〈BD〉【寄稿】ドイツのトップアマにインタビュー Part.2「ポケットアマ、デイビッド・ブー編」 。by 深尾典子さん

David Vu
David Vu

 

ドイツ在住のビリヤードファン、

深尾典子さんによる、

現地トップアマ紹介企画の続編です。

 

前回のハイコー・ロートさんに続いて

インタビューに応じてくれたのは、

ポケットのトップアマ、

デイビッド・ブー選手です。

 

…………

 

深尾典子・記:

 

Guten Tag! 

 

今回は在独ベトナム人の

デイビッドのインタビューをお届けします。

 

彼の両親はベトナム人で、

デイビッド自身はドイツで生まれ育ちました。

 

デイビッドは11歳よりビリヤードを始め、

 

2019年に

『Makkabi』ビリヤードクラブから

所属メンバーとしてのオファーがあり

(ヨーロッパ各地で開催される試合への

遠征費補助ありという待遇です)、

 

現在は大学を休学して

ビリヤードに専念しています。

残念ながら今年はコロナの影響で

試合参加はかなり減ってしまいましたが……。

 

…………

 

 

【プロフィール】

名前:David Vu(デイビッド・ブー)

生年月日:1996年1月2日(現在24歳)

出身地:Darmstadt, Germany(ドイツ・ダルムシュタット)

職業:大学生。Physical Education at Darmstadt Uni.

ビリヤード歴:13年

14-1ハイスコア:224点

8ボールと9ボールのマスワリ連発記録:ともに6連発

 

【在籍クラブ】

2009~2013:Tv eberstadt

(2012年にHessen〈ヘッセン州〉のトップリーグへ昇格)

 

2014~2019:BVMorfelden

(ブンデスリーガ3軍から始めて1軍まで昇格)

 

2020~:BC Makkabiに移籍

 

 

【キュー】

プレーキューは『Arthur Queue』(アーサーキュー。ドイツ・マンハイムのキューメーカー)、ブレイクキューはプレデター『BK Rush』

 

…………

 

――デイビッド、あなたはいつビリヤードに出会いましたか?

 

D:11歳の時に親の祖国であるベトナムに帰省し、たまたま遊びでやったビリヤードが楽しくて、親に頼んでドイツのクラブに所属することになりました。

 

――普段どのぐらい、どんな練習をしていますか?

 

D:ピーク時は週4~5日ぐらい練習していました。1日5時間ほど。

相撞きは好きですが、一人練習も積極的にしています。一人練習の内容はドリルや14-1のハイランチャレンジですね。

 

――好きな種目は?

 

D:10ボールが一番好きです。14-1も好きでよく練習しています。

 

――トーナメントの戦績は?

 

D:『ヨーロピアンチャンピオンシップ』(欧州選手権)のジュニア部門で、個人・チーム戦共に準優勝したことがあります。8ボールジュニアの個人戦の決勝戦の相手は、J・フィラー(ドイツトッププロ。USオープン覇者)でした。『ドイツカップ』や『ヘッセンマイスター』は複数回優勝しています。ベストゲームは2018年のブンデスリーガのチーム戦で、T・ホーマン(ドイツトッププロ。世界選手権覇者)と戦った試合です。10ボールの4ラック先取×2セット先取のゲームで、4-0、4-0で勝利しました!

 

ドイツのジュニアの試合で優勝した時の記念写真
ドイツのジュニアの試合で優勝した時の記念写真

 

――ドイツのビリヤード環境について思うことは?

 

D:クラブ制度とビリヤード協会が上手く機能していて、いち参加者からすると、クラブに月額30~50€(約3,700~6,000円)程度を払うだけで、公式戦やリーグに追加費用なく参加できるのが良いですね。ビリヤードにかかる費用が非常に少ない点が利点です。それでも各チームで競い合うことによって一層懸命に試合を行うことができています。ですが、プロとしてお金を稼いでいくには難しい世界であることは間違いありません。

 

――新型コロナウイルス感染症はあなたのビリヤードライフにどんな影響を与えましたか?

 

D:ドイツではロックダウンでビリヤード場も閉鎖してしまいまい、僕も2ヶ月程プレーできませんでした。そのため、完全な状態までコンディションを戻すのがまだ難しい状況です。2020年9月からトーナメントも開催されることとなったので、良いプレーが出来るよう練習に励んでいきたいと思います。

 

クラブMorfelden(モルフェルデン)でドイツのリーグ戦で入賞した時の記念写真
クラブMorfelden(モルフェルデン)でドイツのリーグ戦で入賞した時の記念写真

 

――尊敬するプレイヤーは?

 

D:C・ビアド(フィリピン)、A・オーシャン(オーストリア)、J・ショウ(スコットランド)です。その中でも、キック(空クッション)など難しい球もよく知っているので、ビアドが一番ですね。オーシャンはテクニックとメンタリティーが素晴らしいと思います。

 

――日本のプレイヤーについて知っていることは?

 

D:大井直幸プロのことは、『2017ワールドプールマスターズ』の際のインタビュー動画で知りました。あの動画をきっかけに彼の実際のプレー動画も見るようになりました。技術力が高く、リズムが良い彼のプレースタイルは非常に印象に残っています。

 

――今後の目標を教えてください。

 

D:長期的には常にベストが尽くせて、100%集中できるような姿勢でプレーするのが目標です。そのために普段からルーティンを大切にし、いい加減な球を撞かないように心掛けています。短期的にはもっと大きなトーナメントに積極的に参加して、結果を残したいと思います。

 

――ありがとうございました。

 

…………

 

ハイコーとデイビッド。

お二人の話を聞く中で特に印象に

残ったのは、集中した環境下で

練習を行うことの重要性です。

 

私自身、長時間球を撞いている時や、

日中に予定がたくさん入っていて

疲労した状態で球を撞くと、

心ここにあらず……の妥協した姿勢に

なってしまっていることもチラホラ。

 

そういった時間を

作ってしまうことによって、

その癖が試合などの重要な局面で

出てしまうのかなぁと感じました。

 

実際にドイツでは、

1ゲーム撞いて(中にはゲームの途中で)、

「今日は集中できない」

(気分的にとか、暑いからとか……笑)

という理由で、

サクッと帰ってしまう人もいます。

 

ドイツ人の合理的な国民性が

プレースタイルにも

出ているのかもしれません……!!

 

今回、お二人に聞いたエッセンスを

自分の中にも積極的に取り入れて

いきたいと思います。

 

ではまた! Tschüss !

 

(以上、文・写真:深尾典子)

 

…………

 

典子さん、今回もありがとうございました。

 

「集中できないから」とさっと切り上げて

帰ってしまう人は日本にもいますが、

ドイツほど多くはないと思います(笑)。

 

…………

 

※寄稿その8:ドイツトップアマにインタビューその1。ハイコー編

※寄稿その7 :withコロナ時代のドイツのビリヤードクラブレポート

※寄稿その6:コロナで閉鎖されたドイツビリヤード場レポート

※寄稿その5:スヌーカー『2019 イングリッシュオープン』観戦記 

※寄稿その4:世界女子3C選手権 in バレンシア観戦記

※寄稿その3:ドイツの競技ビリヤード事情

※寄稿その2:ベルギーの『ミスター100』訪問記

※寄稿その1:ドイツのビリヤードクラブ事情

 

 

 

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