〈BD〉「メンタルが整っていたおかげでプレーが良かった」――GPE-2優勝・土方隼斗の談話

 

26日(日)

GPE-2 in 神奈川POOL LABO』で優勝。

 

2023 GPE開幕戦から

2戦連続優勝を飾った土方隼斗プロの

談話をお届けします。

 

取材は大会翌日に行いました。

 

3月16日に34歳になった土方プロ。

 

16歳でプロ入りした後、

数々の最年少記録を打ち立ててきた

“マスワリ王子”は、

近年徐々に年下のプロ・アマとの

対戦も増えてきています。

若い世代と当たる時の心境についても

お聞きしました。

 

…………

 

――GPE開幕2連勝の感想を。

 

土方:前回は足を怪我(捻挫)していたので、優勝出来たのが信じられない気持ちでしたが、今回は純粋に嬉しいです。特に準決勝と決勝戦は状態も良く、集中出来ていて、メンタル的に良い状態で撞けたかなと思います。

 

――先に足の状態をお聞きしても良いですか?

 

土方:GPE-1の後は2週間ぐらい撞けなかったです。痛みもあったので、「まず早く治そう」という意識に切り替えて回復を優先しました。2週間経過した頃から3日に1回ぐらい、腕がなまらない程度に撞くようになって、今回の本番の10日前ぐらいから練習を再開しました。今はやっと普通に真っ直ぐ歩けるようにはなったんですけど、自分の感覚ではまだ5割くらい。階段を降りるのは1段ずつだし、小走りも出来ないし(笑)、完治はまだ先ですね。

 

――フォームやスタンスも万全ではない?

 

土方:そこは8、9割がた戻って来てます。まだ右足を後ろに引き気味にして(本来のスタンスとはバランスを変えて)構えてますけど、それでも前回のGPEの時と比べると安定感は雲泥の差です。ただ、ジャンプショットや立てキューのような、右足のかかとを上げて構えるショットはまだ不安が残りますね。

 

――あまり撞けてない時期、球の調子は落ちませんでしたか?

 

土方:幸い、そこまで調子が落ちてる感じはなかったんですけど、あまり撞けてないので自分でも自分の状態がよくわかってなかったですね。でも、今回は上手くメンタルが整えられたおかげでプレーが良かったのかなと思います。調子というより総合的に良かった気がします。

 

――初めて『POOL LABO』でグランプリが開催されました。

 

土方:新ラシャでコンディションもすごく良かったです。それでありながらポケットはちょっと渋いし、クッションも少し跳ねたりもして、良い意味で難しかったです。僕のYouTubeチャンネルの撮影で使っているテーブルは、POOL LABOさんのと同じもの(『ウィラカ』)なんですけど、僕のテーブルともまた違うコンディションだったのでその対応を含めて面白かったです。

 

――今回はシードプレイヤーとして登場。日曜日だけプレーしました(ベスト16~)。自己評価は?

 

土方:ベスト8(vs J・セラディラ)は、前半もたついてミスも出ていたので70点くらい。準決勝(vs 林武志アマ)はミスも少なかったので90点以上の出来だったと思います。決勝戦(vs 羅立文)は、羅プロが相手だと考えたら100点に近い内容でしたね。羅プロとの試合では初めてじゃないですかね、相手を気にせずに撞くことができたのは。今は速く歩けないので勢いで行けない分慎重にやりつつ、メンタルも状態も整っていたという意味では、今までで一番良かったと思います。

 

――決勝戦はほぼスキがない試合運びに見えました。

 

土方:羅プロのブレイクノーインスタートからの取り切り、そしてマスワリという形で試合に入っていけて「良い流れだな」と思ってました。中盤でも同じように取り切りからのマスワリという展開に持って行けたのが大きかったです。

 

――メンタル面が良かった理由とは?

