〈BD〉「ブレイクに取り組んだ効果があったと思います」――『全日本女子プロツアー第4戦 in 佐賀 session』優勝・栗林美幸の談話

 

7月27日~28日の

全日本女子プロツアー第4戦 in 佐賀 session

で、今季2勝目を挙げた

栗林美幸の談話をお届けします。

取材は大会翌日に行いました。

 

女子プロ公式戦で初めて導入された

「チェスクロック」(持ち時間制)に

ついての感想も語ってくれました。

 

ーーーーーー

 

――1月の『関西レディース』以来、約半年ぶりの優勝です。

 

栗林:嬉しかったですね。

 

――この半年、決勝日に残れない大会もありました。焦りは?

 

栗林:正直ありました。でも、3月の『全日本女子プロツアー第2戦 in 愛知』(3位)は準決勝のヒルヒルで9番をやってしまった(ミスをした)自分が悪いんですけど、他の試合は相手選手がすごくナイスなプレーをしていて負けてしまった試合ばかりですし、「今年はそういう流れなんだろうな」と思ってました。私、結構ポジティブなんで、自分に流れがない時はないでしょうがないなと。逆に、流れが自分に来た時にいかに勝ち切るかだなって考えてました。今回は流れに乗れましたね。

 

――流れを引き寄せられた要因は?

 

栗林:ブレイクです。この半年「ブレイクの配置に恵まれないなぁ。それも流れなのかな」なんて思ってたんです。でも、『東海レディース』(7月)の時にクリ(夫の栗林達プロ)から「それは違うよ」と。今までのブレイクは1番が入ったり入らなかったり、取り出しがあったりなかったりで安定してなくて、得点をバババッと連取することがあまりできてなかった。私はそれも流れのせいにしてたんですけど、「ブレイク自体が良くないんじゃない?」と指摘されまして。「たしかに。まだまだ改善の余地があるな」って思いました、今更ですけど(笑)。クリにアドバイスをもらってブレイク練習をかなりやったんですけど、その効果があったと思います。

 

――安定していましたね。強めの引きブレイク。ラックは綺麗に割れて取り出しもだいたい見えていて。

 

栗林:しっかりめに打ってるんですけど、前ほど身体(重心移動)は使ってないです。大きく体を動かすと安定性に欠けるということにやっと気付きまして。まだ手球は毎回同じ動きはさせられないですけど、練習したおかげで当て前(厚み)と撞点はだいぶ安定してきたと思います。今回はイリーガルが1回もなくて、それだけでも気持ち的にだいぶポジティブになれました。

 

――決勝日は4試合とも7-1決着でした。

 

栗林:スコアは全然意識してないです。ミスもしてましたし、まあ勝ち運があったんだと思います。というか、ブレイクしてまず取り出しが見えてる幸せ?(笑) たとえ攻められなくてもセーフティすればいい。プッシュアウトから始めるよりだいぶ気持ちが楽です。それと、苦手な朝イチの試合をちゃんと撞けたことも大きかったと思います。

 

――決勝戦(vs 河原千尋)も終始良い精神状態で撞けていたのでしょうか。

 

栗林:そうですね、割と平常心というか。もちろん優勝したいですから、試合前は「あと7回9番を入れたいな」とは思ってましたけど、試合中はすごく気負っていた訳でもなく淡々と、という感じでしたね。

 

――第4ラックで相手が9番を入れてスクラッチ。あそこで栗林プロに大きく展開が向いたと思います。

 

栗林:感じましたね、流れを。でも、それを手放しちゃうと相手に行かれるし、いつ逆の展開になってもおかしくない。それは最近、誰が相手でもそう感じます。皆レベルが上がってるし、若いプロ達も強くなってるので。

 

 

――第7ラック(6点目)のマスワリはナイスでした。6-8コンビまでの組み立ても、コンビの後球もばっちりで。

 

栗林:ありがとうございます。あれはブレイク直後に「6-8コンビだな」と思ってました。でも、6番の狭い方(↑上記X〈Twitter〉動画の画面の左側)に出さないといけなかったし、6番に完全に真っ直ぐに出すか、逆にある程度しっかりフリを付けないとコンビの後球が作れないという球でした。なので、4番→5番と、5番→6番のフリがすごく大事でしたし、5番→6番のあの出し方はスクラッチもありえるので難しかったですね。2回続けて最高のフリになったのは運も良かったと思います。

 

――ショット自体もそうですが、素早く配置を把握して解決策を見出していた姿から、精神面の落ち着きを感じました。

 

栗林:大会中、常に各ラックの最初にちゃんと考えるようにしてました。というのは、初めて女子の試合にチェスクロックが導入されたから。途中で判断に迷ってしまうと時間が足りなくなりそうだったので、まず1球目で考えるようにしてました。

 

――決勝戦は最後、2番から取り切って上がりました(7-1)。

 

栗林:4番→6番とか7番→8番とか、クッションでピョーンと手球が跳ねちゃって変な形になってたし、スムーズに美しく取れた訳じゃないですけど、しっかりと考えて撞けたと思います。このラックに限った話じゃないですけど、取り組んできたことが結構発揮できたかなと。撞点とか(手球と的球の)接点の意識とか近い球の撞き方とか。

 

――さきほど「チェスクロック」の話が出てきましたが、実際どうでしたか?

