4日~7日に行われた
『全日本スリークッション選手権』 in 霞が関。
3連覇で6度目の優勝を飾った
梅田竜二の談話です。
日本チームとして27年ぶりに
銅メダルを獲得した
『世界タッグ』(3月。ドイツ)に
ついてもお聞きしました。
…………
――3連覇で6度目の優勝。心境は?
梅田:嬉しいです。3連覇を意識するといいプレーが出来なくなると思ったので、あまり気にせずにやってました。そして、今年は3月のドイツ遠征にコンディションのピークを持って行ったので……。
――3位入賞を飾った『世界タッグ』ですね(『3C世界選手権 国別対抗戦』のこと。梅田竜二&宮下崇生の日本ペアは27年ぶりの表彰台)。
梅田:ええ。昨年末の『アダム杯 全日本プロ3C選手権』(梅田4度目の優勝)が終わってから、『世界タッグ』に照準を合わせて調整してました。それが功を奏して表彰台に上がれて何か達成感のようなものがありました。その後のこの全日本選手権。例年とはモチベーションは違っていたと思います。
――ドイツから戻って、一旦気持ちがリセットされたような感覚ですか?
梅田:そうですね。ドイツからそのまま韓国に入り、『アジア選手権』を終えて帰国した頃はまだ気持ちは高ぶってましたが、1、2週間経って気持ちも一旦落ち着き、疲れを感じる状態で『全日本選手権』を迎えた感じです。今年も会場(霞が関ビル内 霞が関プラザホール)の設営責任者でもありましたので、『世界タッグ』と同じような準備は出来なかったです。でも、練習は足りていたので、気持ちだけ整えていこうと思っていました。
――テーブルコンディションへの対応は?
梅田:去年と同じテーブルでしたし、湿気が出やすい会場だということも頭に入っていたので、去年ほど対応に困ることはなかったです。最終日は雨模様だったので、ヒネリが残りにくい状態ではあったと思います。そのあたりも敏感に感じ取れてました。
――今大会では7試合をプレー。昨年と同じく徐々に出力を上げていったような印象を受けました。
梅田:そうですね。予選リーグからギアを一気に上げる感じではなくて、決勝トーナメントからだんだんと高めて行きました。今年は決勝戦を除いて全体的にスタートがあまりよくなくて、後半追い上げるゲームが多かったです。
――最終日のベスト8では『世界タッグ』のパートナー、宮下崇生プロと当たりました。
梅田:互いのプレースタイルや気持ちの持って行き方はわかってますし、「この勝負に勝つんだ」というより、単純に「お互いにいいプレーをしよう」という気持ちでした。宮下プロはあの試合はあまり良い調子ではなかったのかなと思いますけど。
――準決勝は昨年と同じく新井達雄プロと対戦。
梅田:競ったまま進んで終盤に僕が抜け出す展開でしたね。新井プロもそうですし、島田暁夫プロや甲斐譲ニプロなど先輩方と撞く時は自然と気持ちが引き締まるので、「気合いを入れよう」と思わなくても勝手に集中できています。
――決勝戦は今年の『東京オープン』覇者の竹島欧プロ。
梅田:竹島プロの初球からの3点ランですぐに状態とリズムの良さを感じて、「これは始めから気を引き締めないといけないな」と思いました。ただ、考えすぎるとこちらのリズムが崩れるので、リズミカルに行くところは行こうと。……そんなことが頭にあるということは、相手のプレーを見て状態や心理を観察しながら撞いている訳で、決してベストな集中ではなかったのかなと思います。後輩プロと試合をするとそうなりがちです。
――最後までリードを保って逃げ切りました。
梅田:中盤から終盤にかけてこちらの当たりが止まってしまい、相手が追い上げて来る雰囲気があったので気持ちを引き締め直しました。それで5点→2点と取ってワンモアにできたことが大きかったです(39-31)。ワンモアは一度外しちゃいましたけど(苦笑)。
――最後、ワンモアを当てて「よし!」と声が出ました。
梅田:優勝できたことへの「よし!」と、女子も含めて約1週間の全日本3C選手権ウィークが終わったことへの安堵の「よし!」。2つが一緒になって出てきました。
――これで全日本3C選手権6回目の優勝。現役プロでは新井達雄プロと並んで最多。小方浩也氏(15回。故人)と小林伸明氏(13回。故人)を含めると史上3位タイです。
