〈BD〉ダイヤモンドテーブル in ジャパンオープン。特設会場搬入~設置~搬出のちょっと裏側

 

男子:J・イグナシオ(フィリピン)、

女子:王婉菱(ワンワンリン。台湾)の

優勝で幕を下ろした今年の

ジャパンオープン』。

 

最終日の特設会場、

東京・竹芝『ニューピアホール』では、

一昨年、昨年に続き、

アメリカのダイヤモンド社のテーブル、

PRO-AM Black』が

使われていました。

 

設置したのは、

ダイヤモンド国内代理店である

New Artのテーブルスタッフの皆さん。

 

大会前から念入りに準備が行われ、

Day2(大会最終日の前日)に

会場に運び込まれて組み立てられ、

最終日の競技後すぐに搬出されました。

 

会場で観戦していた方は、

8台のテーブルのうち4台が

ベスト8終了後に撤去され、

さらに準決勝終了後にも2台が

運び去られた様子を見ていたと思います。

 

今回は普段あまり見ることのない、

「特設会場のテーブル設置」の様子を

New Artテーブルスタッフさんに

教えていただきました。

 

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◇ 事前作業

 

・クッションレール

 

 

「ジャパンオープンで使用するダイヤモンドPRO-AMテーブルは、New Artのテーブル倉庫で、開催の約1週間前からある程度組み上げていきます。この画像は、クッションレールにクロス(ラシャ)を張っているところです」(New Artテーブルスタッフ。以下同)

 

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・スレート(石板)

 

 

「こちらはスレート(石板)。ジャパンオープンではつなぎ目のない1枚スレートを使います。通常ビリヤードテーブルのスレートは3分割されているので、設置時の水平調整に時間がかかります。PRO-AMはもともとスレートの品質が良い上に、ジャパンオープン用のテーブルは1枚スレートなので短時間で水平調整が完了します。そして、クロスは事前に張っていきます。この作業を事前にやっておくと会場でラシャ張りをする必要がないので、設営時間の短縮になります。ちなみに、クロスはタッカーではなく糊でスレートに貼り付けます。3枚目の画像はスレートをフォークリフトでトラックへ積み込んでいる様子。スレートの重量は1枚約350kg。非常に重いです」

 

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・フレーム(本体筐体)

 

 

「フレーム(本体筐体)も事前に組んでおきます。2~3枚目の画像は、普段見ることのないセンターレールと、それを組み付けた状態。各ポケットから落ちたボールは、このセンターレールを通ってボールボックスへ集まります。ボールが途中で引っかからないか確認しながら作業しています。ここをボールが転がる音やボールボックスに溜まる音は非常に静かです。また、4枚目の画像はスレートを敷くための板を取り付けているところ。ここまでの作業を終えたフレームを慎重にトラックに積み込みます」

 

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◇ 搬入

 

 

「9月15日(日)の午前10時。ニューピアホールの搬入口よりテーブルを運び入れて作業を開始。各部材をトラックの荷台から台車へ移し替えて、会場内へ搬入します。設置位置までフレームを運んだら、脚部をフレームに取り付けていきます」

 

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◇ 設置

 

 

「フレームを設置するのと同じタイミングでクッションレールと袖板を組み上げていきます。その後、8台分のフレームの設置場所を再度確認して、スレートを乗せていきます。スレートは重量があるので10名で運搬します。ラシャは事前に張っているのでフレームに乗せるだけ。ここまで終わったら、あとはレベル(水平)を合わせて最終チェックをして組み立て完了です。今年は午後3時30分に作業を終えました」

 

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◇ 大会本番

 

 

「我々テーブルスタッフは本番(大会最終日)も朝9時に会場へ。ラシャやフレームの清掃をして競技開始を見届けます。15時と17時30分の2度、レイアウト変更(段階的なテーブル撤去)があるので、それまでロビーのNew Art展示即売ブースにいます」

 

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◇ 8台→4台 レイアウト変更

 

 

「ベスト8が終わった後、レイアウト変更のため8台中4台を撤去します。ジャッキアップしてテーブルを台車に乗せて移動します。20分の休憩時間内に作業を終わらせます」

 

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◇ 4台→2台 レイアウト変更

 

 

「準決勝が終わった後、今度は4台中2台を移動します。これで男女ファイナル用のレイアウトができました」

 

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◇ 大会終了~搬出

 

 

「男女のファイナル~表彰式の後、すぐに最後の2台を撤去し、搬出作業に取り掛かります。ちなみに、今回男子チャンピオンのイグナシオ選手がゲームボールを入れてテーブルに飛び上がって喜んでいました。日本では『行儀が悪い』『礼節を欠いている』と受け止める方もおられると思いますが、ダイヤモンド社と我々テーブルスタッフは、ジャパンオープン特設会場に限っては優勝の喜びを表すパフォーマンスとしてテーブルの上に乗る行為を良しとしています。その理由は、『テーブルに乗っても、フレーム全体でスレートを支えているためスレートが割れたり変形する心配がない』『ボディ(袖板・クッションレール)の表面材は非常に硬く、傷つく心配がない』『このクロスは再利用しないため、汚れても問題ない』ということです。もちろんテーブル上に昇り降りする際に転倒したりして怪我をすることがあってはいけませんが、その心配のない方はここでしか出来ないパフォーマンスとしてやっていただいても構わないと思っています」

 

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最後に、New Artテーブルスタッフさんに

ジャパンオープン特設会場での

設置作業の要点や、

ダイヤモンドテーブルの特徴などについて

お聞きしました。

 

 

――ニューピア特設会場に設置するPRO AMテーブルは、1枚スレートタイプの特別仕様だと聞きました。大会のどのぐらい前に日本に入って来ているのですか?

