〈BD〉日本4チーム、ラスベガス決戦のちょっと裏側―― 『APA World Pool Championships 2024』

 

ラスベガスで8月上旬に行われた

世界最大のアマチュアビリヤードトーナメント、

『2024 APA World Pool Championships』

(以下「WPC」)。

 

今年も日本(JPA)からは、

8ボールに1チーム、

9ボールに3チームの計4チームが参戦。

 

Crash x 8 Ohana(ロサ)が、

8ボール日本勢過去最高位タイとなる

33位タイをマークしました。

※日本勢結果記事はこちら

 

そんな2024 WPCの模様を、

各チームの代表者コメントも

交えつつ振り返ります。

 

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◇ ラスベガスへGo!

 

 

8月7日、8ボールに出場するCrash x 8 Ohana(ロサ)が一足早く渡米。今年の乗り継ぎ地はハワイ。9ボールに出る3チームは5日遅れて同じルートで渡米しました(画像5枚目)。「後発組の羽田発の飛行機がかなり遅れたものの、便を変更することなくハワイで乗り継ぎできたのは幸運でした」(JPAスタッフYさん。以下同)

 

会場は今年もラスベガスの『ウエストゲート』(The Westgate Hotel & Casino)。2015年大会からWPCの会場になり、日本チームがここでプレーするのは今回が8回目です。

 

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◇ 開会式

 

 

開会式は写真のように大賑わい。ここにいるのはほぼ全て8ボールの参加者。9ボール参加者はまだいないので、これでも総参加者の半分ほどです。

 

8月8日~17日の10日間、アメリカ(APA)、カナダ(CPA)、日本(JPA)、そして、チーム派遣2年目となるシンガポール(APA of Singapore)の4ヶ国の、2,680チーム・15,939名がここでプレーします。会場内には日本(JPA)の国旗やJPAバナーも掲げられています。3枚目の画像の左側のワッペンはWPC参加者に配布された価値ある品。

 

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◇ Into The Arena !

 

 

動画は8ボールと9ボールの本戦のメイン会場。これが、初めて訪れた人が皆息を呑む『The World’s Largest』の光景です。他にもサブホールやTVテーブルスペース(チャンピオンシップアリーナ)があり、トータル297台のテーブルが整然と配置されています。「我々も何度見てもこの規模に圧倒されます。会場内はしっかりと冷房が効いているので、プレー中の選手は快適にプレーできる反面、日本人の多くは身体を動かしていないと寒く感じると思います」(JPAスタッフYさん)

 

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◇ ブースもいっぱい

 

 

会場内には41もの企業ブースが出展。ビリヤード用品のショッピングを楽しんだり、タップ交換などのキューメンテナンスもできる他、「キューガード」というキューケースの一時預り所などもあります。ビリヤード用品は種類も物量も多く、日本で手に入らないものも多々あります。「日本チームのメンバーや我々スタッフもお土産として購入することがあります。円安ですが、それでも日本で買うよりはかなり安く手に入るものも多いです」(JPAスタッフYさん)

 

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◇ フロリアン & ジャネット

 

 

「APAの顔」と言ってもいい2人の契約プレイヤー。トリックショットアーティスト、フロリアン・コーラーと、アメリカ女子プールプレイヤーのアイコン、ジャネット・リー。今年もデモプレーやエキシビションで魅せていました。

 

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◇ ダイヤモンドテーブル

 

↑この動画は昨年撮影

 

昨年、WPCのテーブルが全台『ダイヤモンド』に変更になりました。いわゆる「7フィート・コインテーブル」で、試合用テーブルはそのままお金を入れずに使えますが、練習用テーブルはアプリ決済システムで1ドル支払うとボールが出てきます。4枚目の写真は「チャンピオンシップアリーナ」に設置されたホワイトダイヤモンドテーブル。ここで日本のCrash x 8 Ohanaがエキシビションマッチをプレーしました(後述)。

 

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◇ 今年のワールドチャンピオン

 

 

今年のチャンピオンは、

 

8ボールはニュージャージー州の

『YOU’RE NOT MY REAL MOM』、

 

