〈BD〉「決勝戦終盤は思ったより冷静でいられました」――大阪クイーンズ優勝・小西さみあの談話

 

先週末(26日)の

大阪クイーンズオープン』を初制覇。

今季のJPBA女子プロツアーで

1勝目を飾った小西さみあ。

大会3日後の談話をお届けします。

 

…………

 

――優勝のお気持ちをお聞かせください。

 

小西:やっと優勝をじわじわと実感してきました。嬉しいです! 「勝ててよかったー」と安心しています。

 

――今大会に臨むにあたりどのようなテーマ・目標を持っていたのでしょうか。

 

小西:テーマは大きく2つ持って来ていて、「しっかり決めてからショットすること」と「待ち時間の心構え」でした。予選の試合を重ねるごとに、だんだん実現率が上がっていったかなと思います。成績面での目標は「優勝すること」を考えていたので、達成できてほっとしています。

 

――2日間トータルの内容を自己採点すると何点ぐらいでしょうか。

 

小西:うーん、トータルなら70点行かないぐらいです。答案用紙でイメージすると、まるかバツだけ! という、三角がなくてはっきりしている感じです。先ほど挙げたテーマに沿うと、「こういうショットをする」と頭の中で決め切れなかったショットはやはりミスしてますし、さらに試合展開も変わってしまいました。なのでこれはバツ。大きく減点です(笑)。逆にしっかり決めて成功しているショットは納得がいっていて、自分の流れも作れたかなと思うのでまるです。初戦で敗者側に回り2日間で8試合したので、いい部分と悪い部分をはっきり振り返られます。

 

――決勝戦(vs 河原千尋)は序盤・中盤・終盤でくっきりと展開が変わり、見ている側としては面白い試合でしたが、小西プロの感情は大きく揺れ動いていたでしょうか。

 

小西:実は思ったより冷静でいられました。自分が3連マスした後、第9ラックで攻めてしまって外した1-6コンビや、次の第10ラックで7番のシュートミスをした時。あの辺りから追い付かれる予感が自分の中でありました。その予感と、「あれだけミスしたから」という納得の材料があったので、動揺は少なかったです。「次に回って来た配置を頑張るしかない」と割り切ろうとしてました。実際に割り切れていたかは正直自信がないですが、あの時の自分ができるベストな心構えでいられたと思います。

 

――ヒルヒルで迎えた第13ラック。3-9コンビはどの段階で行くと決めたのですか?

 

小西:河原プロのブレイク後の配置を見て、すでにコンビは頭にありました。自分の座っている位置からちょうど3-9のアングルも見やすかったので。3番は逆コーナーも通っていたので、「回って来た配置でコンビか取り切りか決めよう」とぼんやり考えてました。実際に1番が回って来た時には、100%「3-9コンビで行く」と決めていました。そのラストショットがなかなか撞けなかったのは、前クッションで入れた1番が思ったより薄くポケットしてしまい、ネクストが想定と少し違う位置になったこともありましたが、一番は気持ちを落ち着かせることに時間を割いていました。頭の中で「こうショットすれば絶対入る」とイメージが固まっていたので、実現させるための覚悟を準備していました。

 

――3-9コンビが入った瞬間の気持ちは?

 

小西:「わー、よかったー」と安心して一気に肩の力が抜けました。イメージ通りにショットができた嬉しさと同時に、対戦相手や会場の皆さんへのありがとうの気持ちが込み上げました。勉強になる試合や皆さんからの応援や拍手は、本当にありがたいものだと改めて気付かされました。ガッツポーズは忘れてしまいましたが……(笑)。かっこよく勝ち切れはしませんでしたが、最後まで妥協しない気持ちでいられてよかったです。

 

――決勝戦中盤のマスワリ3連発がそうでしたが、小西プロのプレーにリズムとメリハリがあり、全体的に判断とプレーのスピードも上がっているように感じられ、迫力がありました。

 

小西:プレー速度を上げたい意識は去年からずっとありました。昨年1月の『関西レディースオープン』は優勝できたけど頭の整理がとても遅かったですし、昨年4月のフィリピン遠征時( https://www.billiards-days.com/20230509-1/ )では「30秒ショットクロック」も初めて体験して、かなり短く感じました。なので、速く撞けるようにできることから徐々に取り組んでいました。今も取り組んでいる最中ですし、まだまだ満足していません。少しずつですが今大会で上手くできた点を、今後はアベレージにできるよう続けたいと思います。

 

――ショット力もさらに上がったのではないでしょうか。多少のポジションミスもリカバーできるようなパワーと精度、そして自信を感じました。それがプレースピード向上にも繋がっているのではないかと。

 

小西:そう言っていただけて嬉しいです。たぶん頭の整理が少しずつできてきたんだと思います。不安や悩みが少なくなってシンプルになると、思ったように体が動きやすくなります。そうすると、松野プロ(※ジュニア時代より師事しているJPBA松野剛明プロ)に教わってきたルーティンがより活きて、ショットの成功率が上がってくる。その成功率がおっしゃる通り、結果スピード向上に繋がっていると思います。自信については……、正直まだ納得行くほど備わっていません。体調管理や私生活からも影響すると考えているので、きっとずっと課題になると思います。

 

――今回のゲームシャツは新しいものだったとのこと。カラーリングが小西プロのキャラクターに合っていてかっこよかったです。いつ・どうやって作られたのですか?

