先週末東京で開催された
初優勝を飾った
下川晃義(しもかわ あきよし)選手の
談話をお届けします。
2003年〜2005年頃、
ポケットの日本トップアマとして
活躍していた下川選手。
21歳の時にアマポケットの全国タイトル、
『マスターズ』(2004年)で優勝。
関西のオープン戦(プロ・アマ混合)でも
優勝・入賞を繰り返していましたが、
23歳で競技から離れました。
その後7年のブランクを経て
30歳の頃にスリークッションに出会い、
再び競技の道へ。
3C歴約約2年の2014年、
関西予選を通過して初めて
『全日本アマ3C選手権』の本戦に出場。
そこから毎回本戦に出場し、
7回目となる今年、初戴冠を飾りました。
日本でポケットとキャロムの
両競技でアマ全国タイトルを獲った
プレイヤーは前例がほとんどなく、
少なくともBDが知る限り
2000年代では「ゼロ」だと思います。
そんな競技キャリアにも触れながら、
大会翌日に話を聞きました。
…………
Akiyoshi Shimokawa
生年月日:1983年2月5日
出身・在住:大阪
職業:会社員
所属店:『三角』(みすみ。大阪府大阪市城東区)
ビリヤード歴:ポケット6年(17歳~23歳)・キャロム9年(30歳頃~現在)
使用キュー:ADAM JAPAN片岡久直プロモデル。片岡プロ本人から借りて使用中(シャフトはSolid 8〈キャロム用〉、タップは斬・ブースト)
主なタイトル:
【ポケット】
2004年『マスターズ』(アマ全国タイトル)
2004年『エイトボールオープン』(※JPBA西日本ポイントランキング対象。現在は非開催)
2004年~2005年『京都オープン』連覇(※プロ・アマ混合イベント)
他、優勝・入賞多数
【キャロム】
『全関西アマチュア3C選手権』優勝
『全関西アマチュア3C選手権 秋季大会』優勝
2021年『全日本アマチュア3C選手権』優勝
全日本アマ3C選手権・本戦出場回数:今回が7回目
…………
――優勝から一夜明けました。
下川:たくさんの人からいっぱい「おめでとう」の連絡をいただいて、だんだんと優勝を実感しています。
――2日間で8試合プレーしました。疲労感は?
下川:身体は疲れてないんですけど、頭が疲れました(笑)。
――改めて2日間を振り返ると?
下川:上手くプレー出来た感じや入り込めて撞けた感覚はほぼ全くなくて、最後までずっと不安しかなかったです。そこはポケット時代とはだいぶ違いますね。当時は自分なりに完全に集中してゾーンに入って、完璧に出来てる……という勘違いをしながらやってました(笑)。今は全然違います。
――全日本アマ3Cで初めて決勝戦(優勝決定戦)を撞きました。そこまでの試合と異なる緊張やプレッシャーはありましたか?
下川:「決勝戦ならではの」ということですか? いや、それは案外なかったです。予選の第1試合も決勝戦も同じような感覚でした。僕は『回って来た球のことだけを考えて撞く』ということを心掛けているので、置かれた状況を気にしてなかったというのもあると思います。いつも大会中はほとんどアベレージや順位は見ない……というかあんまり見たくない方です。それでも耳には入って来るんである程度自分の状況はわかってますけど、今回もそこはあまり気にせず、回って来た球のことだけに集中してました。
――最後、18-20のビハインドから4点、3点と当てて上がりました(最終スコアは25-20・23 inn)。終盤の心理状況は?
下川:そこに行く前に、めちゃめちゃキューが出てない裏回しが一回ありました(16キュー・18-18時点)。イメージよりかなり弱くなって押しがかかって長く抜けたやつです。でも、あの球が自分の中のスイッチになりました。すぐ近くで梅田プロ(JPBF梅田竜二プロ。会場の『ヤマニ』代表。2007年3C世界チャンピオン)も見てましたし、『こりゃアカン』って(笑)。間違っててもいいからしっかり行こうと思いました。その意識が終盤でいい方にころんだかなと思います。
――終わってみれば無敗優勝でした。ご自身が思う勝因やターニングポイントは?
下川:あまり思い浮かばないですけど、やっぱりさっき言ったように『回って来た球だけを考える』というのが良かったのかなと思います。僕は駆け引きとかは出来ないし、そもそもそんな技術はないんで、自分の得になるショットを選ぼうと。一球一球それだけを心掛けていました。ただもしかしたら、ポケット時代に大会の決勝戦は結構撞いてるんで、その経験はプラスになっていたのかもしれないと終わってみて思います。
――下川選手にとって全日本アマ3C選手権とはどういう大会ですか?
