世界各国で競技プレイヤー層を
中心に強い支持を得ている
ハイクオリティ積層タップ、
『斬』(ZAN)。
9月にアメリカで行われた
『10ボール世界選手権』と
『USオープン』では、
斬タッププレイヤーの
大井直幸プロと
A・ヤップ(シンガポール)が、
2大会連続で4強入りを果たしました。
その斬タップから
2020年春に新モデル
『BOOST』(ブースト)が出て
1年以上が経過しています。
→ 発表時の紹介記事はこちら
その間にもますますビリヤード界では
カーボシャフト使用率が上がり、
それに伴い、プレイヤーの
タップ選びにも変化が表れています。
そこで今回は、斬タップの代表である
湯山功プロに、最近の斬タップ事情と、
「カーボンシャフト×タップ」論を
お聞きしました。
…………
語り手:湯山功(JPBAプロ。斬タップ代表・プールワークアウト代表)
聞き手:BD
――昨年発表された斬タップの最新モデル、『BOOST』(ブースト)。国内外でのセールスや評価はどんなものでしょうか。
湯山功:おかげさまで好調です。最近は海外で良い反応をいただいています。もともとブーストはプレイヤーとしての僕が好む、ちょっと極端な性質を志向するタップとして開発しました。
――斬タップシリーズの中で最も強靭な革を使って「球離れの速さ」と「直進性の高さ」を目指して作ったということでしたね。
湯山:そうです。打感も含めて万人向けとは言えない特性だと思いますが、思った以上に多くの方に使っていただき、日本でも海外でもおおむね好意的な評価をいただいています。中国ではチャイニーズプールのプレイヤーが好んで使っていると聞きました。
――それは興味深い。
湯山:チャイニーズプールのテーブルはポケット(穴幅と形状)がシビアで弾かれやすいですよね。でも、あの種目のトップ達はクッションに近い球でも比較的速いキュースピードで入れてくる。日本でよく言われる「ポケットに嫌われないように優しく撞く」のではなく、ためらいのないストロークで、手球と的球の方向性にズレが発生しないようにある程度以上のスピード撞いています。そこでブーストの球離れの速さと直進性の高さが役立っているようです。
――その考えはプール(ポケットビリヤード)にも当てはまりそうですね。
湯山:はい。適切なストロークが出来るという前提でですけど、「的球までの手球の到達スピードが速い方が的球のイン率は上がる」ということです。ブーストのような球離れの速いタップだとそれを実感しやすいと思います。例えば、ドローの殺し球を撞く時は、スピードを抑えて撞点をかなり下げて撞くという人が多いと思います。でもそれは、ボールのコースがズレたり転がりがヨレたり、不確定要素が増える撞き方でもあります。僕は「的球に手球を早く届けることでボールの安定性が増す」と理解しているので、撞点もスピードも少し上げて撞く方が確実性が上がると思っています。クッション際の球もそうですね。僕自身、昔はスピードを落として柔らかく撞く方が入りやすいと聞かされていましたけど、検証してみると、ある程度スピードを出した撞き方の方が成功率が高かったです。
――なるほど。すごく端的に言うとブーストは「的球を入れやすいタップ」となるのでしょうか。
湯山:「手球を的球にきれいに届けやすいタップ」という言い方が良いですかね。その結果、的球が入りやすくなる。ただし「理にかなったストロークが出来る限り」という注釈が付きますけどね。
――ブーストに関連してお聞きしますが、今、斬タップは7種類あります。「私のストローク、私のシャフトにはどのタップが合いいますか?」などとアマチュアプレイヤーや生徒さんから聞かれることはありますか?
湯山:もう100%に近いです(笑)。どのイベント、どのレッスンでもたいがい聞かれます。永遠のテーマですね。でも、やはりその方の撞き方を見たり、悩んでいるポイントがわからないと的確に答えることはできません。そして、その方が斬タップを使っているならストレートにアドバイス出来ますが、他社製品については僕は熟知していないので、上手く答えられなかったり、オブラートに包んだり、ということもあります。
――「カーボンシャフトに合う斬タップは?」という質問は?
湯山:最近増えました。これもカーボンシャフトの種類とその人のストロークなどによって変わるので一概には言えません。「カーボンシャフトはどの商品も全て硬い。全てパワーがある」と思っている人も結構いるので、そういう先入観から離れていただくのも大事です。僕は市販されているだいたいのカーボンシャフトで試打と実験をしましたが、本当にだいぶ違うんですよ。ウッド(木製シャフト)より柔らかいものもありますし、トビが出るものもありますし、キレやパワーが劣るものもあります。面白いほどカーボンシャフトの性能・性質は様々です。
――湯山プロの今のシャフトはMIKIの『IGNITE 12.2』(イグナイト)ですね。
湯山:イグナイトは数あるカーボンシャフトの中では弾力があって、先端がしなりやすく、比較的遅いキュースピードでもスピンがかけやすいシャフトだと思います。でも、撞いたことがない人はカーボンというだけでイグナイトのことも硬いと思い込んでいたりしますので、「そうではないですよ」と言いたいですね。そして、そんなイグナイトの特性を念頭に置いて開発したのがブーストです。……というのは前も言いましたね。
――はい、お聞きしました。「ウッドシャフトからカーボンシャフトに移る時にタップはどうするべきか」という質問もきっとあるのではないかと思いますが、それについては?
湯山:ありますね。さっき言ったようにカーボンシャフトにも色々あるので断定的なことは言えませんが、基本的には「カーボンシャフトにもまずそれまでと同じタップを付けてみてください」と言います。最近たまに「カーボンシャフトは硬くてパワーがかなりある。だから、硬くて高弾力なタップを使うと手球が動きすぎてコントロールしにくくなる」という話を耳にしますが、メーカーとしてもトレーナーとしても僕はそうひとまとめにするのは危険だと思います。
――そこは一概には言えないと。
湯山:打感が硬くとてもパワーのあるカーボンシャフトもあるのは事実です。ただ僕の理論で言うと、そういうシャフトに硬度の高いタップを付けると手球が暴れるとか、コントロールしにくくなるとは限らないと思っています。そういうイメージを持たれがちなのかもしれませんが、実際は適切な知識とテクニックがあれば十分にコントロールできますし、さらに出来ることの幅も広がります。せっかくシャフトとタップに高い出力があるのならそれを使わない手はないですし、扱い方を身に付ければちゃんと制御できるというのが僕の考えです。ブーストの話と重なりますが、僕はカーボンをはじめとする現代の高性能シャフトにはいわゆる硬めのタップを付けて球離れの速いセッティングにした方が、スピンの効き・直進性・コントロール性を高めやすいと思っています。少なくとも「カーボンシャフトには柔らかいタップを」とひとくくりにすることは出来ません。
――それもハイスピードカメラなどで解析したりしているのでしょうか。
湯山:そうです。宣伝になってしまって申し訳ないですが、プールワークアウトにはその設備とメソッドがありますので、あるシャフトにあるタップを付けてショットした時、インパクトの瞬間にどんな物理現象が起きているのかということを確認できます。そこをプレイヤーとトレーナーが認識できていないと、本当の意味でその人に合ったタップ選びはできません。カーボンシャフトというもの自体がまだ新しいものなので、ビリヤード界全体的に研究が追い付いていないところがありますが、特にアマチュアプレイヤーの皆さんが誤解したり混乱してしまうのは良くないと思いますので、引き続きSNSやYouTubeなどで研究結果やメソッドを発信していきたいと思います。
(了)
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