古今東西の稀少なビリヤードアイテムを
多数所蔵している
「ビリヤード珍品コレクター」の
今回ご紹介いただくのは
「古い印刷物」です。
今では本離れ・活字離れが
指摘されていますが、
日本は世界有数の出版大国。
ビリヤードを主題とした刊行物・
印刷物も多数発行されてきました。
これまでI氏にはBDで
様々な刊行物・印刷物を
紹介していただきましたが、
まだまだ資料的・歴史的価値の
高いものが手元にあるとのこと。
連載ラストにまとめてご紹介いただきます。
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I氏・記:
ビリヤードをこよなく愛する皆様、
こんにちは。
I氏はこれまでに『日本ビリヤード新聞』や、
『ビリヤードの古書』
紹介してきました。
今回はビリヤードに関する
その他の【古い印刷物】を取り上げます。
なお、I氏はビリヤードに関する
海外の古書や雑誌のバックナンバーなども
いろいろ持ち合わせていますが、
それだとテーマがかなり広くなりますので(汗)、
ここでは日本国内で販売されたアイテムに
限定させていただきます。
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【定期刊行物】
現在ではインターネットの普及により、
世界中のビリヤードの情報が
簡単に手に入る時代となりましたが、
一昔前まではビリヤード場での
口コミ以外では、せいぜい
月に一度の定期刊行物で
知識を得るのが普通でした。
当時の方々は、
月1回だけとはいえこのような
メディアを重宝されていたはずです。
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◇ 大正時代のビリヤード雑誌『撞球倶楽部』
1枚目&2枚目:大正4年(1915年)第3年第11号
3:右=大正9年(1920年)第8年第2号/左:大正10年(1921年)第9年第1号
4:大正10年(1921年)第9年第1号
5:大正9年(1920年)第8年第2号
大正時代に刊行されていた
ビリヤードの雑誌で、I氏が知る限り
ビリヤードに関する日本最初の
定期刊行物ではないかと思われます。
創刊時期は定かではありませんが、
おそらく大正2年(1913年)かと
推測されます。
月1回発行の月刊誌で、
サイズは約15cm×22.5cm、
毎号のページ数は40~80ページです。
内容については
(古い書物ではよくあることですが)
写真やイラストが非常に少なく、
ビリヤード上級者による
技術解説の文章がほとんどです
(山田浩二選手など当時の
有名選手からの寄稿もあります)。
また、5枚目の画像のように
大阪のビリヤード用品販売会社の老舗、
『日勝亭』の広告もあります。
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◇ 戦後の新聞『日本撞球新聞』
おそらく昭和20年代から
刊行されていた月刊の新聞です。
大きさはいわゆるタブロイド判で、
毎号4~8ページで発行されていました。
昭和40年(1965年)に当時の
代表者(主幹)の方が急逝されたために
廃刊となったのですが、
それに続く形で『日本ビリヤード新聞』が
創刊されました(ただし『日本撞球新聞』と
『日本ビリヤード新聞』の間には、
経営や編集に関する直接のつながりは
なかったようです)。
今回紹介した昭和39年(1964年)
12月の第172号の一面記事では、
初めて開催された
『第1期 全日本スリークッション名人位決定戦』
という8人総当たりの試合で、
小方浩也選手がグランドアベレージ
1.347という当時では驚異的な記録で
優勝したことが伝えられています。
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◇ 昭和期の刊行物『CUE LIFE』
1970年代に発行されていた
ビリヤードの情報誌です。
こちらもタブロイド判で
毎号8ページの構成で、
価格は一部100円でした。
『日本ビリヤード新聞』は
日本ビリヤード新聞社という会社が
独自に発刊していたものですが、
こちらは日本ビリヤード協会や
当時のプロ団体、ビリヤード業者団体の
サポートによる発行体制だったようです。
ここで紹介した
昭和51年(1976年)8-9月号では、
その年のポケットビリヤードの大会、
『USオープン』に参戦する
角当哲朗選手、藤間一男選手、
田中守選手の紹介や、
小林伸明選手や藤間一男選手による
ワンポイントレッスンの
コラムなどもあります。
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◇ 昭和末期の刊行物『日本ビリヤード・タイムス』
こちらは昭和54年(1979年)に創刊された、
月1回発行の新聞のような
タブロイド判の印刷物です。