 

土方:Twitterにも書いたんですけど、WBCを見ていて大谷翔平選手の雰囲気や表情にすごく惹きつけられました。プレッシャーのかかる場面でもありえないくらい余裕があったじゃないですか。それで、「もし大谷選手がビリヤードをやっていたとしたら、どんな顔、どんな気持ちで撞くだろう」とイメージしながら1回戦から撞いてました。もちろん自分の勝手な想像なんですけど、大谷選手の表情や雰囲気をヒントにして「なんとなくこうじゃないか」ってイメージして。

 

――今回はそれがメンタルに良い影響を与えた。

 

土方:はい、毎回出来るかはわからないですけど、今回はそれが上手く行ったと思います。プレッシャーにも動じないで、やることをやってチャンスを待つ。そういう心構えで1日撞いていたら、決勝戦も整った状態でプレー出来たと思います。改めて他のスポーツを見るのも大事だなと思いました。

 

――話は変わりますが、土方プロは先日誕生日(3月16日)を迎えて34歳に。年下の強いプレイヤーと当たることも増えてきていますが、若手と対戦する時の心境は?

 

土方:まず、勝敗とかを抜きにして『頑張ってほしい』という気持ちがあります。若い世代のプレイヤーはあまり多くはないので、当たったら自分としては「変なプレーはしたくない」「自分の力を見せたい」って思います。勝ちを意識しすぎることはないし、「流れで勝てる」みたいなナメた気持ちも全くありません。もちろん彼らに負けたくないし、負けちゃいけないと思ってますけど、負けることも当然ありますし、「これで負けたらしょうがない」というところまでちゃんと力を出したいなって思いますね。それが出来ないのは先輩プロとしてあまり良くないと思ってます。

 

――以前は土方プロがトップジュニア、若手として先輩方に挑む側でしたが、受けて立つ側になりつつあることをご自身でも感じていますか?

 

土方:感じています。「自分も年下の選手と当たった時にこういう風に考えるようになってきたんだな」と。実際は若い世代と対戦することはまだそこまで多くはないので、昨日の林くん(武志アマ。3位)もそうですけど、当たるのは楽しみですし、当たったら「これからどうなっていくんだろう」という目線でプレーを見ていますね。

 

――今年、開幕からJPBA公式戦3試合のうち2試合で優勝。次の目標は?

 

土方:1月の『JAPAN POOL CHAMPIONSHIP』(CUE’S CUP)も入れると3ヶ月連続で優勝出来ているので、この流れを来月の『関東オープン』(4月)にも繋げたいです。コロナ禍で試合がなかった時期を思えば、そんなふうに考えられる状況があることが楽しいです。昨年(2022年)も公式戦はありましたけど、首を悪くしていて納得のいく状態ではなかったです。そういう意味では今年1年、もっと頑張りたいと思いますし、前向きな目標を立てて結果を出さなきゃないけないと思います。

 

(了)

 

…………

 

Hayato Hijikata

JPBA40期生

1989年3月16日生 東京都出身&在住

アマ時代の2005年『世界ジュニア』銀メダル

2005年、2013年、2019年、2020年『関東オープン』4勝

2007年『ルカシージュニアワールドテンボール』優勝

2008年、2019年『北海道オープン』2勝

2010年『エイトボールオープン』優勝

2013年&2016年『ジャパンオープン』優勝

2013年、2014年、2016年『関西オープン』3勝

2013年『東海グランプリ』優勝

2016年『全日本ローテーション』優勝

2016年『ハウステンボス九州オープン』優勝

2016年『北陸オープン』優勝

2018年『全日本14-1』優勝

『グランプリイースト』通算23勝、他、入賞多数

2013年&2016年JPBA男子年間ランキング1位

使用キュー:EXCEED & MEZZ

使用タップ:BIZEN

スポンサー:自遊空間、JUST DO IT、ココカラダ

YouTubeチャンネル:土方隼斗のビリヤードTVあつまれ☆ビリヤード

 

 

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