〈BD〉2週間の隔離生活からの5位入賞。小林英明に聞く「コロナ禍の韓国・PBA参戦」【前編】

Photo : Hideaki Kobayashi
Photo : Hideaki Kobayashi

 

2月上旬に韓国・ソウルで行われた

スリークッションプロツアー、

『PBA』2020-2021シーズン第5戦、

Welcome Saving Bank Championship 2021』。

 

日本から参戦した

小林英明プロ(JPBF)は、

自身最高位となる5位タイ

大会を終えました。

 

2019年の第1回大会から

PBAに参加している小林プロ。

 

1年目のシーズン

(2019-2020シーズン)は

7戦でプレーしましたが、

 

2年目のシーズン

(2020-2021シーズン)は、

コロナの影響でなかなか

ビザがおりなかったこともあり、

 

プレーできたのは全5戦の最後

(第5戦)だけでした。

約1年ぶりの渡韓だったとのこと。

 

そして、この第5戦に出るために、

韓国で2週間の隔離生活を体験し、

日本に戻ってからも自主隔離期間を

過ごしています。

 

長かった遠征の模様を、自宅にいる

小林プロに電話でお聞きしました。

 

(※文中の韓国および日本での

PCR検査や隔離などについての情報は

2021年2月初旬のものです。

ご注意ください)

 

…………

 

Hideaki Kobayashi

1972年9月15日生・東京都出身

1995年JPBF入会

スリークッション、バンドゲーム、アーティスティック

それぞれで全日本タイトルを持つ

マルチキャロムプレイヤー。

Billiards KOBAYASHI -BRIGHT-』代表(東京・新大久保)

 

 

 

――長旅おつかれさまでした。

 

小林英明(以下、小):覚悟はしていましたが大変でした(笑)。まず先に、このコロナ禍で長期不在中に『KOBAYASHI -BRIGHT-』を守ってくれた家族とスタッフ、ご来店頂いたお客様、完璧な対策を備えて大会を開催してくださったPBA・スポンサーの皆様に深く感謝しています。

 

――5位タイ(ベスト8)という結果をどう捉えていますか?

 

小:今まででPBAでは一番いい成績なので(※過去にベスト32が2度ある)嬉しいのは嬉しいですが、負けて終わっている以上、順位は関係なくやっぱり悔しいです。どんな試合でもそうですが、優勝以外は悔しいという気持ちが先に来ますね。自分としては準決勝や決勝戦に行けそうな気配もあったので、最後まで勝ちきって終わりたかったです。

 

――ご自身のプレー内容については?

 

小:「もっとできたな」と思います。全体的に自分がすごく当てていたというより、展開にも恵まれていい意味で調子に乗って撞けたなという感覚です。それと、ベスト32に進んだあたりから日本から応援メッセージがたくさん届いてだいぶ心強かったです。一人で過ごしていた時間が長かったので励みになりました。

 

――ベスト8はセットカウント0-3のストレート負け。

 

小:これといって何かが悪かったという訳ではないですけど、しいて言うなら、テーブルコンディションへの対応がちょっと遅かったですね。会場のテーブルとラシャは全て同じものですが、やっぱり1台ずつ少しコンディションは違っています。ベスト8の台のコンディションを捉えられなくて、もたもたしているうちに試合が終わってしまった印象です。

 

――久しぶりのPBAの舞台は楽しめましたか?

 

小:やっぱりいい大会だなって思いました。でも、仕方ないですけど、無観客なのはだいぶ寂しかったですね。選手も自分の試合の時だけしか会場に入れなくて、待機部屋を経由して厳密にチェックを受けてから中に入るという感じで徹底してました。いつもなら会場で他の国の選手と喋ったり、他の選手の試合を生で見るのが楽しみなんですけど、それはできなかったです。

 

――会場内では基本的に一人行動ですか。

 

小:そうです。LPBAに出ていた日本の林奈美子プロ・東内那津未プロの2人とも会場内ではほとんど会ってないです。東内プロは僕のベスト8の時だけ会場にいました。僕が勝ったらインタビューを受ける可能性があったので、言葉ができる東内プロに手伝ってもらうことになってたんです。2人にはめちゃくちゃ感謝しています。先に2人が韓国入りして隔離生活を経験して、僕に色々と教えてくれたり色々気にかけてくれたおかげでPBAでプレーできたと思っています。

 

――試合期間中、現地のビリヤード場で練習はできましたか?

 

小:ソウル郊外で2週間の隔離期間を終えて、大会初戦(ベスト128)が始まるまでの2、3日は『YGキャロムクラブ』さんにお世話になりました。以前日本におられた方がソウルで立ち上げたビリヤード場です。韓国でもビリヤード場は時短営業をしていて、YGさんも夜9時まで。大会中は時間の余裕がなくて行けなかったです。外でご飯が食べられるのも夜9時まででした。

 

YG Carom Club
YG Carom Club

 

――想像はしていましたが、やはりコロナ禍の海外遠征は大変ですね。いつ以来の韓国だったのですか?

 

小:約1年ぶりでした。本当は今シーズン初戦(2020年7月)から出たかったですけど、コロナの影響でビザがなかなかおりなくて、初戦と第2戦(2020年10月)は出られませんでした。第3戦はぎりぎりビザが間に合わず、第4戦はちょうど緊急事態宣言が発令されるなどタイミングが合わず、ようやくこの第5戦(2020-2021シーズン最後のレギュラーイベント)に出られました。

 

――海外で隔離生活を経て大会に出た日本のビリヤード選手は私が知る限りごくわずかです。小林プロの体験をお聞かせいただけませんか。

 

小:まず、日本でPCR検査を受けてコロナの陰性証明書をもらい、空港でそれを提出して韓国行きの飛行機に乗りました。仁川空港に着いてからが大変で、空港で書類を書いてスマホにアプリを入れた後、空港内の待機所に移り、そこからバスに乗りました。

 

――隔離生活をする場所へ?

 

小:はい。バスで1時間半ぐらいかけて、隔離施設として使われているソウル郊外のホテルに着きました。着いてすぐPCR検査を受けて、それから14日間滞在。ちなみにそこの費用はPBA持ちでした。

 

――部屋は普通のホテルの一室ですか?

 

小:こじんまりしたシングルルームです。14日間そこから一歩も出ずに過ごしました。毎朝体温と体調のチェックをしてアプリから送信して、食事は毎日3食ドアの外に置かれたお弁当とお水をいただいて。テレビとバスタブがあったのは救いでした。

 

――小林プロは辛い食べ物は苦手でしたね。お弁当は大丈夫でしたか?

 

小:たまに激辛なものがあってきつかったです(笑)。トッポギとかスープとか。

 

 

 

(前編ここまで。後編はこちら

 

 

 

…………

 

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