〈BD〉「あの空クッションはミラクルとしか言いようがないです」――『全日本14-1』5度目の優勝、羅立文の談話

 

22日(日)、

東京・池袋『ロサ』で行われた

全日本14-1選手権』で

5度目の優勝を飾った

羅立文(ロー・リーウェン)。

 

大会翌日に試合を振り返っていただきました。

 

…………

 

 

――優勝の感想からお願いします。

 

羅:大好きな14-1の、1年に一度の試合で優勝出来てとても嬉しいです。高橋邦彦プロ(本大会優勝4回)との決勝戦を制して優勝出来たことで、より価値のあるタイトルになったと思います。高橋プロとは2011年の決勝戦でも対戦して、あの時はオープニングブレイク(羅プロのセーフティブレイク)から、高橋プロに100点撞き切られて負けています。なので、決勝戦を勝てた嬉しさということで言えば、今までの5回の優勝の中で今回が一番です。

 

――2日間で7試合しました。ご自身ではよく撞けたと思いますか?

 

羅:全体的にほぼイメージ通りに撞けました。土曜日(予選ラウンド)の3試合と日曜日(決勝ラウンド)の準決勝までの3試合は、あまり考え込まずに早めのリズムで撞けていましたし、ほとんど自分が主導権を握ってプレーできました。

 

――決勝戦は序盤から相手に先行されていてプレッシャーも大きかったと思います。

 

羅:プレッシャーはありました。ああいう展開になったこともあって、緊張感いっぱいで自分の理想とするリズムでは撞けなかったですし、取り出しの球の選択も他の試合に比べるとだいぶ慎重になっていたと思います。でも、最後までお互いに高い意識を持って、それぞれのスタイルを出しながら、良いパフォーマンスを見せていたと思います。

 

――先にランを続けていた高橋プロのプレーをどんな心境で見ていたのですか?

 

羅:そのまま受け入れて、自分のメンタルや集中状態を崩さないようにしながら、撞き番が来ることを静かに待つだけという心境でした。勝ちたいからこそ、待っている間も気持ちのコントロールをしっかりしないといけない。それが14-1です。「ターンが回って来なかったらどうしよう」とか「このまま待っていたら身体が冷えてしまう」とか余計なことを考えたり、焦ったりすることはなく、ただ冷静に待つだけでした。

 

――高橋プロと羅プロのスタイルの違いも感じられる決勝戦でしたね。

 

羅:そうですね。例えば、フミ(羅立文の「文」からきているニックネーム)は壊せる時に一気にラックを壊すスタイルで、壊した後はある程度リズムで取って行きます。高橋プロはあまり大きく壊さないで、局面ごとに細かく壊したり崩しながら取って行くスタイルで、よりテクニック重視だと思います。異なる14-1のスタイルを持っているプロ同士の対戦。フミも早く動画を見て振り返りたいですね(笑)。

 

――最後の第9イニング。高橋プロがきついセーフティを仕掛けてきました。羅プロは撞きづらい手球から空クッションで10番を入れて攻略。そこから取り切って上がりました。

 

羅:まず、高橋プロのあのセーフティの素晴らしさを話さないといけないと思います。技術的に完璧すぎて驚きましたし、会場の雰囲気を変えてしまいました。こちらはセーフティを返すことも全く出来ない形でした。だから、空クッションで攻めるしか選択肢がなかったんです。もしセーフティを選べる可能性がちょっとでもあったらセーフティに行ってたと思います。でも、テーブルを見ながら一周してみてもやっぱりセーフティは全くなかったので、腹を決めて「10ボール」とコールしました。正直入る確率はすごく低かったですけど、他に打つ手がなかったです。

 

――10番空クッションを決めたあの場面、とても盛り上がりました。スーパーショットでした。

 

羅:翌朝、自分のお店(横浜『POOL LABO』)であのショットを再現してみましたけど、ものすごく難しかった(苦笑)。10回やって1回入るか入らないかぐらいの球でした。そんなショットが本番で決まったというのは……自分でもゾッとするぐらいの奇跡だったと思います。たぶんあの場面を生で見ていた他のプロ達も皆「かなり確率の低いショットだ」と思ったはずです。もちろんあの時は入ると信じて撞いていましたけど、結果はミラクルとしか言いようがないです。

 

――空クッションインからランを続けてそのまま上がりましたが(34点撞き切り)、かなり緊張したのでは?

