〈BD〉「勝ちへの意欲が出ていた」――『大阪クイーンズ』優勝・河原千尋の談話

 

28日(日)の

大阪クイーンズオープン』で

大会4度目の優勝を飾った

河原千尋プロの談話です。

大会2日後に取材しました。

 

…………

 

――プロ公式戦で3年4ヶ月ぶりの優勝。喜びもひとしおだったのでは?

 

河原:初優勝の時と同じかそれ以上に嬉しかったですね。ゲームボールを入れた時、気持ちがすごく高ぶってましたし、「この感覚、しばらく忘れてたな」って思いました。試合後、お祝いの言葉やおめでとうメッセージをたくさんいただいたのも久しぶりで。「優勝ってこんなに嬉しいものだったんだな」って、嬉しさを噛みしめながらお返事してました(笑)。

 

――3年ほど間隔が空いていたことは意識していましたか?

 

河原:自分でも前回いつ優勝したか思い出せないぐらいだったんで、On the hill !さんに聞きました。そしたら2020年1月の『関西オープン』以来11戦ぶりということで、「それはたしかに思い出されへんぐらい長かったなぁ」と(笑)。ここまでの戦績がすごく悪かったかと言われたら、3位や5位が続いていてアベレージは悪くない。でも、今年とにかく1勝したいなっていうのは年初から思ってました。

 

――2日間のご自身のプレー内容を振り返ると?

 

河原:めちゃくちゃ良かったとは言えないですね。完封勝ち(7-0)をした試合も2試合ありましたけど(ベスト8と準決勝)、それも相手の状態が良くなかったり、たまたま私が球を入れていただけという感じで、そこまで良い内容でも良い状態でもなかったです。2日間トータルで見ると、自分なりの採点では「平均点よりちょっと低め」というところだと思います。

 

――決勝戦(vs 平口結貴)は目が離せない展開でした。河原プロが6-1で先にリーチをかけた時、「優勝」の2文字は頭に浮かんでいましたか?

 

河原:浮かんできてました。あと1点取ったらいいだけでしたから。

 

――そこまでの6点はご自身としてはしっかりと撞けた感覚はありますか?

 

河原:悪くはなかったですけど、自分が6-1までリードすることは想定してませんでした。相手にアンラッキーと予期せぬミスがあったから、ああいう展開になったと思います。

 

――そこから相手が6-6まで追い付いてきましたが、どんな心境でしたか?

 

河原:5点差を追い付かれたのはたしかに劇的ではありますけど、もともとヒルヒルも十分ありえることだと思ってました。だから、追い掛けられていた時も変な余裕とか焦りはなかったです。チャンスが来たら取り切るだけだし、セーフティされたらこちらも頑張って返すだけ。なんとかチャンスを作ってなんとか1点をもぎとる。それだけを考えてました。

 

――6-6にされるまでの間に自身のミスで上がりのチャンスを逃しました。

 

河原:2回ぐらい失敗しましたね。あれも自分の中では「なんであんなミスを」と言うものではなく、想定できるミスでした。なので、「やっぱり失敗しちゃったか~、仕方ないな」っていう感じで、落ち込むことも卑屈になる感じもなかったです。精神的には常に前向きな状態でした。

 

――ラストラックは相手のブレイクスクラッチから取り切りました。

 

河原:一番気を付けていたのが3番から4番のポジションでした。手球が4番に厚く出てくれたら、4→6→7と良いフリ続きで取り切れそうだなって。

 

――ああ、あの3番。押し球2クッションで4番と8番の間を通した球ですね。

 

河原:そうです。でも、手球が少しショートしたので、4→6はきっちりコントロールしないといけない球になりました。あの瞬間は「もしかしたらヤバいかも」と思いました。例えば、4→6でショートして、6→7が難しくなってしまって7を飛ばすとか、7でセーフティするしかないとか。そこまで想定してましたね。かといって、保険のあるネキストもなかったんで、4→6できっちりフリを合わせに行くしかなかったです。覚悟を決めて撞きました。

 

――結果、4→6、6→7と2つのノークッション出しをきれいに決めて、そのまま取り切りました。上がり際は緊張感は?

