「仕事も趣味もビリヤード」
「ビリヤードだけで生きている」
という人はほんの一握り。
多くの人は一般の職に就き、
余暇にビリヤードを楽しんでいます。
仕事と球、どちらもおろそかにせず、
時間と体力をやりくりする苦労を
多くの人が味わっているでしょう。
でも、中には、仕事にもビリヤードにも
全力投球で、自分の流儀で成果を上げ、
名を知られている人がいます。
そんな熱い撞球人を紹介する
インタビュー企画。
第3回にご登場いただくのは、
四国は徳島のプロ(JPBA)として
各トーナメントで活躍。
普段は神具の製造販売を行う
有限会社青山みこし店の代表を
務めている青山和弘プロです。
数年前に徳島で青山プロから
「青山みこし店」と記された名刺を
いただいた時からこちらは興味津々。
やっとお話をうかがうこととなりました。
青山プロは穏やかな笑顔で
快く取材に応じてくださいました。
…………
青山和弘:Kazuhiro Aoyama
年齢:取材時 52歳(1967年生まれ)
出身・在住:徳島県
血液型:B型
職業:会社経営 有限会社青山みこし店(神具製造販売)
所属団体:JPBA(34期生)
所属店:『ビリヤードKID』、TPBC
プレーキュー:『プレデター・マエストロ』(シャフトは『314-3』、タップは『斬・M』
アマチュア戦績:
『四国オープン』3位タイ(ベストアマ)
プロ戦績
2004年『中国オープン』準優勝
2011年『全日本オープンローテーション』3位タイ、『四国オープン』優勝
2017年『四国オープン』優勝
2018年『JPBAシニアオープン』優勝
憧れのプレイヤー:利川章雲プロ、桧山春義プロ(故人)
ビリヤード歴:約32年(途中合計7年くらいブランクあり)
ビリヤードを教えてくれた人(師匠);氏橋弘明プロ(元JPBA)
…………
取材協力:ビリヤード&ダーツ サンク(京都市伏見区)
――青山さんはJPBAのプロとして活躍されていますが、家業を継いだ社長さんでもあるとうかがっています。まず、お仕事についてお聞かせいただけますか?
青山和弘(以下、青):はい、地元徳島で『有限会社青山みこし店』というお神輿を製造する会社の代表をしていて、僕で4代目になります。社名でお察しの通り、歴代社長もすべて僕の家族・親戚です。
――お神輿屋さんというのは珍しい職業だと思います。どんなことをするのでしょうか?
青:お祭で担ぐお神輿の製造販売がメインですが、修理も多く扱っています。また神社にあるものは、ほぼ全てが取り扱い商品です。例えば皆さんの身近なところだと、神式の結婚式に出席されたことがあると思いますが、そこで見かけたものは全てウチの会社で用意できます。ちなみに徳島県内のホテルの結婚式場はほぼすべて青山みこし店で調度品の用意をさせてもらっています。
画像提供:青山和弘プロ
――なるほど、確実な需要があるご商売だと感じます。
青:はい、決して大きなマーケットではないかもしれませんが、特殊な分野だけに専門知識が必要で、「ちょっとやってみよう」と、簡単に始められる商売でもないですので。ちなみに今の従業員数は5人で、僕が継いだ20年前は16人でしたから、時代の流れもあり仕方ないことでしたが、社内で賄う仕事の規模は縮小しました。余談ですが、ウチは母方の実家も珍しい商売をしていて、『市山煙火商会』という打ち上げ花火の製造会社を営んでいます。
――どちらもレアですが、揃って縁起が良いというか、おめでたい印象ですね。
青:そうなんです。ありがたい商売をさせてもらっていると思います。ただ、今年はコロナウイルスの影響でかなり厳しい状況です。2月決算ですが、今期は3~4割の減収は仕方がないかな、と見ています。でも、お祭りは地域にとって大切なものでなくなることはありません。おじいちゃん、おばあちゃんが孫の手を引いて、楽しい気持ちで出かけていく。そんな素晴らしい文化の継承に携わる仕事なので、今後も感謝の気持ちを忘れずに真摯に取り組んでいきたいと思います。
――次にビリヤードを始めた頃のお話をお聞かせください。
青:初めてキューを握ったのは高校の時でした。何回かやったことがある友達に誘われて行って、わからないなりに何球か続けて入れた記憶はあります。でも、その時は1回で終わりました。そして数年後に(映画『ハスラー2』の)ブームになり、友達がビリヤード場でアルバイトを始めたので遊びに行きました。そこでお店の人から「今度一緒にやろうよ」と誘われて何度か行って、気が付けば週に2~3回、そして毎日通うようになりましたね(笑)。
――その時はもう家業に入られていたのですか?