9ボールはジョージア州の

『POCKET SPEED』でした。

 

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◇ 日本&シンガポール友好の証~スペシャルエキシビション

 

 

今年初めてチャンピオンシップアリーナで、日本代表チーム(Crash x 8 Ohana)とシンガポール代表チームによるスペシャルエキシビションマッチが行われました。両チームから3名ずつ出して、8ボールと9ボールを1ラックずつプレー。その模様は実況解説付きでライブ配信されていました。「APA側の計らいにより、初めて『インターナショナルチャレンジマッチ』に参加させてもらいました。惜しくも日本のCrash x 8 Ohanaは敗れてしまいましたが、チャンピオンシップアリーナという最高の舞台で、フレンドリーなシンガポールチームと試合ができて、日本チーム、スタッフともに素晴らしい経験になりました」(JPAスタッフYさん)

 

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◇ オフテーブル

 

 

試合がない日や負けてしまった後、日本の各チームは、ミニマニア(個人参加のミニトーナメント)に出たり、ラスベガスの街や近郊の観光名所(グランドキャニオンなど)に出掛けたり、思い思いにラスベガス滞在を楽しみました。巨大な球体の建物はラスベガスの新名所、『Sphere』(スフィア)。「日本の何名かのプレイヤーと我々JPAスタッフは中に入り、映像ショーを楽しみました。中もとにかく広くてスクリーンに囲まれている感覚で大迫力の映像でした(後ほどまた語らせてください)」(JPAスタッフYさん)

 

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ここからは日本の4チームそれぞれの戦績と代表者コメントをお届けします。まずは8ボールのCrash x 8 Ohanaから。

 

◇ 8ボール(全765チーム)

 

Crash x 8 Ohana(ロサ) 

 

 

◯ Round 0 vs HICKORY EXPRESS

◯ Round 1 vs END GAME

◯ Round 2 vs POOL SHARKS - NM

◯ Round 3 vs TEAM JOLEEN WATERMAN

◯ Round 4 vs COBRA KAI POOL

● Round 5 vs TEAM DALLAS

33位タイ(8ボール日本勢過去最高位タイ)

 

曽根真衣さん・記:

 

「今回、765チーム中33位タイという日本勢過去最高位と並ぶ成績を出せたことが嬉しい一方で、あと1勝して更新したかったという悔しさも残るWPCとなりました。 台もクッションも速いという難しいコンディション、言葉の壁、次々と試合が続くハードスケジュール…というタフな環境でしたが、それさえも面白く、また現地のチームのレベルの高さも体感し、大変勉強となる日々でした。 

 

特筆すべき事としては、シンガポールチームとエキシビションマッチをしたことです。憧れの特設会場で、アジアの参加国同士で交流ができたことは何にも代えがたい貴重な経験となりました。 本戦の運営もある中、エキシビションマッチも開催してくださったAPAスタッフの方、渡航前から手厚くフォローしてくださったJPAスタッフの方、現地で声をかけ応援してくれた方、日本から応援してくれたCrash×8グループのメンバー・家族・友人にこの場を借りて感謝いたします。 またラスベガスへ戻ってこられるよう、そして次こそは上位入賞できるよう頑張ります!

 

最後に余談ですが…チームのYouTubeでライブ配信をしていたのですが、他にも撮影しているチームが多かったのが印象的でした。ビリヤードとネットという共通言語で、世界と繋がっていることを改めて感じるとともに、ラスベガスを目指す全ての人へ、私たちの経験から少しでも身近に感じていただけたら幸いです」

 

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◇ 9ボール(全635チーム)

 

RHINESTONE(Hide Out 池袋)

 

 

◯ Round 0 vs THUNDERSTRUCK

● Round 1 vs GOOD OL’ BOYS

 Round -1 Bye

● Round 2 vs NO ENGLISH - GA

385位タイ

 

津田英佑さん・記:

 

「まず、このような貴重な経験をさせていただいた事にメンバー全員感謝しております。僕は映画『ハスラー2』世代で当時はカッコつけでワイワイやる程度。それから30年経ち、本格的に始めて6年、自分のチームを作って2年でのラスベガスの権利獲得は本当にこれからの自信に繋がりました。

