“ショット力向上”を主目的とし、
そのためのフォーム・ストローク・
フィジカルの改善をはかる、
パーソナルビリヤードトレーニング、
(プールワークアウト)。
その主宰者であり
マスタートレーナーである
湯山功プロは大の格闘技好きで、
キックボクシングを習っていることは
ご存知の方も多いと思います。
約1年間・週5日のトレーニングを
行っていた湯山プロは、
遂に7月に地元・岡山で
キックボクシングのアマ大会に初挑戦。
こちらの動画の通り、
初めてとは思えない
戦いぶりで初陣を飾りました。↓
大会後もキックボクシングを
続けている湯山プロは、
「キックボクシングのトレーニングは
ビリヤードにも良い影響が数多くある」と
自身のSNSなどで語っています。
本稿ではそのあたりを詳しくお聞きします。
…………
語り手:湯山功
聞き手:BD
――まずはキックボクシングの試合に初出場で初勝利、おめでとうございます。
「ありがとうございます。キックボクシングをやり始めた時から試合に出たいと思ってましたし、そこに向けて一生懸命取り組もうと思ってました。勝って嬉しいというよりも、今の自分がやるべきことはやれたという気持ちです」
――ビリヤードの試合とはまた違う緊張感や恐怖心もあったのでは?
「いや、落ち着いていましたね。怖さはそんなになかったです。まあ死ぬことはないですし、足や肋骨はすでに痛めてますから(笑)。試合中も自分の想定通りというか、思い描いていた通りに身体を動かせました。コーチが言うにはデビュー戦でああいう風に戦える人は少ないそうです。恐怖心が出て腕を振り回すだけになるとか。僕はプラン通り相手のローキックをカットしながら攻撃できていたと思います」
――そもそもそこまで真剣にキックボクシングに打ち込む訳は?
「格闘技が好きなこともありますし、ビリヤードのプロとして一人の人間としてもっと幅を広げたかったからです。新しい世界に思いっ切り飛び込むことで違う光景を見られるだろうと思ったし、それはきっとビリヤードに還元できるだろうと思ってました。それと、自分が外の世界に出て行くことで、ビリヤードとそのプロ選手の存在を少しでも知ってもらえたらという気持ちもあります」
――週5でキックボクシングのジム通い。身体も絞られてより精悍になりましたね。
「筋力・体幹・柔軟性・ボディバランスなどあらゆる面が向上しました。身体をコントロールする脳のトレーニングもできました。ビリヤードにはない動き、得意じゃない動きをたくさんやるので、身体のコントロールをものすごく意識します。そうすると、ビリヤードに戻って来た時によりスムーズに身体が使えるようになった感覚があります」
――具体的には、ビリヤードのどんなところ、どんなショットに効果が出ていますか?
「ショットルーティンが簡素化され、10ボールのブレイクの破壊力やキュー切れがさらに増しました。足腰がしっかりしてボディバランスが良くなったので、上体が脱力できるようになり、ハンドスピード(手を振るスピード)が上がったためです。この動画(↓)を見ていただくとわかりやすいかと思います」
――いずれもスッと構えに入って素振りなしでショットしていますね。
「もともと撞くのは速い方でしたが、キックボクシングを学ぶ中で『そうだ!』という気付きがあって、ある日ワンストロークでブレイクしてみたら良い感触でした。普通は何回か予備ストロークをして本番を迎えますが、僕は構えに入る前からキューアングル・テイクバック・スピードが決まっていて、フィニッシュまでイメージできていて、何度でも狙った所に狙った形でキューが振れる。それなら、ルーティンも含めて過剰なものは省けるんじゃないかということで簡素化しました」
――それをプールワークアウトでは「クイックセットアップ」と呼んでいるのですね。
「そうです。まずブレイクから始めて――それは『セットアップブレイク』と名付けていますが――その後、通常のプレー時にもクイックセットアップを採り入れるようになりました。脳に達する命令はシンプルにした方がショットに迷いがなくなりますし、イップスも出にくくなると思います。例えば、スヌーカーを観ていると、あれだけ的球を入れるのが難しい競技なのに皆ルーティンがシンプルでプレースピードが速いと感じます。それはセットアップの簡素化も関係していると思います」
――動画のブレイクを見ているとサッと楽に撞いているように見えますが、パワーがしっかり伝わっていることが的球の散りからもわかります。
「最初の2つのブレイクは30km~33kmぐらいでコントロールしたもの。1番にヒットするまでの手球のファーストバウンドの位置と当たり方を計算して打ってます。それであれだけの破壊力が出せます。3つ目のブレイクは右足を伸ばして、左ヒジを短クッションにくっつけて身体を固定して打ったもの。F・ゴーストなど海外トップ勢の中にはこの打ち方をしている人がいますが、これは体幹がなければきれいに決まりません。4つ目のブレイクはお遊び(笑)。キックボクシングのパンチのステップインを採り入れました」
――動画後半のキュー切れは「ヒネリなし」だとのこと。驚きました。
「全てヒネリなしで撞きました。1つ目の真っ直ぐのロングドローだけ撞点を下げていますが、あとの5つは真ん中の半タップ上下の範囲内です。これも体幹が向上し、脱力ができるようになったおかげでパワーとキュー切れにブーストがかかった感じです。真ん中の撞点で出せるバリエーションがめちゃめちゃ増えました」
――もともとキュー切れがある湯山プロがさらにパワーアップ。
「年齢が上がればキュー切れが落ちるのが普通ですけど、僕は技術が上がったおかげで若い時より上がってますね。個人的にはパワーとキュー切れがアップしたことで入れが強くなった(シュート力が上がった)ことが実感できて『やっぱりな』と思いました」
――と、言いますと……?
「例えばJ・ショウとかJ・フィラーがそうですけど、キュースピードが速くてキュー切れがある人は、遠い厚めの球やしっけた重いテーブルを苦にしません。手球が楽に『届く』(回転がほどけない)からです。そうすると入れにエネルギーを傾けられるのでシュート率が上がりますし、一球一球に集中し続ける必要がないので疲れにくくなります」
――たしかに近年の欧米トップクラスはそういう人が目立つ印象です。
「もちろん日本にも速いキュースピードを持ち、有効活用できているプレイヤーはいますが、まだまだ少ないと思います。プールワークアウトでそういったスーパーなプレイヤーを育てたりコーチングをしたいというのも僕の願望の一つです。キュー切れやクイックセットアップについては、キックボクシングで得た経験を活かしてより的確に教えられる自信があります。興味のある方はご連絡ください。……あ、キックボクシングはもちろん続けていきます。早ければ9月に次の試合があるかもしれません。今回応援してくださった方や、コーチ、キックボクシング仲間の皆さんには感謝しています。キックボクシングもビリヤードもまだまだ研究していきます!」
(了)
…………
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