール世界チャンピオン

ニックネームは「カーリー」

1975年3月13日生まれ

大阪府出身・東京都在住

JPBA32期生

2002年『中国オープン』優勝

2006年&2010年『全日本選手権』3位

2006年『ドーハアジア大会』日本代表

2007年『インドアゲームズ』日本代表

2009年&2012年『チャイナオープン』3位

2011年『テンボール世界選手権』3位

2011年『ナインボール世界選手権』優勝

2012年『世界チーム戦』準優勝

2016年『全日本14-1選手権』優勝

2019年『北陸オープン』優勝

他、東西の男子プロツアーでは優勝・入賞多数

グランプリイーストでは通算3勝

BAGUS所属

PREDATORキュー使用

KAMUIタップ「ブラックS」使用

 

 

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