〈BD〉なぜ「最高硬度」に移ったのか。大井直幸、斬タップ『BOOST』(ブースト)を語る

 

世界各国で競技プレイヤー層を中心に

強い支持を得ているハイクオリティ積層タップ、

』(ZAN)。

 

2020年に登場した

『BOOST』(ブースト)は、

「斬シリーズの中で最も硬い革」を採用し、

新しい製法で作られたタップです。

 

斬タップ開発者:湯山功プロが求める

「球離れの速さ」と「直進性の高さ」を

実現した、しっかりとキャラクターが

立ったタップとも言えます。

→ 発売時の記事はこちら

 

そのブーストを今年

(2022年)から使っているのが

日本No.1プレイヤー、大井直幸。

 

大井プロは8年ぐらい前から

斬タップを使っていますが、

M→ハイブリッドマックス→ブーストと、

徐々に硬度の高いものに

シフトしてきています。

その理由を含め、

ブーストの使用感を聞いてみました。

 

※4年前にも斬タップの話を聞いています。

こちら

 

…………

 

 

――4年前の取材の時、大井プロは『M』を使っていました。いつから『ブースト』に? 

 

大井:『ブースト』になったのは……今年の早め、春頃だったかな。『M』の後に『ハイブリッドマックス』に行ってから『ブースト』。徐々に硬度の高いものに移って行って、遂に最高硬度まで来ました(笑)。

 

――『ブースト』になった理由は?

 

大井:色々な意味で『安定感』があるから。僕は今ほぼ海外の試合が中心ですけど、特に海外のテーブルコンディションだと、硬度の高いタップの方がプレーが安定します。ボールコントロールがしやすいし、イメージと結果の間にズレが生じにくいですね。

 

――そうでしたか。

 

大井:それと、タップは『革』という天然の材料を使っているものだから、製造技術によって個体差は減らせるけど、完全にゼロにはできませんよね。でも、僕らプレイヤーは出来る限り同じものを使いたい。となると、柔らかいタップよりも硬いタップの方が商品の安定性が高くてバラツキが出にくいので、そこに行き着いてしまうというのもあります。あと、硬いタップは「時間短縮」にもなります。

 

――「時間短縮」とは?

 

大井:今まではタップを付け変えたら、まず撞き締めて気持ち硬めに仕上げてましたけど、最初から硬度が高いタップを使えば、撞き込む時間がいりません。実際、今は遠征続きでタップを撞き締める時間がそんなに作れないので。

 

――大井プロは以前からタップを交換したらすぐ上半分ぐらいをカットして使っていましたね。今もそうですか?

 

大井:そう、『ブースト』も最初から半分ぐらいの高さにしてます。感覚的な部分だけど、積層が8枚もあると横に動きやすいというか横揺れしちゃう感覚があって気になっちゃうので。でも、『ブースト』の場合は初めに半分ぐらい削っても、革が強いからなのか持ちが良いのでかなり満足感があります。

 

――摩耗のスピードがゆっくりなのですか。

 

大井:そう感じてます。『M』を使ってた時より『ブースト』の方が同じ状態が持ちやすいなと。それもパフォーマンスの安定に繋がっていると思います。僕の中でタップって3、4ヶ月持ってくれたらかなり良い方なんですけど、『ブースト』はそのぐらい持ちます。

 

――『ブースト』は「球離れの速さ・直進性の高さ」重視で開発されたタップですが、それは実感していますか?

 

大井:『ブースト』を使い始めた頃は感じてましたね。もう今は慣れて来てるんで、改めてそれを意識することはないですけど。

 

――4年前に斬タップの話をうかがった時、「軽くてきれいで易しい日本のコンディションと、タフで重い海外のコンディション。両方で撞くことを考えると『M』がいい」というお話をされていました。今はもっと海外中心の活動になっているので硬めの『ブースト』が良いのでしょうか。

 

大井:その通りです。海外のテーブルコンディションは全体的にタフだから、タップを含めて道具にソリッドさがないとボールが安定して扱えない。だから僕には『ブースト』の硬度が必要です。あと、今のキューは前より硬めになってます。HOWキューの『ハイパーX』というカーボン内蔵のシャフトを使っていて、僕の場合、これに硬めのタップを合わせると海外で撞きやすい。でも、このセッティングのまま日本のテーブルで撞くと結構「タップ、硬いな」と思います。ずっと日本にいるならもうちょっとタップを緩めてアバウトさがあった方が撞きやすいでしょうね。

 

――斬タップについて以前「食い付き性能が高くて、その分トビが軽減されていると思う」ということも語っていました。それは『ブースト』にも感じますか?

 

大井:感じます。トビに関してはもっと少なくなったような気がします。ただ、全員に当てはまることじゃないですよ。あくまで僕の撞き方・キューセッティングではそう感じるということ。人によっては『ブースト』の方がよりトビを感じるかもしれないし、その場合は『S』とか『プレミアムソフト』の方がトビを軽減してくれるかもしれない。そこは何とも言えません。

 

――『ブースト』は性質的に尖ったところのあるタップだけに、合う・合わないもはっきり分かれるかもしれないですね。

 

大井:そうですね。想定してたけど、僕もブーストに移ってすぐはボールコントロールが難しかったです。最初の1週間ぐらいは我慢しながら使ってました。今はすごく合ってますけど、それは僕のキュースピードが速い方だからかもしれない。キュースピードが速くない人が『ブースト』を使うと、もともと球離れが速いから「ただピュンピュン手球が飛んで行くだけのタップ」になる可能性もあると思います。それでも引き球とかはやりやすいと思うけど、コントロールするのが難しいはずです。キュースピードがある程度以上ある人なら、『ブースト』でも少し潰れてくれるというか、「食う」感触があるんですけど、そこがコントロールを生む重要なポイントだと思います。

 

――海外大会に出掛けて、海外プレイヤー達と交流する中で、様々なタップを撞くことがあると思います。

 

大井:ありますね。色々な選手のキューを撞かせてもらったり、「これ、どう?」なんて言われたり。他のものも試してみた結果、『ブースト』はかなりパワーやキレがあるなと感じています。

 

――海外トップ勢のタップのトレンドは? 『ブースト』みたいな「強め・硬め」なタップが多いんですか?

 

大井:必ずしもそんなことはないですよ。結構バラバラ。やっぱり海外の人達はもともとの力が違うから、道具に頼らなくてもパワーやキレを出せる人が多いんで、結構『好み』とか『キューとの相性』で決めたりしてるんじゃないかな。あくまで傾向として、僕が見てきた範囲内では、欧米トップ達も硬めのタップを薄くして付けてる人が多いですけど、柔らかいタップが好きなトッププレイヤーもいます。あ、アジア選手は今も柔らかめのタップを好む人がそこそこいますね。それはたぶん、普段の地元のテーブルコンディションや湿度も関係していると思います。

 

――わかりました。大井プロは2023年も『ブースト』で世界へ。

 

大井:はい、『ブースト』は今の僕の思想にすごく近いタップですし、当分変えることはないでしょう。2023年は早速1月から海外遠征が続くんで、楽しみながらプレーしたいと思います。

 

(了)

 

…………

 

参考記事:

 

2020年4月

〈BD〉斬タップの新モデル『BOOST』(ブースト)、5月1日発売開始。開発者:湯山功プロのコメントあり

 

2018年12月

〈BD〉日本No.1プレイヤー、大井直幸が語る『斬タップ』使用歴と”タップに求めること”

 

○ 斬タップ関連記事はこちら

 

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