〈BD〉世界女子2位のクリスティーナ・トゥカチ。ショートインタビュー

2月28日～3月2日に

ラスベガスで行われた

女子16名招待制トーナメント、

『PBSウィメンズショーダウン』。

第1回大会のファイナリストとなったのが、

ロシア出身でアメリカ在住の

クリスティーナ・トゥカチ、25歳。

すでに欧州での実績は十分。

今後『世界選手権』など

女子メジャータイトル獲得が

期待されるプレイヤーです。

そんなトゥカチを、

大会グループラウンド最終戦

（vs 平口結貴戦）の直後に

K. MORI氏が取材。

ショートインタビューをお届けします。

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聞き手：K. MORI （『小さな動きの楽しさ: ビリヤードのメンタルゲームをマスターする』訳者）

語り手：Kristina Tkach（以下KT）

――平口戦の勝利、おめでとうございます、大逆転でしたね。

KT：ありがとうございます。嬉しいけど、素直に喜べる内容ではなかったですね。タフな試合で苦戦しました。ブレイクで何度か悪いロール（運勢、流れ）もあったし、正直勝てるとは思っていませんでした。アップダウンが激しくて、ジェットコースターに乗っているように感情を揺さぶられる試合でした。でも、シュートアウトまでもつれ込んだので、チャンスがあると思えました。シュートアウトの練習はしっかりやってきましたから。

――第1セットは平口が取り、第2セットも平口優勢で進んでいましたが、あの時どのように考えていたのですか？

KT：目の前のショットだけに集中して、今できることをやるしかないですよね。試合では何が起こるかわからないし、ラッキーもあればアンラッキーもあり、勝つこともあれば負けることもある。だからこそ、スコアや相手ではなく、その時の自分のプレーにのみ集中するようにしています。

――あなたはメンタルトレーニングはしていますか？

KT：実はたくさんしています。メンタルは自分のウイークポイントの一つだと思っているので。心理学者やセラピストに通い、本もたくさん読んでいて、以前より良くなっているとは感じていますが、まだまだですね。

――「結果にとらわれず今できることに集中」とよく言われていますが、簡単ではないですよね？

KT：本当にその通り、難しいですよね。何を考えるべきか、また、脳について勉強していても、目の前のボールを入れれば勝ちという時に、勝ち負けを考えずプロセスに集中するというのは、私にとって簡単な話ではないです。

――普段は何時間ぐらい練習していますか？

KT：家にいる時は3～4時間。2セットに分けて午前と夜にやる時もあります。ちょっと背中に問題があるのであまり長時間の練習はできないんです。

――トレーニングメニューみたいなものはありますか？

KT：トーナメントまで余裕がある時は、ウイークポイントのセーフティの練習だけを2時間ぐらいやったりしています。次のトーナメントが1、2週間後に近づいている時は、取り切り、ブレイク、セーフティ＆セーフティ返し、キックショットやジャンプ……など、必要なことは一通り練習しています。

――今回の大会前は？

KT：ウィメンズショーダウンではシュートアウトがキーになると思っていたので、毎日1.5～2時間練習しました。以前同じフォーマットの試合（Pro Billiards Seriesの各イベント）で、緊張からシュートアウトを外すという経験を何回かしていたので、今回は「もう外さない」って思えるまで練習しました。メンタルも鍛えていますが、練習で出来ないことを試合で期待するのは無理ですからね。

――ありがとうございました。

取材後記：トゥカチ選手はこの後、陳思明（中国）、魏子茜（台湾）を倒して決勝戦に進みました。残念ながら周婕妤（台湾）に敗れて2位となりましたが、ファイナリストは素晴らしい戦績です。ここ1、2年でかなりレベルアップしている印象を受けました。

（了）

Kristina Tkach

1999年1月19日生まれ（取材時25歳）

ロシア・モスクワ出身 ※現在はアメリカ在住

2017年『世界ジュニア』金メダル

『ユーロツアー』優勝7回

『欧州選手権』8ボール、14-1、チームそれぞれ優勝2回

2024年『PBSウィメンズショーダウン』準優勝

使用キューはPREDATOR

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