 

河原:ありました。この決勝戦はタイム(ショットクロック)は入ってなかったんで、納得行くまで考えてから撞こうと思ってました。こういう場面で「緊張してないですよ私」みたいな感じでススッと撞いてミスしたらほんとに悔いが残るので、誰にどう思われようが迷いがなくなるまで考えて、決め切ってから撞こうと。もしそれで失敗して負けてしまったらしょうがないなと。結果、取り切れたんですけど、相手の手痛いミスで勝利が転がり込んで来たというのではなく、ブレイクスクラッチから自分で取り切れたっていうのも良かったと思います。

 

――前回の優勝から3年4ヶ月。優勝への思いは強く持っていたんでしょうか。

 

河原:去年(2022年)はそんなに思ってなかったです。それなりに練習をしている自信があるので、本番でそれが発揮できればいずれ優勝できるだろうっていう考え方でした。強く勝ちたいと願ったり、ダメだった時に落ち込んだりしたくないんで、普段からフラットに「練習してれば大丈夫」っていう感じのテンションを保ちたいと思ってました。でも、結局去年は優勝できなかったので、今年に入ってからは「優勝しなくちゃな」と強く思ってました。「優勝するためにはこの練習をしないといけない」「ここは徹底的にやっとこう」という感じで、練習にも今まで以上に勝ちへの意欲が出ていたと思います。

 

――話は変わりますが、昨年秋の『女子10ボール世界選手権』では9位タイ、今年1月の『女子9ボール世界選手権』では5位タイ。久しぶりの海外遠征で見えたもの・得たものは何かありますか?

 

河原:海外がすごく久々だったのもあるので、自分の立ち位置がどのあたりにあるのかをしっかり見定めてこようという気持ちで参戦しました。それ以前は完全に挑戦者っていう感じだったんですけど、自分でも年々上手くなってる実感があるので、もちろん周りのレベルも上がってますけど、今の自分のビリヤードでどれぐらい通用するのかをしっかり体感しながら試合をしていた感じです。実際、今までよりも通用するようになってきてるなとは感じました。

 

――反対に、まだ足りないと感じた部分もあったでしょうか?

 

河原:そうですね。漠然としてますけど、コンディションへの対応能力って言うんですかね。やはり海外のテーブルは日本とは異なる動きをするので、そこに合うストロークやショットスピードの見極めなんかはもっと磨かなきゃなと思っています。普段撞いてる環境とはガラッと変わるので、ストロークもそれに合わせてガラッと変えるのか、それともストロークは変えないで工夫していくのか……そこはいまいちよくわかってないので、似たようなコンディションでもっと撞きたいと思ってます。

 

――今年これからの目標は?

 

河原:10月に『女子10ボール世界選手権』(オーストリア)が予定されてますので、とにかくそれには絶対行きたいですね。出場権を得るためには日本のランキングでトップにいないといけないと思います。優勝1回だけだと油断できないなという感じなので、毎回優勝目指してずっとアベレージ高くというのが目標です。『10ボール世界選手権』だけでなく、『プレデタープロビリヤードシリーズ』などの海外戦にも行きたいです。

 

――わかりました。最後に、応援してくれてる方々にメッセージを。

 

河原:昨年プロ公式戦が再開されて、今に至るまでにすごく感じているのは、日本の女子プロのレベルが底上げされているなということです。特に若手プロ達が頑張っていて、今まで以上に皆、勝ち上がって行くのが大変になってきたと思います。昔だったら予選の各組の第1シードの人が【勝ち・勝ち】で通過するのが当たり前みたいな感覚でしたけど、今は予選で強豪対決があったり、すごいメンツが敗者最終を撞いていたりと、初日(土曜)からすごく見応えのあるトーナメントになってきてると思います。そして、今年は大会の開催自体がとても増えています。2日目はYouTubeライブもありますけど、1試合だけの配信ですし、他にも見逃すにはもったいない対戦カードがたくさんあります。ですので、ぜひ会場に足を運んでいただきたいと思います。推しプロを応援するのはもちろんですが、推しプロだけでなく、ぜひ他の選手達の熱き闘いも堪能してほしいと思います。一日に何回も熱くなり……私もかなり感銘を受けています。

 

(了)

 

Chihiro Kawahara

1985年1月5日生 

JPBA39期生

JPBA女子年間ランキング1位・9回

(2010年、2011年、2013年、2014年、2015年、2016年、2017年、2018年、2019年)

『ジャパンオープン』優勝2回(2013年、2015年)

『全日本女子プロツアー』優勝10回

『関西オープン』優勝6回

『東海グランプリ』優勝4回

『大阪クイーンズオープン』優勝4回

(※前身の『全日本女子ナインボールオープン』優勝3回(3連覇))

『セントラルレディースオープン』優勝2回

『九州レディースオープン』優勝1回

『北陸オープン』優勝3回

『関東レディースオープン』優勝3回

『全日本選手権』準優勝3回

アジアンインドアゲームズ銀メダル2回、銅メダル1回

2015年『女子9ボール世界選手権』4位

2016年『アムウェイカップ』3位

2016年『女子9ボール世界選手権』準優勝

その他、優勝・入賞多数

『アンセーズ』(大阪)所属

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