創刊時の定期購読料は
半年あたり2,700円で、
その後に年額5,500円となりました。
この頃になると、現在活躍中のベテランの
プロ選手の若い頃の記事が見られます。
画像2枚目&3枚目の
昭和58年(1983年)4月号(第52号)では、
『第33回 全関東スリークッション選手権』
の結果や、優勝した
甲斐譲二選手(現JPBFプロ)と
ご尊父の甲斐松穂選手の
写真とインタビューが載せられています。
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◇ 大会パンフレット
ビリヤード大会のパンフレットは、
一般の書店で売られるわけではなく、
大会会場や一部のビリヤード場だけで
取り扱いされる印刷物です。
そのため、特に古いものは古書市場にも
なかなか出てこないので貴重です。
最初のパンフレットは、
現在では兵庫県尼崎市で毎年11月に
開催されているポケットビリヤードの
『全日本選手権』の第4回大会が、
昭和46年(1971年)に京都市で
行われた時のものです。
この時は外国人選手の参加はなく、
その4年前に発足したプロ団体
『日本ポケットビリヤード選手会』(NPP)
所属の選手がほとんどだったようです。
なお、このパンフレットは
偶然にも古書店で入手したのですが、
3枚目の画像のように当時の入場券が
ホチキスでとめられています。
こちらも貴重な資料です。
次の黒いパンフレットは
昭和57年(1982年)に開催された
『全日本選手権』の第15回大会のものです。
会場は、今となっては懐かしい(?)
大阪・豊中市の千里中央駅前にあった
『セルシー』です。
紹介されている最初の選手は、
前年度チャンピオンの
奥村健選手(現JPBF)で、
続いて井上淳介選手、桜本守選手、
花谷勝選手、太田紘治選手など
当時を代表するプロ選手の名前があります。
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◇ 絵はがき
絵はがきの裏面に印刷されている
イラストや写真は、
当時の文化や風俗を伝えるもので、
熱心な収集家が多いジャンルでもあります。
1枚目のものは、東京・下北沢の老舗
『松山ビリヤード』の創設者で、
日本にスリークッションの競技を
アメリカから“輸入”したことで知られる
松山金嶺選手の絵はがきです。
2枚目のものには、明治末期から
昭和初期にかけて活躍した山田浩二選手が
セリー(キャロム競技で、的球と手球を
接近させて連続得点を狙う技術)を
している様子の写真があります。
3枚目のものには
犬がビリヤード(四つ球)をしているという、
不思議なイラストが描かれています。
大正から昭和初期の時代の逸品だと思われます。
4枚目は石川県の山中温泉の旅館が
作成したもので、旅館の中の
「撞球室」の写真があります。
おそらく昭和の戦後のものかと
推測されますが、当時は宣伝もかねて、
絵はがきに自前の施設の写真を
載せることが多かったようです。
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◇ おまけ:アサヒグラフの記事
当時の世相や流行を、
写真を中心に紹介する写真誌(画報誌)の
草分けとして知られる
『アサヒグラフ』(朝日新聞社 刊)は、
大正末期から平成の時代まで
刊行されていましたが、その中で当時の
ビリヤード選手にスポットを当てている
内容を紹介いたします。
最初の画像は、日本を代表する
女性ビリヤード選手である
桂マサ子選手が表紙に登場したものです
(昭和25年〈1950年〉 11月8日号)。
一般誌の表紙にビリヤード選手が
ここまで大きく印刷されるのは、
かなり特別なことではないでしょうか。
また、3枚目の画像はその前年の記事
(昭和24年〈1949年〉11月30日号)です。
当時のトップクラスのビリヤード選手を、
マッセをしている写真とともに紹介しています
(右上の写真から時計回りに森崎庫太郎、
天田章、森政吉、桂マサ子、川原滉、
小方浩也、松山金嶺、川邊潔の各選手です)。
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【古い印刷物編】はここまで。
I氏に不定期で執筆いただいた
本連載『ビリヤードメモラビリア秘宝館』は、
今回をもってひと区切りを
付けることとなりました。
I氏には2021年夏より約3年4ヶ月、
今回を含めて28回にわたって、
貴重な品々をご紹介いただきました。
連載は終わりますが、
今後も希少なものや色々な意味で
価値の高いものなどを入手されたら
ご紹介いただきたいと思っています。
これまでありがとうございました。
◇ 秘宝館連載 バックナンバーはこちらへ
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