~5/17公開の【その4 前編】より続く~
私の名はDetective K。
ビリヤードキューの調査を引き受ける探偵だ。
2024年4月11日から14日。
アメリカのペンシルバニア州オークスに
ある会場、『グレーター・フィラデルフィア・
エキスポ・センター』にて開催された、
年1回の『スーパービリヤードエキスポ』
(SBE)レポート。
今回は第4弾の続きであり完結編。
トーナメント・その他もろもろの【後編】だ。
トップキュースター集結の
プロトーナメントから振り返る。
******
1枚目:プロアリーナには9フィートテーブルが16台設置
2:体調を崩していたミカ・イモネンがカムバックした姿を見られたのは感動
3:優勝したジェイソン・ショウ
4:準優勝のリトアニアのピュース・ラブティス
5:優勝したショウもラブティスもどちらも日本メーカーのスポンサードプレイヤーだ
6:こちらも病から復活し、経過良好なダレン・アプルトン
7:アメリカンプールを象徴するレジェンド、アール・ストリックランド
8:大阪のFJDハスラーのオーナー、ラファエル・ダブレオ
9:フィリピンの豪腕ブレイカー、ジェフリー・デルーナ
10:ドイツのカイザー、ラルフ・スーケー
11:プロトーナメントのトーナメント表とスコアはディスプレイでリアルタイム更新
12:ライブストリーミングのブース機材
ジェイソン・ショウの上がり際
「参加して楽しむ」アマチュア
トーナメントに加えて、
「観て楽しむ」プロトーナメントも
SBEの大きな要素。
世界的に有名なプレイヤー同士の
ガチな対戦を生で観戦できるのは、
めったにない機会。
SBEのプロトーナメントは、
頻繁に提携組織が変わり、
今年はマッチルームスポーツ公認の
WNT.(ワールドナインボールツアー)
開催となった。
ナイン・オン・フットの
トライアングルラックを使用した
セルフラック、交互ブレイク11先、
ベスト16からシングル戦というフォーマット。
118名が参戦し、優勝は既報の通り
スコットランドのジェイソン・ショウ、
準優勝はリトアニアのピュース・ラブティス。
→ 結果記事はこちら
アメリカやヨーロッパの強豪が集まり、
好カード続出の見ごたえある
トーナメントとなった。
驚いたのは、試合中の騒音を遮断するため、
ヘッドフォン装着が認められていた事。
主催者が運営上OKしているらしく、
ノーコールの9ボールのため、
試合進行上も問題にならないのだろう。
義手のプレイヤー、マシュー・ブルゾゾフスキ(Matthew Brzozowski)。撞き位置によって逆手でショットしていた
マシュー・ブルゾゾフスキのラック立てとブレイクシーン
また、プレー専用の義手を装着していた
プレイヤーが出場していたのも注目だった。
詳細なプロフィールは不明だが、
メリーランド州ボルチモア出身の
マシュー・ブルゾゾフスキ
(Matthew Brzozowski)という選手。
身体的なハンデや年齢・性別は関係なく
対等に対戦できるビリヤードの良さを
改めて実感した。
******
Kに「お前はなっとらん」とダメ出しをしたMarty Careyが、自らジャンプショットを実演
さて、ここからは
オレ個人の思い入れによるこぼれ話。
どんな配置でもジャンプショットしたがる
「ヒャッハー系ジャンプバカ」のオレが、
まず向かったのがジャンプキュー
専門メーカー、マーティー・キャリー
(Marty Carey)のブース。
オレは何発かショットを披露したが、
ブースのオヤジが
「お前のジャンプショットはダメだ」の一言。
そして、披露してくれたのが上の動画の
超近距離ジャンプショット。
コレが出来るまで修業!……と決心したが、
そもそも実戦で試みるだろうか? と気づき、
キュー購入はガマンした(苦笑)。
******
1枚目:チビた色鉛筆を固めてバットにしたMartin Custom Cues
2&3:縁日の露店のような雰囲気漂うチョークホルダー
4:縁日の露店のような雰囲気漂うアヒルのおもちゃ
SBEでは、クオリティやデザインは
発展途上ながら、心を揺さぶられる
キューメーカーに出会うことがある。
今回はMartin Custom Cuesという
メーカーのブースにあった
「色鉛筆」キューにハートを射抜かれた。
チビた色鉛筆を半分に割って集め、
透明樹脂で固めたグリップだ。
作者のMike Martinは気さくな人物で、
話をしているうちに欲しくなったが自重した。
おそらく15年前なら思わず
買っていたに違いない。あぶないぜ。
会場内をうろついていると、
縁日の露店のような雰囲気で
「コレ本気で売るの?」と思うような
様々な小物やアクセサリー類を売っている
ブースに出くわす。
今回は、様々なチャームが付いた
チョークホルダーを、L字金具を
ねじ込んだ板に数多くぶら下げて
売っているブース、そして、
アヒルのおもちゃを大量に並べている
ブースで足を止めてしまった。
ビリヤードに関係あろうがなかろうが、
手作り感あふれる製品をとにかく売ってみる!