 

栗林:完全に初めてだったので、予選の1試合目は意識してました。7-2で勝ったんですけど、終わった時に45分の持ち時間が残り15分ぐらいになってたのかな。「もしもっとセーフティ戦をやりあったりしたら結構ギリギリじゃない?」と感じました。私は撞くのが速くはないけど遅い方でもないから、45分あれば足りるだろうと思ってたんですけど、展開によっては使い切ることもあるなと。例えば、自分で入れ続けて行って9番とかハイボールで飛ばすと、点は取れてないのに時間は減ってしまう。これは一番ダメですよね。

 

――タイムロスが生じるパターンですね。

 

栗林:そんなことを考えてたら少し焦りも出て来ました。でも、1試合した後は大丈夫でした。2回戦は7-5で勝ったんですけど、ちょうど上がるタイミングで持ち時間を使い切るぐらい。途中でセーフティ戦もありました。そこで45分の減り方がなんとなく掴めたと思います。それに、クリに言われて納得したんですけど、別に持ち時間を使い切っても、そこから25秒ルールで撞けるので全く焦る必要はないなって。変に「私、遅いかな」とか「自分だけ時間の減りが早いな」とか気にするよりも、使い切ったら使い切ったで25秒で撞けばいいだけだなと思いました。

 

――そうですね。男子プロの試合でも接戦になると片方あるいは両者が持ち時間を使い切ることは珍しくないですから。話を戻しますが、今回の優勝で今季2勝目です。「年2勝」という数字をどう捉えていますか?

 

栗林:コロナ禍をのぞくと、2007年からはだいたい毎年2勝以上していて(※最多は2008年の6勝。2011年は1勝)、今も「年2勝」は最低目標というかノルマみたいな感じで考えているところがあります。今年は『関西レディースオープン』(1月)以来勝ててなかったのでちょっと焦ってました。調子が悪い訳でもないし、全然球が入らない訳でもない。それでさっきも言った通り、「流れが来てないんだな」って。ランキングもダダ下がりしてましたけど、今回の優勝でちょっとは上がったかな。

 

――今後さらに向上させていきたいこととは?

 

栗林:普段練習してることを試合で出すこと、運がある時に勝ち切ること、流れや展開を読んで適切にショットを判断すること、ですかね。それと今回の自分の動画を見直して思ったのは、歩き方、間、入り方、構え方なんかもまだ改善の余地があるなということ。そういった所作で「いかに強く見せるか」も大事なことだと思うので、そこも磨いていきたいですね。

 

――最後に応援してくれてる人達に一言。

 

栗林:お店(栗林夫妻で営む東京『KULICKS』)のみんなや、スポンサーさん、家族、いつもありがとうございます。そして、今回は会場の『session』の皆様や福岡の矢田さん(繁美。元JPBAプロ)をはじめ、九州の方々に大変お世話になりました。おかげで優勝することができましたので感謝しています。九州では以前『九州レディースオープン』でも優勝しているので(通算4勝)、やっぱり相性が良い土地なのかもしれません。優勝した後、皆で朝まで福岡で球撞きをしたりして楽しい遠征になりました。2024年シーズン後半も、大会で日頃の成果を発揮できるようにしっかりと取り組んでいきます。

 

(了)

 

Miyuki Kuribayashi

JPBA37期生

1979年1月13日生

香川県出身・東京都在住

2007年・2008年・2016年『ジャパンオープン』優勝

『関西オープン』6勝(3連覇含む)

『東海グランプリ』3勝

『北陸オープン』2勝

『大阪クイーンズオープン』4勝(※前身大会合わせて)

『九州レディースオープン』3連覇(通算4勝)

『全日本女子プロツアー』7勝

『第1回 CPBA Queens Open in 札幌』優勝

『関東レディースオープン』優勝

2017年『全日本選手権』準優勝

他、優勝・上位入賞多数

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所属店:『KULICKS』(東京)

所属・スポンサー:(株)三木、(株)JUST DO IT、(株)NAOLLY

 

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