〈BD〉「気持ちは切らさずにやれた」――GPE-3優勝・土方隼斗の談話

 

18日の『GPE-3』で優勝。

今季のGPE(グランプリイースト)で

開幕戦からの3連勝を飾った

土方隼斗の談話をお届けします。

 

大会の翌々日に取材しました。

 

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◇ 2023 GPE

 

GPE-1 2/19 Link西川口土方隼斗/赤狩山幸男)

GPE-2 3/26 POOL LABO土方隼斗/羅立文)

GPE-3 6/18 NIKKA5(土方隼斗/羅立文)

 

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――大会の感想を。

 

土方:しんどい試合を勝ち抜いたという達成感はありますけど、『GPE、3戦連続優勝したぞ!』みたいな喜びはそんなになかったです。納得いく内容で勝てたかって言われるとそうではなかったし、疲れもありました。

 

――『GPE』開幕戦からの3戦連続優勝は大会前から意識していましたか?

 

土方:「できるならしたいな。頑張ろう」って気持ちで臨みました。ただ、調子はイマイチでしたね。1、2回戦(ベスト16、ベスト8)はまだ良かったんですけど、準決勝と決勝戦は反省点が多いビリヤードになりました。集中が途切れた場面も何度かありましたけど、気持ちは切らさずにやれたのが良かったなと思います。

 

――集中が途切れたというのは?

 

土方:一番は準決勝ですね(vs 渡辺剛史。最終的に7-6で土方プロが勝利)。やってはいけないミスをたくさんしました。ただ、ヒルヒルの緊張感の中で最後はすごく集中して取り切れました。その集中状態を保ったまま決勝戦に挑めたことが5-0スタートに繋がったと思います。

 

――今回は「木ラックの10ボール」でした。難しさは?

 

土方:自分の試合を含めて、どの試合を見ても感じたことですけど、木ラックだとやっぱりブレイクで良い配置になりにくいので、セーフティ合戦が多くなるなと。ただここ数年、自分のクッションとセーフティの技術も上がってきている感触はあったので、「1ラックごとに難しく、面白い勝負になるな」とポジティブに捉えて挑めたと思います。誰にでもマスワリ連チャンで走られることのある勝者ブレイクの9ボールよりイメージは良かったです。

 

――決勝戦(vs 羅立文)は5-0と土方プロが先手を取りましたが(7ラック先取)、中盤相手に追い上げられ、一時は5-5に並ばれました。気持ちを整えるのが大変だったのでは。

 

土方:難しかったですよ、ほんとに。6-0にできるはずのマスを上手く取り切ってたんですけど、5番を2回シュートミスしましたよね。2回目のカットは守ってもよかったかなという気はするんですけど、スコア的にも勝ちを意識できてしまったので攻めてしまった。そこからまともに撞けないまま5-3ぐらいまで迫られて……。

 

――羅プロもさすがの粘りでしたね。

 

土方:はい、ああいう展開で追い込まれたのは結構きつかったし、中盤以降、気持ちの余裕はなかったです。5-3の第9ラックだったかな。羅プロが⑨を何度も構え直してから撞いたのを見て、羅プロの真剣度も感じましたし、その次のラックでは僕が⑨をミスってしまった。この2ラックで完全に主導権を渡した気がして、正直「負けたな」って思ったし、気持ちの整理は大変でしたね。

 

――どう立て直しましたか?

 

土方:自分が先に5-0までリードしていたということを一旦忘れることにしました。「リードしてたのに」「勝てそうだったのに」って思ってしまうとそれが余計なプレッシャーになる。だから、「むしろ負け目だな」と認めて、「1球も抜かずにやる!」という意識に切り替えました。

 

――第11ラックは④から取り切ってリーチ(6-5)。

 

土方:遠めのカットの⑤がキーポイントでした。あれを入れたら取り切りが見える配置だったので、「ここは絶対ミスれない」と一瞬テンパリましたし、気持ちを落ち着かせるのに必死でしたけど、その前に意識を切り替えていたことが結果的に良かったと思います。

 

――最後はマスワリでした(7-5)。

 

土方:マスワリ配置になってくれて良かったです(笑)。調子が100%ではないこと、ちゃんと狙わないと入らないこと。それを自覚して最終ラックは全球丁寧に撞きました。取り出しの①から②は手球を⑧に当てて止めましたけど、あそこも含めてほぼ全てイメージ通りにポジションできました。

 

――今回ブレイクは基本的に強く打っていたようですね。

 

土方:そうですね。気持ち的に、まず7割「強めに打つ」こと、あとの3割は「①をサイドに狙う」ということを考えてました。

 

――テーブルもプロ仕様で渋そうでした。

 

土方:はい、決勝戦で使ったテーブルは穴が渋くてだいぶ受けは悪かったです。自分も含め、あそこのテーブルでプレーした選手は、入れに関してはあまり良いイメージが持てなかったんじゃないかなと思います。

 

――今季プロ公式戦で3勝目です。シーズン前半を振り返ると?

 

土方:前半戦だけで3勝できてますし、年間ランキングを考えても確実に良いシーズンだとは思います。でも、この勝ち運をオープン戦に持っていきたい気持ちが強いです。今年、自分的にはオープン戦の方が良い内容で撞けているんですけど、相手にさらに上手く撞かれたりして負けてます。今年後半はオープン戦を獲りたいと思ってますし、そうすれば(3度目の)日本ランキング1位もはっきり見えてくると思います。

 

――わかりました。最後に、5月の『UKオープン』についても一言いただけますか? 予選ラウンド敗退(勝ち→負け→負け)となってしまいましたが……。

 

土方:プレー的には良い試合と悪い試合でムラが出てしまったので、悪い時にもっと上手くそこをカバーできれば良かったなと思います。負けた2試合のうち、1試合目は展開的に厳しかったですが、2試合目は自分のシュートミスからでした。勝てたはずの試合を落としてしまったという感覚もあります。

 

――ムラが出てしまった理由とは?

 

土方:身体のコンディションを上手く整えられなかったところですね。ジュニアの頃から体質的なものがあって、特に長時間移動の海外遠征ではどうしても体調管理が難しいです。今回のイギリスも昨年のプエルトリコも、ビリヤードの調子自体は良い時期だったんですが、大会前日に現地入りして翌日すぐ試合という日程だったこともあり、身体がしんどくて力を発揮できませんでした。ビリヤードの調子と体調の両方を100%に持って行ってやっと世界と互角に戦えるかどうかだと思います。長距離遠征での体調管理は以前からの課題ですので、引き続き改善に取り組みたいと思います。

 

(了)

  

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Hayato Hijikata

JPBA40期生

1989年3月16日生 東京都出身&在住

アマ時代の2005年『世界ジュニア』銀メダル

2005年、2013年、2019年、2020年『関東オープン』4勝

2007年『ルカシージュニアワールドテンボール』優勝

2008年、2019年『北海道オープン』2勝

2010年『エイトボールオープン』優勝

2013年&2016年『ジャパンオープン』優勝

2013年、2014年、2016年『関西オープン』3勝

2013年『東海グランプリ』優勝

2016年『全日本ローテーション』優勝

2016年『ハウステンボス九州オープン』優勝

2016年『北陸オープン』優勝

2018年『全日本14-1』優勝

『グランプリイースト』通算24勝、他、入賞多数

2013年&2016年JPBA男子年間ランキング1位

使用キュー:EXCEED & MEZZ

使用タップ:BIZEN

スポンサー:自遊空間、JUST DO IT、ココカラダ

YouTubeチャンネル:土方隼斗のビリヤードTVあつまれ☆ビリヤード

 

(了)

 

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