〈BD〉45年前の1月→「ポケットプロたちのプロフィール紹介」。【シリーズ・日本ビリヤード新聞 vol.5】

 

ビリヤード珍品コレクター」の

I氏(あいし)が所蔵している、

 

約半世紀前の月刊紙

『日本ビリヤード新聞』から、

当時のビリヤード事情を読み解く

企画の第5回。

 

今回採り上げるのは

昭和52年(1977年)1月号(第141号)。

 

ポケットプロ選手団体『JPBA』

(※当時は別名称)の草創期を支え、

上位の戦績を収めていたプロたちの

プロフィールを紹介しています。

 

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I氏・記:

 

ビリヤードをこよなく愛する皆様、こんにちは。今回は45年前の1月のビリヤード・ニュースを紹介させていただきます。

 

上の画像は、当方が所有している『日本ビリヤード新聞』昭和52年(1977年)1月号(第141号)の第一面です。

 

その見出しには、

 

『1976 第9回全日本プロポケットビリヤード選手権

最優秀選手 ジム・レンピ(アメリカ) 14-1 優勝

ローテーション 3位  ナインボール 5位』

 

とあります。

 

前年(1976年)の11月に大阪の千里阪急ホテルで行われたこの大会は、現在の『全日本選手権』にあたるもので、当時無敵を誇った“King James”ことアメリカのジム・レンピ選手を招聘しました。

 

現在の『全日本選手権』の競技種目は男子が10ボール、女子が9ボールですが、当時は14-1(ストレートプール)、ローテーション、ナインボールの3種目を開催していました。その総合成績からレンピ選手がMVPに輝きました。また、フィリピンのホセ・パリカ選手も招待参加していて、ナインボールが3位、14-1が5位、ローテーションが5位で総合成績は6位でした。

 

『日本ビリヤード新聞』昭和51年(1976年)11月号(第139号)の一面記事。レンピ選手とパリカ選手の参戦を報じている
『日本ビリヤード新聞』昭和51年(1976年)11月号(第139号)の一面記事。レンピ選手とパリカ選手の参戦を報じている
『日本ビリヤード新聞』昭和52年(1977年)1月号(第141号)の記事。「第9回全日本プロポケットビリヤード選手権」の成績を報じている
『日本ビリヤード新聞』昭和52年(1977年)1月号(第141号)の記事。「第9回全日本プロポケットビリヤード選手権」の成績を報じている

 

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さて、この号では当時のポケットビリヤードのプロ選手の紹介をしています。紙面で取り上げられた選手は、この『全日本プロポケットビリヤード選手権』に参加した選手や、「トーナメント アシスタント」という肩書きで大会の運営に関わっていた女性プロ選手です。

 

ここでは、その記事の中から10人の選手のプロフィールを紹介させていただきます。なお紙面では各選手のこれまでの戦跡なども詳しく紹介されていますが、割愛させていただきます。また文中に“マンスリートーナメント”とありますが、これは当時、毎月開催されていたプロ参加の大会で、その獲得ポイントでプロ・ランキングを決めていました。

 

(原文ママ、以下同じ):

 

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●藤間一男

 

一期生 京都市

所属 ビリヤードフジマ  専属 日本玉台(大阪)、 淡路亭(東京)

 

プランナー、プロモーター、プロデューサー、プレーヤーとして、ポケットビリヤードのブレインとなり活躍する”ミスタービリヤード”。近い将来日米対抗や世界選手権を日本で開催したいという。8月にニューヨークに飛んで世界選手権を主導したPPPA設立にアドバイスを提供し、トーナメントにも参加するなど既にアメリカに8回、フィリピンに2回渡航し、トーナメント出場や日本との交流パイプ役として本大会を国際トーナメントにまでセットした。トーナメントに対する練習は(特に海外試合の場合)量よりも質と強調している。

(注)PPPAとは当時のアメリカの団体「Professional Pool Players Association」の略称である。

 

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●角当哲朗

 

六期生 千葉県市川市

所属 後楽園ビリヤード

 

プロ経験3年ではあるが“3強”に迫るトップ・プレーヤーに成長した。今年8月シカゴで開催された全米オープン選手権(14-1)に日本代表として初出場し、32名中の13位。機会があれば何度でも渡米してトーナメントに参加したいという。 14-1ゲームなら世界に飛び出せるプレーヤーだ。

 

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●花谷 勝

 

一期生 大阪市

所属 ビリヤード花谷

 

今年のプロ・ランキング1位を藤間と争ってデッドヒートを展開した。マンスリートーナメント3種目総合で、同勝同敗(44勝13敗)をマークした2人の差は14-1ゲームのハイランによって決められた。2人とも100点のハイランをスコアしている為、ネキストハイラン(花谷99、藤間74)により、ランキング1位が決まるという全ったくきわだったスコアであった。全米オープン選手権にも2年連続出場し、国際的プレーヤーの仲間入りをした「ミスターハナタニ」は内外とも多くのファンを持っている。