 

「今年は開催2ヶ月前の7月中旬に入荷しました。1枚スレートは搬入経路などの事情(狭い通路では運べない)があるため国内向きではありません。ジャパンオープンのために用意しているものです」

 

――事前にNew Art倉庫で行う準備作業が思った以上に多かったです。どのぐらいかかりますか?

 

「7日間です。検品しながら作業を進めますが、倉庫をジャパンオープン作業用にアレンジするのに2日間、クロス(ラシャ)を部材に張っていく作業に2日間、フレームを組み立てるのに2日間、トラックへ積み込むのに1日かかりました。この期間は他の施工を全て止めて、職人総出でジャパンオープンの準備をします」

 

――事前作業~運搬の工程ではどんなところに気を付けていますか?

 

「組立ての当日に不具合が発生しないように入念に準備します。チェック項目はたくさんありますが、例えば『ポケットに落ちたボールが途中で詰まらないか』『コーナーポケットやサイドポケットの開口サイズが全台揃っているか』『長クッションレールの直線がズレていたり、反発に狂いがあったりしないか』『トラックへの積み込み時に部材の漏れはないか』『輸送・搬入時に荷崩れなどで部材に傷がつかない様にしっかり固定できているか』『車両からの積み下ろしの際に怪我や事故の無いように』といったところを施工チームで共有して意識しています」

 

――ニューピアホールでの設置作業ではどんなところに気を付けていますか?

 

「特にスレートの搬入は危険が伴う作業なので細心の注意を払っています。スレートは1枚物なのでかなりの重量があり、少しでも気を抜くと落下したり、手を挟んだりという大事故に繋がる可能性もあります。重量物の扱いに慣れていない方々にも手伝っていただきますので、事故や怪我がないように気を配っています。また、当たり前ですが、特設会場まで勝ち上がってきたプレイヤーの最終決戦の舞台に相応しいセッティングにするために、職人一丸となって持てる技術を全て投入しています。最高の舞台に最高のプレー環境を提供するのが、ビリヤードテーブルを組立てる職人としての使命だと思っています」

 

――大会当日は途中でレイアウト変更(段階的なテーブルの撤去)が行われますが、この時気を付けていることとは?

 

「テーブルの移動に専用の台車を使用しますが、移動経路にほんの少しでも段差があると、衝撃で台車からテーブルが脱落する恐れがあります。そうするとテーブルや床を破損したり、作業員が台の下敷きになって大怪我をしてしまうなどの危険性がありますので、そのあたりをしっかりと確認しながら慎重に作業しています。あとは、試合の合間での作業となり、時間の制限がありますので、時間との戦いですね」

 

――特設会場のテーブルがダイヤモンドになって今年が3年目でした。初年度や2年目より作業はスムーズに進みましたか?

 

「3年目にしてようやくスムーズになってきたかな? という感じでしょうか。ただ、毎年のテーブル設置作業の中で最も大変なのは撤去です。ニューピアホールでの作業のリミットが21時なので、試合の進行状態によってはかなりぎりぎりになってしまいます。また、『家に無事に帰るまでが仕事』がモットーですので、スタッフ一同疲労困憊していますが、撤収後は安全運転を第一に千葉へ帰りました」

 

――テーブルスタッフから見て、改めてダイヤモンドテーブルの優れているところとは?

 

「水平が出しやすくて狂いにくいところです。台がどっしりしていて安定感があり、今回のように試合の合間にビリヤード台を移動しても、スレートとその支持構造が良いため、水平の再調整が非常に短時間で行えます。あとは、デザインがスタイリッシュですし、表面に金属を使っていないのでキューもプレイヤーも傷付かないのも良いところだと思います。まだまだ日本での普及台数は少ないですが、グローバルスタンダードなPRO-AMで多くの方にプレーしてもらえるようになったら、テーブル職人としても嬉しく思います」

 

――ダイヤモンドPRO-AMはNew Artで購入できますか?

 

「はい、New Artでお買い求めいただけます。現在、台数限定になりますが『ビリヤード台入れ替えキャンペーン』を実施中です(こちら)。お気軽にご相談ください」

 

(了)

 

◯ NEW ART公式サイト内ダイヤモンド商品ページ

 

◯ 同サイト内ダイヤモンド企画ページ「『PRO-AM』ができるまで。工場見学!」:

 

◯ 同サイト内ダイヤモンド企画ページ「 『PRO-AM』ができるまで。台の拘りと特徴

 

◯ BD内ダイヤモンド関連記事(設置事例/ダイヤモンド副社長インタビューなど)

 

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