〈BD〉オランダの「ターミネーター」、N・フェイエンが語るメンタルフレームワーク【動画】

 

オランダが生んだ

9ボール世界チャンピオン、

ニルス・フェイエン。

 

先日彼のインタビューを紹介しました

(KAMUI Brandサイト内)。

 

今回は、彼が自分の試合動画を見ながら、

自身のメンタルフレームワーク

(=プレッシャーを受け止め、

ポジティブな状態に導くやり方)

を語っている動画の紹介です。

 

フェイエンが2度目の優勝を飾った

2018年の『ワールドプールマスターズ』。

 

そのベスト8、

vs デニス・オルコロ(フィリピン)戦。

 

フェイエンの3-5ビハインドで

迎えた第9ラックを自ら解説しています。↓

 

 

全編英語なので、

ざざざっとBD流で訳してみます

(はしょっているところもあります)。

 

ボリュームがあるので、

BDでの訳文掲載は2回に分けます。

 

まずは、6:22までの前半部分を。

 

…………

 

フェイエン談:

 

「この試合はトーナメントの

2回戦(ベスト8)で、

相手はデニス・オルコロ(フィリピン)。

 

デニスにはそれまで

7、8回連続で負けていたから、

組み合わせを見た時は

良い気分ではなかったよ。

 

僕は肘の手術とリハビリを終えて

戦線復帰したばかりで、

フォームが万全ではなかったしね。

 

そして、僕がたくさんミスをして

3-5ビハインドになってしまった。

 

この動画の場面での僕は、

そんなに良い精神状態じゃなかった。

 

だからこの時何を心掛けていたか、

僕のメンタルフレームワークを

振り返ろうと思う。

 

第一に、さっきも言ったように

僕はここまでにたくさんミスをしていた。

そして、相手は僕がずっと

負けっぱなしのプレイヤーだ。

 

僕はオポネントティルト

(Opponent Tilt。対戦相手を意識して

メンタルが揺れている状態)だった。

 

これは僕のメンタルレッスンでも

扱っている興味深いテーマだ。

 

『デニスと戦わずにゲームを戦う』

方法はただ一つ。

自分のプレーを遂行することに

最大限にフォーカスするだけだ。

 

椅子に座っている時、

僕が意識していたのは

『呼吸』と『ゲームプラン』だ。

 

脳内ディスカッションを行い、

『今出来る最良のショットを実行する』

『努めて平静を保つ』、

これを自分に言い聞かせていた。

 

そしてとにかく呼吸に集中していた。

どうにも落ち着いていなかったから。

 

(2:02 フェイエンが1番で空クッションを撞く)

 

この1番の空クッションの時、

僕に出来るのは、手球と1番を離して、

その距離を広げることだけだった。

願わくば、どちらかのボールが

クッションにくっつけばより良かった。

そうはならなかったけどね。

 

ただ、僕はゲームプランを変えずにいたし、

呼吸が整ってきていたので、

ちゃんと思考を巡らせることが

出来ていたと思う。

 

良い呼吸が出来ていると、

十分な酸素を脳に送ることが出来る。

そうすると理路整然と考えることができるんだ。

 

パニックに陥ったり、呼吸が整っていないと、

思考力は低下してしまう。

 

(2:38 デニスの1番セーフティに対して

フェイエンが空クッションを撞こうとするところ)

 

そして、デニスのこの1番セーフティ。 

これは完璧には決まってないけど、

僕はまた空クッションから

当てに行かないといけない。

 

ここでの思考はとてもクリアで、

2クッションで1番の奥側から

手球を当てに行った。

 

1番を4番・5番・9番の方まで

運びたかったけど、3番に当たってしまった。

 

でも、ちゃんと考えてプレーした結果だから、

特に落ち込むことはなかったよ。

 

出来ることはやったし、

デニスに回したこの1番も易しくはないからね。

 

…………

 

(3:08 1番を攻めようとするデニス)

 

デニスがこの1番で選んだショットは

「ジャックアップ」(立てキュー)だね。

 

どうだろう、僕なら手球を

弱く転がす撞き方を選んだかな。

立てキューは難しいから。

 

もちろん自信があるなら

成功させられるだろうし、

デニスは大会屈指の

ショットメーカーだからね。

 

どうなるか見てみよう……

 

(3:36 デニスが1番を外す)

 

1番はポケットで

カタカタして外れてしまった。

そして、僕に挽回のチャンスが来た。

 

8ラック先取だから、

ここはとても重要なラックだ。

 

もし僕がこのラックを失ったら、

スコアは3-6になり、

デニスがブレイク権を得て、

彼はさらに良い状態で

プレーを続けていただろう。

 

そうなる前に僕にターンが回って来て良かった。

精神状態も良くなってきていたし、

このチャンスを得られてハッピーだったね。

 