という精神がオレは好きだ。
******
1枚目:眼鏡プレイヤーにアピールするProp Eye
2:Prop Eyeは眼鏡の位置を上にずらすことが出来る
「そこのメガネかけた探偵さん。
玉撞くとき首が痛まないか?」
と声をかけてきたのが
Prop Eye(プロップアイ)という
ブースのオヤジ。
プラスチック製の小さな器具で、
眼鏡と鼻の間に挟んで、
構えた際の視界を確保するブツだ。
試してみるとなかなか良く、
「1個買うぜ」と言うと、
L・Mサイズの2個セット売りだという。
「Lサイズだけだったら2個買うぞ」
とごねると「じゃ3個でどうだ」と言われ、
結局同じものを割引なしで3個買わされた。
帰国後、キューケースに入れて
持ち歩いていたら折れてしまったので、
複数個買いは正解だったようだ(苦笑)。
******
「最新のキュー製作マシン」として紹介されていたMR.CUE
旧知のキューメーカー、
Chris Nittiのブースを訪れると、
「久しぶりだな、K。
最新のキュー製作マシン、
『MR.CUE』を知っているか?」
と言われた。
しばらく会わないうちに技術を磨いているな、
と感心して動作するマシンを見ていたのだが、
どうやらギャグのセンスを磨いていたようだ(笑)。
詳細は上の動画で確認してくれ。
******
試合終了後のテーブルは脚を外してキャスターで移動
エキスポ最終日は、
午後5時にブースエリアは営業終了、
撤収モードに入る。
DIAMOND社のテーブルは、
脚を外してキャスター台に載せれば、
簡単に移動可能な構造だ。
小さな7フィート台は、何台か重ねて
フォークリフトで会場から搬出し、
トレーラーにどんどん積み込んでゆくだけ。
プロトーナメントの決勝戦が続行中のため、
カメラを担いで歩いていると、
いきなり直角に曲がってきた
フォークリフトに轢かれそうになった。
「探偵、ビリヤード台にぶつかって大ケガ」
的なニュースになるところだったぜ(汗)。
******
1993年のSBEプログラム。当時はアメリカのプロ組織『Pro Billiards Tour』(PBTA)との共催だった
1993年の第1回SBE。
カスタムキューだけを探して
会場内をうろつくオレに、
「そこの若いの、グローブを使ってみないか?」
と声をかけてくれたのは
ビリヤード用グローブの草分け、
サー・ジョセフ(Sir Joseph)。
まだポケットプレイヤーは、
「なぜグローブが必要?」という
程度の認識しかない時代。
プロではジャネット・リーが
使用していたぐらいだった。
手のサイズと利き腕をチェックされ、
オススメのグローブ(肌色だった)を
決めるまで、丁寧に説明してくれた。
エキスポ体験のオレ的原点だ。
Sir Josephグローブ使用者の草分け、1990年代のジャネット・リー。癌を克服して今年のSBEに来場する予定だったが体調不良により直前でキャンセル。会えなかったのが残念だった
それから31年、ブースのスタッフも、
プロプレイヤーも、親切に接して
くれることは今でも変わらない。
「ビリヤードが何よりも好き」、
その思い入れさえあれば、
だれでも歓迎されるのがSBEの良さだ。
1枚目:今回世話になったアレン・ホプキンス親子(両サイド)とNaollyの井上直美氏
2:オフィシャルではないのにアレン・ホプキンスJr.が気に入った、SBE30回記念ポスターデザイン。心が広いぜ
3:会場のあちこちでキッズ~ジュニアプレイヤー達を目にした。ビリヤードの未来はこの子たちに受け継がれてゆく
今回、SBE30周年の節目に6年ぶりに参加、
アメリカンプール&ビリヤードの最前線を
体験して、日本では実感できない、
海外におけるビリヤード人気の
高まりを感じ取ることができた。
と同時に、円安とアメリカのインフレによる
物価上昇という現実に直面して
オレ自身の考えを改めたところも多い。
キューの価格は、ざっくりした感覚で
6年前の4~5割アップ。
現在の日本における
キュー市場・ビリヤード界が、
世界から取り残されないよう祈るばかりだ。
******
これでSBE調査レポートは終了。
次回以降、通常営業だ。BD!
※ 2024 SBEレポート
その1【概要速報】
その2【展示販売キュー・人物編】
その3【キュー調査報告編】
その4【トーナメント・その他もろもろ~前編】
今回(最終回)→ その4.5【トーナメント・その他もろもろ〜後編】
…………
Detective Kとは? 過去記事は?
→こちら
Tシャツ、スマホケース、パーカーなど、
Detective KグッズやBDグッズ販売中
…………
BD Official Partners :
世界に誇るMade in Japanのキューブランド。MEZZ / EXCEED
国内外著名ブランドのビリヤード用品販売中。Billiard Square
創造性と匠の技が光る伝統の国産キュー。ADAM JAPAN
ビリヤードアイテムの品揃え、国内最大級。NewArt
ビリヤード台・用品のことなら。レッスン場「Poche」併設。日勝亭
カーボン繊維構造REVOシャフト発売中。PREDATOR JAPAN
徹底した品質の追求。信頼できる道具をその手に。KAMUI BRAND
川崎と横浜でビリヤードを楽しむ・習う・競う。MECCA
カスタムキュー、多数取り扱い中。UK Corporation
国内外トッププレイヤー達が信頼する国産積層タップ。斬タップ
ジャストなビリヤードアイテムが見つかる。キューショップジャパン
2022年9月『池袋西口店』リニューアルオープン。 BAGUS
「チャンピオンのタップ」HOW Tip(ハオ)登場。SHOP FLANNEL
徹底的なプレイヤー目線でできたJapanタップ。NISHIKI PREMIUM TIP
世界が注目。東京発のキューケースブランド。3seconds
全てのビリヤードプレーヤーに良い革を。NAOLLY
13都道府県で開催。アマチュアビリヤードリーグ。JPA
極上の撞き味を今ここに。国産牛革積層タップ。BIZEN TIP
カスタムオーダーシャフト『focus1』新登場。Geezシャフト
第6巻発売中! ビリヤード漫画『ミドリノバショ』
Cue Ball Samurai―ビリヤードサムライLINEスタンプ