2023/02/20

〈BD〉「嬉しさよりも信じられない気持ちが強いです」――GPE-1優勝・土方隼斗の談話

昨日（19日）の

『GPE-1 in Link西川口店』で

優勝した土方隼斗プロの

談話をお届けします。

試合動画を見ていた方や

土方プロのSNSなどを

フォローしている方はご存知の通り、

土方プロは大会数日前に足を痛め（捻挫）、

右足首をテーピングで固めた状態で

2日間プレーしていました。

そんな状態ではプレーフォームと

プレーテンポは変わらざるを得ませんが、

高いプレー水準を維持したまま、

GPE記録である「22回目の優勝」を

飾りました。

芸は身を助くと言いますが、

幼い頃から体に染み付いている

ビリヤードプレイヤーとしての

フォーマットみたいなものが

土方プロの身体を操作していたと

考える方がしっくり来る気もします。

…………

――まず、優勝の感想を。

土方：優勝出来ると全く思ってなかったので、今もまだ嬉しさよりも信じられない気持ちが強いです。

――右足は捻挫だとお聞きしました。サポーターなどで固定してプレーしていましたね。

土方：自分の不注意なんですが、数日前に結構な捻挫をしてしまいました。「グキッ」という音が今も耳に残ってますし、「やっちゃった……」とすごくショックでした。球を撞くどころではなく、予選前日までちゃんと歩けてもいなかったので、お休みすることも考えてました。ただ、痛みはだいぶ収まってきましたし、サポーターとテーピングでがっちり固めたら歩けることは歩けるので、予選会場に行くだけでも行って出来る範囲でプレーしようと思いました。

――結果的に7試合を撞いて優勝を飾りました。

土方：自分でも意味がわかりません（笑）。体力的にはとにかくしんどかったです。特に予選日の晩はものすごい疲労感でした。今日も4試合して今だいぶしんどいです。決勝戦では右足の、普段つったことのない箇所がつりそうになってました。

――普段通りではないスタンスやフォームでよく撞けましたね。

土方：徐々に慣れてきました。右足に力を入れると痛むので、スタンスは普段より左足重心で身体を前バランス気味にして、右足は後ろに引いた上でかかとの方だけに体重を乗せていました。安定感はないので、その分左手と左腕でがっしり上半身を支えることを意識してました。それもめちゃめちゃ疲れました。

――それでも相変わらず高いシュート精度だったと思います。

土方：シュート自体は上半身だけでもちゃんと狙えていて違和感はあまりなかったです。ただ、手球のコントロールは……、弱く撞くショットは問題なかったですけど、ちょっと強めで動かしたい球とかは力加減をミスったり、手球を意識したことでシュートミスをしてました。たぶん右足を後ろに引いていた分、フォームの高さが少し低くなっていて、キューレベルも低かったことが原因かなと思います。そのまま撞くと撞点や力加減が少しズレやすかったのかなと。

――土方プロ自身が思う勝因とは？

土方：今日の初戦（ベスト16 vs 木本忠臣）に勝った時に、「どこまで行けるだろう」「ここまで来たら本当に頑張ろう」とポジティブな気持ちになれて、気持ちを切らさずにやれたことが良かったと思います。いつもはある程度リズムで撞いているところがあるんですけど、今日はそれは出来ないし、ちゃんと狙って撞点や加減も意識しないとミスしてしまう。それで一球一球丁寧にプレーしたことが良い方向に行ったとしか思えないです。

――そもそもキビキビ動けないですしね。

土方：そうですね。撞く時も身体がふらつきそうな気がしたので、身体を動かさないことを意識して、ちゃんと厚みを合わせて、ちゃんと身体を残して撞く、と。普段僕は的球を見て撞いてるんですけど、今回は撞点を見て撞いた球も結構ありました。それでも正直そんなに入る気はしてなかったですね。今振り返ると、要所要所で難しい球も入ってくれてたので、ますます自分でも意味がわからないです（笑）。

――今日はベスト16から準決勝まではブランズウィックテーブルでプレーして、決勝戦だけはダイヤモンドテーブルでした。対応は問題なかったですか？

土方：はい。ダイヤモンドのポケットサイズは他のテーブルよりも少しタイトに感じましたが、そこまでいやらしい渋さはなくて問題なく撞けました。ダイヤモンドのクッションは他の台より跳ねてたんで、そこの対応は少しだけ難しかったです。でも、全体的には対応できていたと思いますし、自分のミスも含めてボールの動きは納得行くものでした。

――プロランキングポイント対象試合での優勝は2022年『GPE-3 in 習志野POOL KAISER』以来です。

土方：あれは（2021年末に）首を悪くして治りきってない頃で、球の状態も良くなかった時期の優勝だったことを覚えてます。あの後、2022年末から年明けにかけて完全に首が治って、球の調子もだいぶ上がってきました。12月ぐらいからほぼイメージ通りに撞けるようになっていて、1月の『CUE’S CUP JAPAN POOL CHAMPIONSHIP』でも優勝出来ました。ここのところ結構撞き込んでいましたし、状態が良かったことも今回の優勝に影響していると思います。

――グランプリイースト（GPE）では優勝22回（優勝回数最多記録更新）。

土方：昨年のGPEは羅（立文）プロが3戦連続優勝を飾ったりして羅プロの年でした。今年僕は羅プロに食らいついて行きながら優勝回数を伸ばせたらと思ってましたし、直接対決することがあれば自分が止めたいと思っていました（※今回は対戦なし）。今回は自分でも「まさか」の優勝でしたが、2023年GPE開幕戦を勝利で飾れて嬉しいです。

――もう2月ですが、2023年はどんな年にしたいですか？

土方：国内でも海外でも良い成績を残したいです。昨年（2022年）はあまり満足行くビリヤードが出来なかったですし、ランキングもJPBA「2022統一」が6位で、JPBA「3年総合」（2020年～2022年表彰用）が4位でした。今年は国内ランキングを上げつつ、行ける国際大会には出来るだけ参加したいと思っています。今、海外では色々な試合が開催されていますけど、出場するのが難しい（権利や枠が取りづらい）のもあります。それでも、チャンスが来た時にすぐ行けるようにランキングを上げておき、ビリヤードの状態も整えておきたいです。

――最後に、ファンや応援してくれている人達へ一言。

土方：今回は自分の不注意で試合の直前に怪我をしてしまい、多くの方にご心配をおかけしました。申し訳ありません。そんな状態にも関わらず、僕を応援してくださりありがとうございました。まずは早い回復に努めます。そしてビリヤードの調子と体調を万全に整えて今後の試合に備えます。これからも応援よろしくお願いします！

（了）