 

飛び抜けた腕前のメンバーがいる訳ではなく、BとCクラスのみでの『KTC』優勝は、全てのチームに『自分たちだって行ける!』と、夢と希望を与えられたのではないかと自負しております。ある程度の固定の5人で進めていくのではなく、皆を信じ、ほどよく回して出場回数に差が出ないよう戦ってきた采配が、真のチームワークを産んだのではないでしょうか。

 

僕は俳優であり声優という職業柄、メンタル強化に関してかなり勉強して参りました。普段なら入る球も外す、ラックを組む両手が震える、構えてもキューが出ない。その緊張をプラスに替える取り組みをチームに徹底的に刷り込みました。誰だって緊張する、決して頑張らない、押さえ込まない、外しても引きずらない、楽しむのだと。全てはメンタルですから。なので、全員生き生きとラスベガスでの国際試合を楽しんでいるように見え、その姿に誇りさえ覚え、涙が出そうな程嬉しく思いました!

 

結果は思ったより残念な運びとなりましたが、これで『また必ず戻ってくるぞ!』という気持ちが固まり、それぞれの課題に真摯に向き合えるのではないかと、一つ成長できた今回の渡米となりました。本当に楽しかったです! ありがとうございました!」

 

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DAMADE(ダマデノッチェ)

 

 

芝鼻哲治さん・記:

 

「JPAを始めて10年目にラスベガス大会に参加させていただき、一生の思い出になりました。行きは航空会社のトラブルで到着が大幅に遅れましたが、それも含めていい経験になりました。2試合ともあと少しで勝てそうでしたが力及ばす、チームは敗戦してしまいました。WPCの台は日本と違う7フィート台でしたし、他の国のビリヤードを生で感じられて、とても充実した1週間でした。

 

私達のチームは個性の強いメンバーの集まりですが、ビリヤードのおかげで少しはまとまることができと思います。これからはもっと練習して更にレベルアップし、WPCで優勝できるようになりたいです。同じ目標を見据えて頑張る楽しさは、JPAが1番実感できると思います。

 

APAとJPAのスタッフの皆さんに手厚くサポートしていただき、最高に楽しい1週間を過ごさせていただきました。素敵な経験をさせていただき、本当にありがとうございました。また来年もWPCに行けるように頑張りたいと思います」

 

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Cho L.A. niki 2(LA Cafe)

 

↑左の動画がCho L.A. niki 2の小宮さん(SL9)

 

 

比嘉百合子さん・記:

 

「WPCは言葉の壁を乗り越えて熱い試合ができるので、最高のイベントだと思います。今回私たちは去年ラスベガスを経験した5人と、新しく参加したメンバー3人で行ってきました。航空会社のシステムトラブルで出発が6~7時間遅れたり、初海外のメンバーが環境や気候に合わず、体調不良になってしまったこともありましたが、みんなめいいっぱい楽しんで無事帰って来られました。

 

私個人の感想になってしまいますが、海外の方のレベルが全然違っていて、とても勝てそうに無く、心をポキっと折られた気持ちになりました。これからも一生懸命練習に励もうと思います。

 

WPCの会場はすごく広くて、いろんな人のビリヤードが見られて、刺激だらけでした。夢のようなあっという間の1週間でしたが、一生の思い出になりました。これからのビリヤード人生のモチベーションの一つにしていこうと思います♪」

 

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◇ JPAスタッフY氏が振り返る2024 WPC

 

最後に、日本の4チームに同行したJPAスタッフのYさんに2023年WPCを総括していただきました。

 

 

JPAスタッフYさん・記:

 

昨年のBDさんの記事でもお話した『Sphere』(スフィア。球形の2万人収容可能な大型アリーナ。内外両側の壁面を最新鋭の超高精細LEDパネルが覆っていて内側のスクリーン面積は日本最大のIMAXシアターの31面分という巨大さ)が昨年末に開業したので、今年は中に入ってみました。

 