 

小西:ありがとうございます。この「赤バージョン」は今大会に合わせて作っていただきました。最初は青のゲームシャツを、今年3月の『全日本女子プロツアー第2戦 in 愛知 春岡クラブⅡ』から着られるよう作っていただきました。ちなみに、今大会の予選日はその青バージョンでプレーしました。背中の羽のようなイラストだけ自分で描き、その他は全てスポンサードいただいている「肉球会」様にデザインしていただきました。最近は世界・国内共に多くのプレイヤーがゲームシャツを着る傾向もあり、どのプロ大会の服装規定も大丈夫そうですし、何より動きやすくかっこいいシャツでプレーできるのはモチベーションが上がります!

 

――これが2024シーズンの1勝目です。「早く勝ちたい」と待ち望んでいた勝利でしょうか。

 

小西:去年の成績が良かった(※年間2勝。年間ランキング3位)だけに、「今年も優勝したいな」という気持ちはありました。でも、簡単なことじゃないし、今の自分の総合力ではベストを出せても負けることもたくさんあると思います。優勝することは目標ではありますが、それだけだと自分は焦ったり空回るので、優勝のためにどうプレーしていくかを目標にしていました。引き続きコツコツと自分のペースで勝利数を増やしていけたら最高ですね。

 

――先月(4月)、サウジアラビアで開催された『ACBSアジア女子9ボール』(小西プロは17位タイ)に出場しました。いかがでしたか?

 

小西:サウジアラビアに行く前は、本当に行けるのか、試合ができるのかとても不安でした(笑)。初めて行く土地なのはもちろん、宗教の違いや女性に厳しい戒律がある国で日本女子選手4人だけでの遠征。実際に行ってみたら、送迎も現地の方々もとても親切だったので、大きな問題もなく試合に集中することができたと思います。さすがにホテルと会場、近くのスーパーと空港しか行きませんでしたが、一緒の日本女子選手の方々にも大変お世話になり、楽しく過ごさせていただきました。ビリヤードに関する発見や課題は山ほど見つかりました。技術もメンタルもどの面も。定期的に海外戦で戦える環境は大事だなと実感します。

 

――2024シーズンが早くも5ヶ月が過ぎました。この先はどんなテーマを持って臨みたいと思っていますか?

 

小西:まずは体調管理、これに尽きます。どれだけビリヤードのレベルアップができても、ベストを出すためには体のコンディションが不可欠だと考えています。自分は体調管理ができたらメンタル管理もできると思うので。ここまではそれが上手くできてない大会が多かったので、今後はより注意しようと思っています。あとはお話させていただいた通りです。優勝のためにどうプレーしていくか、取り組んでいることをアップデートして続けていくこと。そうしてまた結果に繋がったらいいなと思っています。

 

――最後に、応援してくれている方々へ一言。

 

小西:いつも応援・サポートしてくださっている皆様、大会関係者の皆さま、そして、練習に付き合ってくださる選手の方々、ありがとうございます。試合に出るたびに感じますが、試合中は一人ですが、本当に多くの人から学び、支えられて頑張ることができています。トーナメントプロになるとどうしても結果がメインになりますが、ビリヤードを楽しむことも忘れず今後も成長していきたいです。例えば、14-1やローテーション、ペアマッチなど女子の試合では現状ない種目やフォーマットでもプレーしたり、信頼できる人との球談義もいいですよね。どんなことも必ず糧にできると思います。そして、よりワクワクするような試合やショットをお届けできるよう、引き続き努力してまいりますので、今後もどうぞよろしくお願いいたします。

 

(了)

 

Samia Konishi

1994年1月18日生、東京都出身・在住

JPBA52期生(2018年よりプロ)

2019年『全日本女子プロツアー第1戦』優勝

2023年『関西レディースオープン』優勝

2023年『東海レディースグランプリ』優勝

2024年『大阪クイーンズオープン』優勝

他、入賞多数

 

アマ時代:

2008年『世界ジュニア選手権 女子の部』銀メダル、

『全日本アマチュアナインボール選手権』優勝2回、

『アマチュアビリヤード都道府県選手権大会』連覇

など、優勝・入賞多数

 

所属店:『Trigger』(千葉)

キューはMEZZ / EXCEED、タップは

スポンサー:日勝亭、Brunswick、肉球会

 

 

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