下川:やっぱり1年で一番大きな『格別の試合』です。ここを中心に1年間動いてますし、関西予選の時も『全国でこれが撞けるかな』と思いながらやってます。
――7回連続で関西予選を通っていたというのは把握してませんでした。
下川:初めて本戦に出たのが前回『ヤマニ』さんが会場になった時やったんです(2014年)。そこからずっと本戦に出てます。初めて本戦を撞いた場所で初めて優勝出来たっていうのは何か感慨深いものがありますね。
――少し話は逸れますが、普段下川選手はどこでどんな練習を?
下川:普段は週1~2ぐらいですかね。試合前の時期は妻の許可をもらってなるべく多く撞くようにしてますけど、仕事も家庭もあるので合間の時間を見付けてっていう感じです。場所はいつも『三角』(みすみ。大阪府大阪市城東区) で、マスター(関西トップ選手の佐野修氏)とずっと撞いてます。口で教えてもらうことはほとんどなく、ひたすら黙って撞いてます(笑)。
――そもそも3Cとはどうやって出会ったんでしょうか。
下川:23歳でポケットから離れて7年ぐらいブランクがあって、ある時、元JPBAプロの鶴谷さん(信之氏)と会うことになったんです。鶴谷さんと僕は以前『ボンバークラブ』(大阪。JPBA片岡久直プロのお店)で一緒でした。で、その場のノリで「3Cでもやってみようや」ってことになって、やってみたら全然上手く行かなくて腹立ってきて(笑)。それで火が点いたんです。たしかその時は鶴谷さんに負けたのかな。「またやろやー」みたいな感じで言われてさらに腹立って、そこから闇練スタートっていう感じですね(笑)。ビリヤード覚えたての人と変わらないですよね。
――(笑)熱い話をありがとうございます。ベタな質問ですが、3C(キャロムビリヤード)の魅力とは?
下川:魅力ですか、難しいなぁ……。球の回転を追うのが楽しいですね。僕はシステムをほぼ全く覚えてないんです。ファイブアンドハーフは一回覚えたんですけど、書いてある通りに行かなくて「無理や」と(笑)。嗅覚でやった方が近い所に行くんでシステムは使ってません。その代わり、球の回転を思い描いてから撞いて、それを目で追っ掛けて……というのを毎回やってるんで、撞くのにちょっと時間はかかりますけどね。一つとして同じ球は無いですし。
――ポケットとキャロムの両競技で全国アマタイトルを獲りましたが、勝利の味は違うものですか?
下川:ポケット時代も優勝したら嬉しかったんですけど、今とは全然感じ方は違います。ポケット時代は365日どっぷり球に浸かってましたし、趣味という感覚じゃなかったです。それに若くて完全に勘違いモードで撞いてたので生意気でしたね(苦笑)。勝ってもどこかで『当たり前やろ』ぐらいのスタンスだった時もありました。その後ブランクを経て3Cをやってますけど、今はもう生活環境から何から全て違ってます。仕事と家庭の時間がまずあって、その合間に練習して試合に出る。完全に趣味です。
――今もポケットを撞くことはありますか?
下川:ゼロに等しいです。たまにキャロム台が埋まってて待っている時にポケット台でストロークの練習をするぐらいで、誰かと対戦するのはゼロです。
――ポケット時代の下川晃義を知ってる人から「ポケットを撞こう」と誘われることは?
下川:今はもうないですし、誘われても行きません(笑)。
――今後の目標とは?
下川:全日本アマ3Cの連覇です。久しぶり(※14年ぶり)に関西に来たこのトロフィーをなるべく長くこっちに置いておけたらいいなと思ってます。それと、目標というか願望としては、ポケットでビリヤードを始めて3Cもやるようになる人がもっと増えたらいいなと思ってますし、その一例として僕みたいな人がいると知ってもらえたら嬉しいです。ポケットの人からすると3Cはちょっと敷居が高いイメージがあるのかなと思うんですけど、ポケットをやってきた人はすぐにキャロムも楽しめると思いますので、多くの人がもっと自然に2つの競技をやるようになって、もっと繋がって行けばいいなと思っています。「どっちの大会にも出てます」という人が増えるのが理想です。
――わかりました。最後に応援してくれた方々に一言。
下川:3Cを始めた時からずっと教えてもらってる佐野さんには頭が上がりません。いつも一緒に撞いてもらってますし、営業時間外に押しかけたこともあります(笑)。この優勝は佐野さんのおかげです。そして、僕のビリヤードのベースは、ポケット時代に勝手に師匠と呼んでいた片岡久直プロから教わったことで出来ていますので、片岡プロにも感謝しています。今のキューは17年ぐらい前に片岡プロからお借りしたものなんです。当時これでポケットの大会で優勝して、片岡プロに「そのまま使ってていいよ」と言われてずっとお借りしています(笑)。最後に、僕のビリヤード活動を理解していつもサポートしてくれている妻と子供にも感謝しています。
(了)
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