青:そうです。僕は高校を出て神戸の店舗設計を行う会社に就職したのですが、百貨店の店舗がメインだったので夜中に突貫で施工する現場に入って寝不足が続いていました。そんな時に阪神高速で居眠りの事故を起こしそうになって「これは危ない」と思い、1年で徳島に戻り、青山みこし店に入りました。仕事が時間的にハードではなかったので、ビリヤードをするには良い環境だったと思います。ちなみにその当時は徳島市内にもビリヤード場が40軒ぐらいあったと記憶しています。
――ブーム時に始めたけれど、ブームに乗ったというよりお店の人が声を掛けてくれたことがハマるきっかけだったのですね。
青:確かにそうですね。そのお店は後に閉店したので違う店へ行くようになり、さらに次のお店も移転して場所が遠くなったのでまた別のお店に。そんな頃に『KiD』のハウスに出た時に、『日の出ビリヤード』のお客さんがいて「氏橋(弘明)プロに教わったら上手くなれるよ」と言われて日の出ビリヤードに通うようになりました。
※『日の出ビリヤード』。2016年BD撮影
――偶然というか必然というか、ディープな世界へ導かれましたね?
青:氏橋プロに教えてもらったことはマナーや取り組む姿勢9割で、技術は1割ぐらいでしたね(笑)。お店におられないことも多かったし、普段は氏橋さんのお母さんが日の出ビリヤードの店番をしておられたので。僕は22歳の時から通いましたが、1年に365日ジャパンをしていました。ジャパンの人数撞きで3台動くくらい人が集まっていて、楽しくて毎日行ってしまうんですよ。仕事とビリヤードしかしない生活でした。氏橋さんのお母さんからは「(お店の)この柱は青山さんが立ててくれた」とよく言われました(笑)。
――ビリヤードにハマった経緯がよくわかりました。そして仕事とビリヤードだけの生活。色々と心配になりますよね(笑)。
青:本当に仕事とビリヤード以外何もしていませんでした。でも友達の紹介で知り合って27歳の時に結婚をしました。今思えば、ビリヤードしかしていない男をよく紹介してくれましたよね(笑)。そうそう、結婚といえば、困ったのが式場のホテル選びでした。先ほど話した状況なので、どこを選んでも角が立つじゃないですけど、「ウチではやらんのやね」と思われそうで。そこで日時を優先で決めて、空いていたところにお願いをするという形を取りました。
――式場に関わる仕事ならではの悩みですね。青山さんの家族構成を教えてください。
青:嫁さんと娘が2人と息子の5人家族です。自分で言うのも何ですが、だいぶ仲がいいです(笑)。息子が高校の頃はあまり話さない時期もありましたが、卒業して大阪の学校へ行くようになった時に、自分から「学費と携帯代だけお願いします」と頼もしいことを言うようになりました。アルバイトも頑張っているので、最近は僕が関西に出て来た時は「大丈夫かな?」と様子を見に立ち寄ることが増えました。
――温かいご家庭、仲のよい家族、青山さんのお人柄のままだという印象です。
青:ぼくの嫁さんは当初から僕の自由にさせてくれるので感謝しています。あまりケンカもしません。ちなみに僕の兄弟は妹が2人で、1人は今も一緒に仕事をしています。一緒に仕事をしていると色々ありますが、それでも仲は良い方だと思います。
――ビリヤードと家庭が両立できる秘訣はやはり内助の功ですね。
青:間違いないと思います。そういう僕でも、結婚して1人目の子供が生まれるまでの2年くらいはビリヤードから離れました。それでも22歳からの10年間のうち、8年間は365日撞いていたことになりますけどね(笑)。
↑2019年『GPW-5 in Y’s』(京都)にて
(前編了)
※「後編」はこちら
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My Billiards Days :
Vol.1 今村哲也(Tetsuya Imamura)前編/後編
Vol.2 酒井大輔(Daisuke Sakai)前編/後編
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BD Official Partners :
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