梅田:現役の新井プロに並べたことは非常に嬉しく思っています。そして、僕の目標は小林(伸明)先生です。先生に近付くために二桁優勝できたらなと思います。1年に一度しかない大会であと4回優勝するのはものすごく大変なことですが、来年は7回目(4連覇)を目指してまた1年間精進します。
――『世界タッグ』の3位についても教えてください。初戦(vs フランス)黒星スタートからの大健闘でした。
梅田:僕も宮下プロもこの大会に向けてしっかり準備できていたと思いますし、このペアも3年目だったので戦い方や試合への入り方がチームでまとまっていたと思います。初戦のフランス戦は2人とも上手く撞けなかったですけど、2戦目からはかなり良い状態で撞けました。特に予選リーグ通過がかかっていた3戦目のオランダ戦は良かったですね。あの勝利で勢いがついて、そのままベスト8(vs スウェーデン)とスペイン戦に臨めたと思います。僕は「これ、優勝あるんじゃないか!?」と思ってました(笑)。
――そこまで思えるのは相当状態がいい証ですね。
梅田:そうですね。もちろん海外のいつどの大会も出る以上は優勝を目指していますが、大会中あそこまで実感を伴う「優勝できるんじゃないか?」が出てきたのは、あの2007年『世界3C選手権』(梅田プロ優勝)以来でした。僕ら日本チームに風は吹いている。あとは僕ら自身がきっちりプレーできたら良い結果に繋がるはず。そんな予感がありました。
――準決勝で惜しくもスペインに敗れました。
梅田:僕はなんとかR・レガスピに勝てましたが、宮下プロはいいプレーをしてましたけど、S・ヒメネスに敗れてしまって1勝1敗に。最後は15点先取スコッチダブルス(1球交代)のタイブレークで負けました。僕らはあの15点ダブルスの練習はしてなかったです。後で振り返るとそこの準備が足らなかったのかもしれないなとは思います。
――梅田プロが世界の表彰台に上ったのはいつ以来でしたか? アジアでは『インドアゲームズ』でたびたび表彰台に上っていますが。
梅田:それこそ2007年『世界3C選手権』以来です。久しぶりに世界大会で最終日を撞けたこと、表彰台まで行けたことは本当に嬉しかった。特にベスト8でスウェーデンに勝った時(日本の27年ぶりの銅メダルが確定)は2人ですごく喜びました。翌日に準決勝があったのでその晩がぶ飲みするのは控えましたが(笑)、軽く乾杯しました。
――また海外に行くのが楽しみですね。
梅田:本当に楽しみです。今年国内では、しばらく遠ざかっていたJPBF 3Cランキングの年間MVPを目標にしています。獲れたら2015年以来9年ぶりになるのかな。海外は、円安が進んでなかなか厳しい状況ですが、『3C世界選手権』はもちろん、『3Cワールドカップ』(世界各地で年6~7戦行われるトップツアー)にもできるだけ参戦したいです。海外で活躍できるのはあと数年なんじゃないかと思ってますので、行く以上はちゃんと準備して、しっかりと気持ちを作って、勝つつもりで臨みたいと思います。今回『世界タッグ』で対戦しましたが、T・ブロムダール(スウェーデン。世界チャンピオン7回。先月『欧州選手権』で10度目の優勝。61歳)を見てると、まだまだできそうな気になります。あの人は特別かもしれませんが、まだ僕も世界に挑み続けます。
(了)
Ryuji Umeda
1968年10月22日生まれ
A型・天秤座・東京都出身&在住
1991年度JPBF入会
2006年『アジア大会』スリークッション金メダリスト
2007年『世界選手権』優勝
2006年、2009年、2015年、2022年、2023年、2024年『全日本選手権』優勝
『ニッカオープン』優勝9回
『全関東3C選手権』優勝4回
JPBFスリークッション年間ランキング1位/8回
他、優勝入賞多数
使用キューはADAM JAPAN MUSASHI(シャフトはADAMノーマル、タップはNAOLLY H)
東京・小岩『ヤマニ』所属
※2023年全日本選手権優勝時(優勝5回目)談話はこちら
※2022年全日本選手権優勝時(優勝4回目)談話はこちら
※2015年全日本選手権優勝時(優勝3回目)談話はこちら
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