 

羅:あの最後のランはずっと緊張しっぱなしで、ゲームボールを落とすまで全く勝利は確信できなかったです。撞き急がずにゆっくり一つ一つ丁寧に落とすしかありませんでした。試合後に何人かに「あの空クッションが入ったのを見て羅プロの優勝を確信した」と言われましたけど、それは観客側の目線ですね(苦笑)。自分は緊張感マックスでした。

 

――2010年に本大会で初優勝を飾り、それから5回目の優勝です(※2020年2021年はコロナ禍で非開催)。

 

羅:何回優勝しても嬉しいです。毎年この大会に向けて普段から準備していますし、14-1が好きだから今も日々研究しています。過去4回の優勝の頃と比べたら……特に初優勝の時に比べたらさらに14-1が上手くなっていると思いますし、スピードアップしたと思います。今回の決勝戦だけはだいぶ慎重になりましたけど、それ以外の試合は、あまり考えすぎずに早く決断して、サクサク行けるところは行くようになりました。その方がランが伸びやすいと思うし、ジェイソン・ショウのあの世界記録にも近付きやすいのかなと思います。「丁寧と精密」がフミのプレーの特徴ですけど、もう少しリラックスしてリズムに乗って撞くことも大事だとわかっています。それは前からBDさんにも話をしていますよね。その意識は持ち続けていますし、少しずつ進歩していると思っています。

 

――わかりました。応援してくれた人達へ一言。

 

羅:皆さん、いつも羅立文を応援してくださってありがとうございます。今回14-1でまた優勝できてすごく嬉しいですし、会場やライブ配信でプレーを観てもらえて嬉しかったです。14-1は昔から大好きで今もプレーしています。14-1が好きな人や、上達したいという人は、僕のお店で一緒にプレーすることもできますし、試合会場でもお話できる時はしますので声を掛けてください。今年は国内の試合スケジュールに合わせて活動して、後半に海外遠征に行けたらいいなと思っています。日々、体調管理をしっかりやってダイエットもして(笑)、戦える身体を作っていきます。これからもまた応援よろしくお願いします!

 

(了)

 

 

4度目の優勝時の談話(2017年)

3度目の優勝時の談話(2015年)

 

 

Lo Li-wen

1978年7月10日生

台湾出身・神奈川県在住

JPBA43期生

JPBA年間ランキング1位・1回(2010年)

『全日本14-1選手権』優勝5回

『北海道オープン』優勝3回

『関東オープン』優勝3回

『関西オープン』優勝2回

『グランプリイースト』(GPE)では通算14勝

2010年『USオープン10ボール』準優勝

2015年~2017年『アジア選手権』3連覇

2016年『ワールド14-1』3位

他、優勝・入賞多数

神奈川県横浜市『POOL LABO』代表

Supported by UK Corporationキューショップジャパン、ココカラダ

使用キューは『ZEN』(ゼン) 

 

 

………… 

 

BD Official Partners :  

世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED 

創造性と匠の技が光る伝統の国産キュー。ADAM JAPAN 

ビリヤードアイテムの品揃え、国内最大級。NewArt 

ビリヤード台・用品のことなら。レッスン場「Poche」併設。日勝亭

カーボン繊維構造REVOシャフト発売中。PREDATOR JAPAN

徹底した品質の追求。信頼できる道具をその手に。KAMUI BRAND

カスタムキュー、多数取り扱い中。UK Corporation 

国内外トッププレイヤー達が信頼する国産積層タップ。斬タップ

ジャストなビリヤードアイテムが見つかる。キューショップジャパン

13都道府県で開催。アマチュアビリヤードリーグ。JPA

2021年11月25日『船橋店』グランドオープン。 BAGUS

川崎と横浜でビリヤードを楽しむ・習う・競う。MECCA 

カスタムオーダーシャフト『focus1』新登場。Geezシャフト

極上の撞き味を今ここに。国産牛革積層タップ。BIZEN TIP

徹底的なプレイヤー目線でできたJapanタップ。NISHIKI PREMIUM TIP

「チャンピオンのタップ」HOW Tip(ハオ)登場。SHOP FLANNEL

世界が注目。東京発のキューケースブランド。3seconds

第3巻発売中! ビリヤード漫画『ミドリノバショ

Cue Ball Samurai―ビリヤードサムライLINEスタンプ 

 

 

 


<<<前の記事   次の記事>>>