カスタムキューを多数取り扱っている
その代表、大原秀夫氏が所蔵している
キューを見ていく本企画。
(※過去記事はこちら)
今回は『Bender』(ベンダー)を
紹介します。
本企画では2本目のベンダーです
(※1本目の記事はこちら)
代表のマイク・ベンダーは、
シカゴの『オメガ』
(オメガキューカンパニー
~ オメガdpk)の
創設者のうちの一人で、後に独立し、
1992年にアラスカに工房を構えました。
今回紹介するモデルは、
大原氏が長く所有している1本。
BDで紹介していたつもりが
実はまだだったというキューです。
…………
デザイン名称は「ルイ16世」。
これはワシントンDCの
『スミソニアン博物館』に収蔵された
キューと同じデザインの兄弟キュー。
同時期に同デザインで
3本作られたうちの1本が、
他の11の著名メーカーの
キューとともにスミソニアンの
「Permanent Cue Collection」
に収められ、
残る2本が世に出ています。
このキューは3本中の「No.3」です。
バットキャップには、
「SMITHSONIAN EDITION」
(スミソニアンエディション)と
描かれています。
バットのベース材はエボニーで、
マラカイト(緑色の半貴石。「孔雀石」)の
ダガー(短剣)ポイントの
フローティングインレイ5剣。
ダガーとダガーの間には
マラカイトのオーバル(楕円形)が配され、
シルバーベゼル(銀縁)が付いています。
シャフトの下端含め5箇所のリングは、
マラカイトとシルバーでデザインした
「ロザリー(念珠)リング」です。
大原氏・談:
「まだBDでこのキューを
紹介していなかったですか。
載せた気になっていたキューが
多いですね(笑)。
これは、1990年代後半に
スミソニアン博物館に、
マクウォーター、チュディ、ジナ、
リチャードブラックなどの著名メーカーの
キューとともに収められたモデルです。
全く同じデザインで3本作られて、
1本がスミソニアンに永久的に収蔵され、
1本がここにあり、
もう1本がどこかにあります。
私は懇意にしていたシカゴの
キューディーラーのジョン・ライトか、
彼が紹介してくれた別のディーラーから
入手したのだと思います。
ジョン・ライトは、マイク・ベンダーと
非常に関わりが深い人物で、
マイク・ベンダーが独立前にいた
『オメガ』の名付け親でもあります。
それである時、ジョン・ライトから
このキューの写真が送られて
きたのだったと記憶しています。
『今こういうのがあるよ』と。
個人的にマラカイトの
緑色が好きなこともありますが、
見た瞬間にズバッと心に刺さりました。
そこまで細かく作り込んでいる
訳ではないですが、とてもバランスの
良いデザインだと思います。
すぐ購入を決めて、
それ以来ずっと手元に置いています。
マラカイトの緑色にすごく表情というか
深みがあって、ずっと見ていても飽きません。
余談ですが、これと同じデザインで、
シルバーの部分をゴールドにして
オーダーした日本の方もいます。
これは売り物ではなく、
コレクションという位置付けです。
実際、これまでお客様からの問い合わせは
そんなになかったと思います。
たぶんそれはこのキューが
プレーの道具というより、工芸やアートの
作品っぽく感じられるからかもしれません。
オメガにいた頃のやり方を
踏襲していたのだと思いますが、
マイク・ベンダーは独立後しばらく
紙のカタログを作っていました。
そこにもこのデザインは載っていました。
このダガー(短剣)ポイントは
マイク・ベンダーが好んで
使っていたデザイン。
オメガにいた時代からやっていました。
なので、パッと見て『これ、オメガ?』と
思う方もいると思います。
フローティングインレイの、
一つの定番の様式と言っても良いでしょう。
繊細で凝ったインレイデザインで
一時代を築いた『コグノセンティ』は、
オメガやベンダーのこのフローティング
インレイに強く影響されていると私は思います。
マイク・ベンダーは、おそらく今もアラスカで
のんびりとキュー作りを続けているはずです。
彼は穏やかでシャイな人柄。
そして、製作本数の少ないメーカーです。
たしか学生時代は射撃のチャンピオンだったと
思いますが、趣味はハンティング。
公私の時間をはっきりと分けて、
オフにはハンティングを楽しんでいます。
なので、連絡がつかないことも多いです。
少し話がそれました。
今日は撮影ということで久しぶりに
このキューをケースから出しましたが、
やはり美しく、気品がありますね。
よりアーティスティックな
別のベンダーキューとともに、
手元に置き続けることになると思います。
そちらも近日紹介します」
(了)
※取材後記:
後日このモデルの「3本中の残り1本」に
ついて調べたところ、
海外ネットオークションサイトで
それらしきキューが数年前に
出品されていたことが判明。
その時の出品価格は
6万ドル(約650万円)だった。
…………
BD Official Partners :
世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED
創造性と匠の技が光る伝統の国産キュー。ADAM JAPAN
ビリヤードアイテムの品揃え、国内最大級。NewArt
2018年4月大阪市淀川区西中島に移転リニューアルオープン。日勝亭
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徹底した品質の追求。信頼できる道具をその手に。KAMUI BRAND
カスタムキュー、多数取り扱い中。UK Corporation
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