ただ、この配置は易しくはない。

特にこの4番は他のボールに邪魔されて、

手前2つのコーナーポケットには狙えない。

 

(4:18 フェイエンが3番を撞くところ)

 

だから、ここでやっているように

1番→3番のポジションは、

3番の右側(4番への順フリ)に

出す必要がある。

 

そして、4番をサイドポケットに

取れるような所に手球を出す。

 

さっき説明したように、

この試合での精神状態は万全ではなかったし、

たくさんミスをしていたから、

ナーバスになっていた。

 

でも、自分のゲームプランを遂行することと

呼吸に意識を向けて、できる限り

良いプレーをしようと思い続けていた。

それがこの時の僕の頭にあった全てだ。

 

焦らずひとつずつ前進し、

一球ずつ対処していく。

メンタルが整っていない時や弱い時に

出来ることはそれしかないんだよ。

 

(5:04 フェイエンが5番を撞くところ)

 

この5番から6番はしっかりと

フリを確認してから撞いている。

 

このラッソンテーブル

RASSON。大会公式テーブル)の

サイドポケットはかなり

トリッキー(難しい)で、

6番→7番の順フリのエリアは狭いから、

当たり前にできると思ってはいけないショットだ。

 

6番のシュートラインのちょっと下側に

ポジションしたかったんだ。

そうすると7番に出す時に

左の長クッションを使って

良いラインで出せるから。

 

こういうプレッシャーを感じる時や

タフなシチュエーションでは、

最もシンプルな選択を続けるべきだ。

そして、そのやり方を崩してはいけない。

それがここで取るべきゲームプランだ。

 

(5:38 フェイエンが7番を撞くところ)

 

思ったより7番に対して厚く出てしまった。

ここではいろんなショットが選べるね。

強く弾かせても良いし、

たくさん引いても良いだろう。

 

でも、8番は手前の2つのコーナーの

どちらにも取れるから、

ポジションは自ずと決まっていた。

それは無理せず『球なり』に取ることだ。

 

この8番を左下コーナーに狙える所に

手球を出す。そうすれば、8番から9番は

手球を前に真っ直ぐ転がすだけで済むからね。

 

……ということで、

自分のメンタルフレームワークが

こんなふうにして報われた。

 

自分が椅子に座っている時は

しっかりと頭を巡らせて、

やるべきことを意識するようにしていた。

大きな呼吸を心掛けて

テーブルに向かって行ったんだ。

今見てきたようにね」

 

(了)

 

…………

 

フェイエンの試合中のメンタルタフネスや

大会前・大会中のルーティンの徹底ぶりは、

国際大会に出ているプレイヤーや

我々メディアにも

よく知られていることですが、

 

ここまで自己を客観視して、

言語化(しかも母国語以外の言語で)

出来る人だったのかという驚きもあります。

 

実際の試合映像を使って

解説してくれるのはタメになりますね

(マッチルームプールも特別に

映像使用許諾を与えているのだと思います)。

 

この動画の後半部(6:22以降)の訳は

近日お届けします。

 

「勝ちが見えてきてしまった時の

危うい心理状況」について語っていて、

それもまた面白いです。

 

→続編(動画後半の日本語訳)はこちら

 

…………

 

この春、フェイエンは、

競技志向プレイヤー向けのオンラインレッスン、

ターミネーターカレッジ』を設立。

 

そこでメンタルに特化した有料コース、

『Mental Edge for Competitive Pool Players』

を立ち上げましたが、

 

この動画はそのプロモーションにも

うってつけだと思います。

こういう内容を学びたいという

ハイアマチュアやプロも多いでしょう

(日本語対応していないのが残念)。 

 

 

 

…………

 

BD Official Partners :  

世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED 

創造性と匠の技が光る伝統の国産キュー。ADAM JAPAN 

ビリヤードアイテムの品揃え、国内最大級。NewArt 

末永くビリヤード場とプレイヤーのそばに。MECCA 

カスタムキュー、多数取り扱い中。UK Corporation

13都道府県で開催。アマチュアビリヤードリーグ。JPA

徹底した品質の追求。信頼できる道具をその手に。KAMUI BRAND

赤狩山幸男プロ参加の平日トーナメント開催中。 BAGUS

カーボン繊維構造REVOシャフト発売中。PREDATOR JAPAN

ジャストなビリヤードアイテムが見つかる。キューショップジャパン

2018年4月大阪市淀川区西中島に移転リニューアルオープン。日勝亭

オウルグローブ新モデル「+」(プラス)発売中。SHOP FLANNEL

国内外トッププレイヤー達が信頼する国産積層タップ。斬タップ

コロナウイルスで困っているお店を支援しよう。想いの輪 

 

………… 

 

Cue Ball Samurai―ビリヤードサムライLINEスタンプ 

 

 

<<<前の記事