〈BD〉カーリーに聞く世界トッププレイヤーのちょっと裏側・その6。アレックス・パグラヤン編

  

2011年『9ボール世界選手権』

チャンピオンの「カーリー」こと

赤狩山幸男プロにご協力いただき、

 

カーリーの目線で、

世界の名プレイヤー達の

オンとオフの姿を語っていただくこの企画。

 

今回紹介するのは、

フィリピン生まれ育ちのカナダ国籍。

小柄で陽気でしたたかな勝負師、

アレックス・パグラヤン

(42歳。カナダ)です。

 

パグラヤンは、

2003年『9ボール世界選手権』で、

T・ホーマンに決勝戦で敗れた後、

翌2004年大会で優勝し、世界一に。

 

2005年『USオープン』、

2008年『ワールドプールマスターズ』

でも優勝していて、

『ダービーシティクラシック』では、

どの種目(9ボール、ワンポケット、

バンクプール)でも優勝歴がある

オールラウンドプレイヤーです。

 

2019年には

BCAホール・オブ・フェイム

(ビリヤード栄誉殿堂)入りを

果たしました。

 

…………

 

赤狩山幸男・談:

 

「何を撞かせても上手いし、陽気な愛されキャラです。世界中に友達がいるだろうなっていうタイプ。僕とアレックスの2人だけで喋ったことはほとんどないけど、いい選手でいいキャラだなと思ってます。

 

2003年の『9ボール世界選手権』で準優勝、そして翌年(2004年)に優勝。あまり試合に出なくなった時期もあるけど(※ポーカーに転向し、ビリヤードから離れていた時期がある)、人生を楽しんでる感じ、ありますよね。普段どこにいて何をしてるのかよくわからないけど、まあ元気にやってるんだろうみたいな(笑)。国籍はカナダだけど、陽気なフィリピン人の血も流れてるし、どんな時も『なんとかなるさ』精神なんだろうと思います。

 

どの年だったか忘れたんですけど、『USオープン9ボール』で、アレックスが試合中、今まさに撞こうかというタイミングで、観客席からカメラのフラッシュが光ったことがあったんですよ。僕もその場にいて、『さあアレックスはどんな反応をする?』って様子を見てたら、『なんで俺の時に光らせるんだよ。相手の時にしてくれ!』って言い出して。ギャラリー大受けで会場が盛り上がっちゃって。神対応とはこのことだなと(笑)。だいたいいつもそんな感じなんです、アレックスは。機転が利いてユーモアがあって。

 

そういうキャラクターなんで、TVマッチとかエキシビションのゲストとかワイルドカードで呼ばれることが多いのも頷けますよね。日本だと大井くん(直幸プロ)がそう。TV受けもするし、主催者、スポンサー、スタッフとかからも受けが良いしね。で、呼ばれるだけじゃなくて、だいたいちゃんと稼いで帰っていくっていう」

 

2019 US OPENより
2019 US OPENより

 

赤狩山幸男・談:

 

「僕とアレックスは……試合では1勝1敗ぐらいかな。『関西オープン』では負けて(2013年)、カタール(2017年『世界選手権』)では勝って。あとは、フィリピン修行をした時にプライベートマッチで1回撞いてもらったことがありますね。

 

彼の球撞きは、まず『賢い』って感じです。確率ベースで考えていて、判断が的確で取り方を間違えることがまずないし、無茶なことはほとんどしない。対戦相手が嫌がることをちゃんとやってくるプレイヤーです。その1ラックを取るための戦術がちゃんとあって、駆け引きしながら自分の優位な形を作れる。それを堅実と言うなら、彼はすごく堅実なタイプです。じゃなければ、どの種目でもあれだけ何度も上には行けないです。右手の技術もかなり高いですけど、『より高い確率で1点を取りに行く』という賢さがあると思います。

 

体格は小柄で、ストロークはだいぶコンパクト。アレックスと、例えば(E・)カチが並んでバンキングしてたりするとものすごい身長差がありますよね。あの背丈であれだけ戦えるのはすごいなと思います。でも、そこも彼の賢さであり、スタイルだと思いますが、自分のポジションの幅をよくわかっているし、台の高さやテーブルコンディションに対して敏感で、それに合わせて細かく手球をコントロールできるのが強みだと思います。

 

僕と彼とでは体型もストロークもだいぶ違うので、彼のプレーを参考にすることはほとんどないです。でも、ボールの動かし方やセーフティとか戦術的なショットは上手いなぁと思って見てます」

 

(了)

 

…………

 

アレックス・パグラヤンの

試合を見るならこれ↓

 

談話内で挙がっていた

2017年9ボール世界選手権

(カタール開催)の、

 

グループラウンドでの

赤狩山幸男 vs A・パグラヤン戦の

映像がありました↓

 

 

9ラック先取でヒルヒルまでもつれた試合です。

 

この他では、パグラヤンが優勝した

2004年9ボール世界選手権の

決勝戦の映像が、

matchroom LIVEでは挙がっています

(無料で視聴できますが、

アカウント作成が必要です)。

 

もう少ししたらMatchroom Poolの

YouTubeチャンネルでも

アップされるでしょう。

 

…………

 

Vol.1 R・スーケー編

Vol.2 T・ホーマン編

Vol.3 R・アルカノ編 

Vol.4 E・レイズ編

Vol.5 F・ブスタマンテ編

 

…………

 

談話:赤狩山幸男

 

Yukio Akagariyama

2011年ナインボール世界チャンピオン

ニックネームは「カーリー」

1975年3月13日生まれ

大阪府出身・東京都在住

JPBA32期生

2002年『中国オープン』優勝

2006年&2010年『全日本選手権』3位

2006年『ドーハアジア大会』日本代表

2007年『インドアゲームズ』日本代表

2009年&2012年『チャイナオープン』3位

2011年『テンボール世界選手権』3位

2011年『ナインボール世界選手権』優勝

2012年『世界チーム戦』準優勝

2016年『全日本14-1選手権』優勝

2019年『北陸オープン』優勝

他、東西の男子プロツアーでは優勝・入賞多数

グランプリイーストでは通算3勝

BAGUS所属

PREDATORキュー使用

KAMUIタップ「ブラックS」使用

 

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