 

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●田中 守

 

一期生 東京都狛江市

所属 ビリヤード花  専属 淡路亭(東京)、 日本玉台(大阪)

 

関東地区ポケットビリヤード普及のトップスタッフ。ビリヤードのことなら万能選手。スリークッションでもアベレージは1点をマークする。8月藤間と共にニュージャージー州で行われた14-1世界選手権、アイオワ州バーリントンのエイトボールとナインボール・トーナメントに出場。両大会を通じてテーブル上で味わったボール、クロス、テーブルベッドのフィーリングが日本で感じるものと大いに違っていることを体験、このフィーリングと同じ状態で普段の練習をしてみたいという。初出場ながらエイトボールで64名中9位に入賞。

 

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●井上 彰

 

二期生 京都市

所属 ビリヤード五条

 

マンスリートーナメント3種目共に堅実に勝ちこしを決め、ファイティング・スピリットの魂を思わせる闘志満々のベテランプレーヤー。ポケットビリヤードの中でローテーションが最っとも得意だという。’71年プロ選手権ローテーション・ディビジョンのウィンナーでもあり、この種目では最も手強い一人だ。

 

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●浪江 隆

 

三期生 京都市

所属 ビリヤードなみえ

 

今年のプロ・マンスリー・トーナメントは、ローテーションを除いて成績があまりパッとしないが、それを実力として評価することは出来ない。“3強”の一人として常に実力はトップクラスにあり、彼に対するイメージはまったく失われていない。ハスラー的キャラクターのプレーヤーとして、トーナメントなどの一発勝負には自信をもっている。アメリカのトッププロ「ブライアン」とナインボールで7時間も勝負がつかず引き分けに終ったエピソードがある。アメリカのエイトボールかナインボールのトーナメントに送りこめる選手だろう。

 

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●長谷川 邦夫

 

六期生 大阪府寝屋川市

所属 ビリヤードABC

 

今年は成績がグーンと向上し、堂々とプロランキング3位を獲得した。まだビッグ・エベントに優勝経験はないが、常に上位に入賞をマークし、決してくずれることのないトーナメント・ダークホース。一寸変ったサイドストロークは、ギャラリーの注目を集めよう。女子アマチュア・チャンピョン長谷川香由美さんは愛妻。陽気で明かるいキャラクターが多くのファンに親しまれている。

 

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●長矢 賢治

 

七期生 大阪府寝屋川市

所属 ビリヤードABC

 

関東ナンバーワンの彼がプロ入りしたのは2年前だった。今年は昨年の倍以上に進歩して堂々と3種目に出場する。14-1で7位、総合ランキングで先輩を追い越し9位に躍進。几帳面な性格により、ゲームに対して忠実そのものであり、少しカケヒキが望まれる。今後期待できるヤングプロ。

(注)当時長矢プロは大阪で修行をしていた。

 

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●島崎 和子(トーナメント アシスタント)

 

四期生 大阪市

所属 ビリヤードしまざき

 

島崎義光プロ夫人としてビリヤードの経営に、エキシビションに第一線にて活躍し、女子プレーヤーの育成や、女性ファンの誘致にも努力を重ねている。’76年ロサンゼルスの女子世界14-1選手権に8位に入賞した。今大会はトーナメントアシスタントとして場内に明るい雰囲気を持ち込んでくれるでしょう。

 

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●原田 美恵子(トーナメント アシスタント)

 

三期生 京都府宇治市

所属 ビリヤード平城  専属 日本玉台(大阪)、淡路亭(東京)

 

日本中で敵なしの彼女の技術はアメリカでも通用した。’74年ロサンゼルスで行われた女子世界14-1選手権で優勝、全米オープン選手権で準優勝を2回獲得した彼女の名前は世界に拡がった。一度女子エイトボール(アメリカ)トーナメントに出場したという。勿論勝率は95%以上望めるだろう。

 

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日本のポケットビリヤードのプロ選手団体は昭和42年(1967年)に、関西の有力選手を中心に発足しましたが、昭和50年代になると関東をはじめ全国にポケットビリヤードの愛好者が増えてきました。また女性プロ選手も誕生し、選手層も厚くなってきたことが分かります。

 

現在のポケットビリヤードのプロ団体JPBAに所属しているプロ選手は男女合わせて約250人で、複数の世界チャンピョンをはじめ、多くの実力選手を輩出してきました。新型コロナウィルス感染拡大の影響で、プロ選手の動向がなかなか伝わりにくい今日この頃ですが、2022年こそコロナ禍がおさまり、多くのプロ選手が活躍する姿を見せてくれることを、I氏は待ち望んでいます。

 

(了)

 

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I氏、ありがとうございました。

 

また来月、約半世紀前の2月の

日本ビリヤード界のニュースを

解説していただきます。

 

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※シリーズ・日本ビリヤード新聞の

過去記事はこちら

 

 

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