感想はとても言葉では言い表せないのですが、とにかく目の前に現れる映像がリアルすぎ。解像度は普段の生活で目にしている世界と全く同じです。例えばグランドキャニオンが映るシーンなどがあるのですが、2万人が乗れる巨大な乗り物に乗せられてガラス張りの中から景色を眺めている、そんな感覚になりました。

 

また、全面に動物の生態が映し出されるようなシーンでは自分たちがミクロな生き物になったような錯覚を覚えました。いずれにせよ、ただ映像を見ているだけではなく、本当にその場にいるような気にさせられる没入感が異次元です。これらは誇張でもスフィアの回し者でもなんでもなく(笑)、JPAでラスベガスに来られた際にはぜひ訪れていただきたいスポットです。ウェストゲートからは車で5分の距離です。

 

もちろんスフィア以外にも観光スポットはたくさんあります。大谷翔平グッズが買えるショップや、ラスベガスでも大人気の『インナンアウトバーガー』、そして、日本からは直行便がありませんので今年の経由地ハワイで偶然撮れた奇跡の1枚(!?)などなど。

 

さて前置きはここまでとし、本題に。JPAとしては16回目の参加となるAPAラスベガス大会(WPC)は今年も大変な盛り上がりを見せていました。まず、8ボールと9ボールの参加チームが前年比なんとプラス88の両方合わせて1,400チームちょうどでした。特に9ボールの人気がアメリカでも上がっているのか前年比プラスで53。両方もちろん過去最高で、ギネスブックに“World Largest Pool Tournament”=世界最大のプールトーナメントと登録された時からおよそ300チーム程度増えていますので、最大を更新し続けるこの規模にはただただ驚くばかりです。

 

JPAの『関東エリアチームチャンピオンシップ』(KTC)は100チーム参加で、関東からはうち3チームがここに来ているということを考えると、この1,400チームの向こう側には更なるチームの数があり、すごい数のビリヤード人口がいることが分かります。

 

会場内の様子も記事内の動画や写真を見ていただいて少しはお伝えできているかと思いますが、あのずらりと並んだテーブル1台ずつに平均15人が取り囲んでいる状態で、私個人としても毎年現場にいて「今年はちょっとテーブルと椅子が足りていないな」と冗談抜きで思ったほどです(苦笑)。

 

賞金総額も年々増えて日本円にして1億9457万円と、もうすぐ2億円に手が届きそうな金額になっており、もちろんプロではありませんので一人頭にするとそんなに大きな金額ではありませんが、参加全チームに賞金が出て、勝ち進めば増額もされていく(8ボールのCrash x 8 OhanaさんがBEST64で2,000ドル)ということで、現地で四六時中ビリヤードをしつつ、目一杯遊んで、来た時よりも財布も膨らませて帰ることができるかもしれないという夢のようなお話だと思っています。

 

やはりこれだけのプールトーナメントを開催できるのは世界中でAPAしかないので、JPAにご参加くださっている方々にひとりでも多く体験していただきたいと思っておりますし、いざラスベガスにお連れする際にも自信を持って『楽しいですよ』とご案内できます。

 

来年は春のラスベガス大会『APAシングルスチャンピオンシップ』にも14年ぶりに参加することになりまして、関東以外の各地予選も開催したり、ひとりでアメリカに行くのはちょっと…という方にも『それならぜひ参加したい』と思っていただけるような特別なプログラムもご用意する予定です。9月中旬スタートの秋のリーグに参加予定の方には全員にチャンスがあります。続報をお楽しみにお待ちください。

 

最後になりますが、JPAにご協賛をいただいているMEZZキュー、エクシードキューの株式会社三木様、KAMUI BRANDの株式会社ENVISION様、開催にご尽力をいただいている関係各社様、開催店舗関係者の皆様、そしてJPAにご参加下さっている全国のメンバーの皆さまに、この場をお借りして厚く御礼申し上げます」

 

(了)

 

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WPCの模様や結果・経過は、以下の

JPA・APA公式アカウントもご覧ください。

 

■JPA公式ブログ

 

■JPA公式FBページ

 

■JPA公式Twitter

 

■APAのWPC公式サイト(英文)

 

トーナメント表

 

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◇ JPA関連BD記事はこちら

 

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