〈BD〉「まさか自分があんな風に試合で撞けるとは」――『関東レディースオープン』初優勝・久保田知子の談話

 

先週末の『関東レディースオープン』で

優勝した久保田知子プロの談話を

お届けします。

 

久保田プロにとって初の「関東」タイトル。

そして、プロキャリア2勝目です。

 

終始落ち着いて

ハイレベルなプレーを展開していた

久保田プロ。その秘密は……!?

 

大会翌日にお話をお聞きしました。

 

…………

 

Tomoko Kubota

JPBA45期生（2011年プロ入り）

山口県出身・大阪府在住

2010年『全日本女子プロツアー第2戦』優勝（当時アマ）

2016年『全日本女子プロツアー第1戦』優勝

2022年『関東レディースオープン』優勝、他入賞多数

使用キュー：PREDATOR（タップはKAMUI）

所属店：『ウィリー』（大阪）　※久保田プロのレッスンあり（グループ&マンツーマン） https://willie-school.com/

スポンサー：リネアカンパニー

 

※久保田プロのブログで関東遠征の裏話公開中

 

…………

 

――優勝から1日経ちました。今振り返っていかがですか？

 

久保田：すごく神がかっていたというか出来すぎというか……自分でも驚くぐらい良い内容で優勝出来ました。「まさか自分があんな風に試合で撞けるとは」と、今もまだ不思議というか初めての感覚ですね。

 

――強い勝ち方でした。主導権をしっかり握っていて。

 

久保田：いつも私はだいたいランキング上位のプロ達にボコボコにやられて、『ああ、またか』と思う側だったんですけど（苦笑）、今回、特に決勝日の3試合（ベスト8vs栗林美幸・準決勝vs曽根恭子・決勝戦vs平口結貴）は、もちろん運もすごく良かったんですけど、上位の人達相手にああいう形で勝てたことが嬉しいです。

 

――予選日（23日〈土〉）はいかがでしたか？

 

久保田：スコアや展開的には予選日の方がきつかったです。私の状態は悪くなかったですし、そこまでたくさんミスしてなかった……いや、よく覚えてはいないんですけど、大きくリードするという展開ではなかったので、『がんばらないと』と思う場面が何度かありました。

 

――決勝日は良い集中を終始持続しているように見えました。

 

久保田：すごく穏やかだったです。ほんと無に近いというか、ほとんど何も考えてなかったです。もちろんテーブルや相手の球は見ていたし、頭は動いているんだけど、そこにとらわれることがなくて。今までは相手の球を見ながら『取り切られたらどうしよう』『次回って来たら取り切らないと』とか思ってドキドキしてました。今回も少しそう思う時もあったけど、球に向かった時は自分のやることに集中出来てたと思いますし、ちょっとおかしくなりそうだなっていう時は、『こういうのも久しぶりだし楽しいやん』と思ってました。そのせいか、すごく変なイージーミスみたいなのはあまりなかったと思います。

 

――なぜその境地に行けたのか。

 

久保田：いやー、（大阪から関東に）行く前は普通にドキドキしてたんですけどね（笑）。でも、大会前に神奈川でチャレンジマッチのお仕事をさせていただいた時に、がんばって撞いてても意外と疲れてなかったし、試合の前の晩はめっちゃ寝れたんですよ。いつもはしっかり寝ちゃうと逆に頭がボケーッとしちゃって球が入らないことがあるんですけど、今回は大丈夫でした。

 

――つまり、身体が元気だったと。

 

久保田：めっちゃ元気でしたね（笑）。だいたい予選日を通過した時はがんばったせいで翌日に疲れが残るんですけど、今回はそれも全然でした。決勝日は展開的に私が撞く番が多くて、マスクをしてたからまあまあ息が上がる時もあったんですけど、疲れてはいなかったです。

 

――技術面で良かったところとは？

 

久保田：ブレイクはかなり良かったと思います。そこはコロナ禍の間に磨いたところの一つです。自分ではあまり覚えてないんですけど、マスワリが結構出てたみたいで、それはブレイクが良かったおかげです。それと、シャフトを1ヶ月前に替えたんです。（PREDATOR）REVO12.4から12.9に。それがバッチリでした。

 

――見ていて、「届いてる」（＝回転がほどけない。狙った通りの撞点効果を出せる）感じがすごくありました。

 

久保田：そうそう。お店（久保田プロが所属している大阪『ウィリー』）の上手い常連さんの意見を参考にして、「届く」道具のセッティングは研究しました。何かのきっかけでREVO12.9にしてみたらめっちゃ良くて。男子には強すぎるのかもしれないけど、女子には届きやすくて良いと思います。今回、予選日の会場（池袋ロサ）も決勝日の会場（バグース六本木）も湿気てましたけど、私はだいたい思ったように撞けました。引けないとか届かないという感覚はなかったですね。カーボンの特性が生きたのかもしれないです。

 

――ゲームボールを入れた瞬間はしっかり笑顔で手を振って喜びを表していましたね。

 

久保田：ちゃんと喜びたいなと思って（笑）。私は今まで勝ってもほとんどノーリアクションだったので意識的にやりました。今回の2日間、勝った瞬間に素直に『よっしゃー！』って思ったのは予選日のベスト16（vs 小西さみあ）です。最後のマス、難しい配置をマスワリ出来たんで『めっちゃ頑張ったやん、自分！』って。

 

――2016年の『全日本女子プロツアー第1戦』以来、2度目の優勝です。

 

久保田：正直もう勝てないんじゃないかなと思ってました。「2回目がないまま引退するのかな……」って。前回優勝してからも、毎回のように上位のプロ達にベスト8ぐらいでボコボコにされちゃってたんで、「無理」って思うこともありました。でも、今回は逆に自分が展開を握ってああいうスコアで勝てたので、2度目の優勝ということもそうですけど、こういう勝ち方が出来たことが嬉しいです。なんででしょうね、あんなに強い精神力の自分が出て来たのは。アマチュアでやってた時以来というか……アマチュアの時って怖いもの知らずで、自分が下手なことも知らないじゃないですか。でもプロになって上手な人達の中で撞くようになって、自分が出来てないことをいつも勉強する日々で……。なんでああいう状態になれたのかやっぱりわかりません（笑）。

 

――プレイヤーとしての今後の目標とは。

 

久保田：トップの人達に「簡単には勝てないな」と思わせられるような空気が出せるプレイヤーになりたいし、ランキングトップ3に食い込んで行けるようになりたいですね。今まで瞬間最高で5位で、年間で見ると6位や7位。そこからさらに上に行きたいです。

 

――最後に、お世話になっている方々へのメッセージを。

 

久保田：今回の大会中・前だけでなく、コロナ禍やコロナ直前など、何名かのプロの方にプレイヤーとしてアドバイスをいただきました。少なくとも今回はそれを活かせたというか発揮できたと思います。定期的に練習させてもらっている河原千尋プロをはじめ、栗林達プロ、野内麻聖美・元プロなど多くの方々に感謝しています。梶谷景美プロにも決勝日のプレーを見てもらえて言葉を掛けてもらって嬉しかったです。それと、『ウィリー』に所属（2017年）してからは今回が初めての優勝です。やっと所属プロとして優勝出来て、お店の皆さんに恩返しじゃないですけど、良い報告が出来て嬉しいです。自分でも『まだ戦える』と思える試合が出来たので、また頑張って良い結果を出したいです。これからも応援よろしくお願いします。

 

（了）

 

 

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