〈BD〉「最後は『取り切れないかもしれない』という精神状態でした」――関東オープン連覇・河原千尋の談話

 

13日(日)の『関東レディースオープン』で、

連覇で通算5度目の優勝を飾った河原千尋。

 

大会翌々日にコメントをいただきました。

 

まるで2つの別の試合のように、

前半と後半で大きく異なる展開を見せた

決勝戦(vs 奥田玲生)を中心に

振り返ってもらいました。

 

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――決勝戦は目の離せない好勝負でした。試合が始まる時どんなことを考えていましたか?

 

河原:シーズン2連勝・大会2連覇がかかっていたので頑張りたいなと思ってました。

 

――河原プロが先行し、6-2で王手をかけました。良い試合運びだったのでは?

 

河原:そうですね。あのテーブルでベスト8(vs 谷みいな)を撞いていたので有利だったと思いますし、私の好きなコンディションだったのでボールの動きをイメージしやすかったです。1日を通してそこそこブレイクも当たっていたのもあって落ち着いて撞けていたと思います。

 

――たしかにブレイクが好調でした。あの引き+ヒネリのブレイクは練習していた形ですか?

 

河原:そうです。先月の『全日本女子プロツアー第1戦 in 千葉 BEEP』(優勝)ではブレイクに反省点がありました。皆9ボールのブレイクが上手ですし、もっとクオリティを上げていかないと厳しいなと感じていたので、もう一度9ボールのブレイクを見直そうと思って練習していました。

 

――決勝戦の後半は奥田プロに追い掛けられる展開でした。どんな心境でしたか?

 

河原:6-2から6-5までは出番らしい出番がなかったような記憶があって。試合動画を見返してみたんですけど、私がスクラッチしたり、セーフティをミスしたり、空クッションでオープンにしてしまったりと失敗続きでした。反対に奥田プロは失敗しないで取ってましたね。負ける理由は私の方が多くあったと思います。本当に今回はたまたま運勢が私に向いてくれたんだなと感じました。

 

――第12ラックは3番でのセーフティ合戦を経て、河原プロが3番から取り切り態勢に入りましたが……、

 

河原:私が8番を失敗してしまいました。あのマスを取れずにヒルヒル(6-6)になった時は「もう仕方がないな」と思ってました。

 

――最終第13ラック。河原プロは1番でセーフティをしましたが、上手く隠せませんでした。

 

河原:手球を6番の裏に隠したかったんですけど、それが出来なくて。あれは普通にミスです。

 

――奥田プロが1番から取り切り態勢に。

 

河原:配置的に2番→3番→4番まで行けば取り切られるだろうと思っていたので、奥田プロが4番を撞く時は「取られたな」と思ってました。

 

――しかし、4番を入れた直後、奥田プロが撞いた手球は9番にぎりぎり隠れてしまいました。

 

河原:客観的に「こんなことってあるんだ。本当におそろしいな」しか思ってなかったです。でも、今まで色々な大会で色々な選手が、同じような状況で空クッションで入れてから取り切ったり、セーフティを決めたりというのを何度も見てきているので、手球が隠れた時も何も期待はしてませんでした。ただ、もしフリーボールで回って来たらどう取るかだけは考えてました。

 

――奥田プロは5番空クッションでファウル。河原プロに残されたのは5番→6番→9番の3球。

 

河原:普段もうちょっと落ち着いている状態なら、5番を入れて手球を前に出して、6番を長フリ(=的球を入れたら手球が長クッションに入る側のフリ〈アングル、向き〉)に取って、9番にはライン出し(=的球のシュートラインに沿うような出し方)で出していたと思います。でも、座って考えている時から「ああ、今は6番は短フリにしか取れないな。いや、もしかしたら取り切れないかもしれない。5番6番を入れて9番で失敗するかも」というメンタルになってました。

 

――そんな精神状態だったとは。

 

河原:そこまで来てましたね。そもそもあの取り方はダメですよね。6番→9番の出しがショートしたら9番が薄くなるし、そうしたら本当に9番を飛ばしていたかもしれない。そういうミスは私自身も経験しているし、見てきています。ただ、あの時はあの取り方しかできない精神状態で、なんとかそれをやりきれたという感じです。

 

――ゲームボールを入れた時の心境は?

 

河原:シーズン2連勝・大会2連覇ができたことは素直に嬉しかったですけど、正直心はざわついてました。どうしても奥田プロの気持ちや初優勝の難しさみたいなものを考えてしまって。嬉しいけど、なんとも表現できない複雑な気持ちでした。

 

――決勝日の対戦相手は3人皆年下のプロでした(谷みいな、村松さくら、奥田玲生)。後輩と戦うのはどんな気持ちですか? 楽しさもありますか?

 

河原:楽しいです。いや、今言われて初めて「そういえば」と思ったぐらいで、年下とか後輩とか考えずに一人のプロ選手として戦っています。でも、年下のプロ達が活躍していると私もまだまだ頑張らなきゃなと思いますし、いい影響を受けています。

 

――3月の『全日本女子プロツアー第1戦 in 千葉 BEEP』から2大会連続での優勝。好調をキープできていますか?

 

河原:そうですね。大きな浮き沈みはなく一定のラインを保って来られていると思います。自分が取り組んでいるテーマを今回も試合で出せたと思いますし、新しい気付きもあったので、その強化に励んでいきたいです。

 

――国際大会の予定は決まりそうですか?

 

河原:6月上旬のWPBAツアー『ソアリングイーグル戦』(アメリカ・ミシガン州)と、7月上旬に初めて開催される『女子8ボール世界選手権』(アメリカ・ウィスコンシン州)に出られる予定です。8ボール世界選手権にはランキングで出られるだろうと思っていたので、前から8ボールの練習を始めていました。今ようやく球の多さに慣れてきたところです(笑)。8ボールはもともとあまり撞いてなかったですけど、嫌いな種目ではないです。しばらくは8ボール世界選手権に向けて全力を振り切るという感じですね。

 

(了)

 

Chihiro Kawahara

1985年1月5日生 

JPBA39期生

JPBA女子年間ランキング1位・11回

(2010年、2011年、2013年、2014年、2015年、2016年、2017年、2018年、2019年、2023年、2024年)

『女子9ボール世界選手権』準優勝1回(2016年)/3位1回(2024年)

『台湾 アムウェイカップ』3位(2016年)

アジアンインドアゲームズ銀メダル2回、銅メダル1回

『ミシガンオープン女子』3位(2023年)

『ACBSアジア女子9ボール』3位(2024年)

『ジャパンオープン』優勝2回(2013年、2015年)

『全日本女子プロツアー』優勝13回

『関西オープン』優勝6回

『東海グランプリ』優勝4回

『大阪クイーンズオープン』優勝4回

(※前身の『全日本女子ナインボールオープン』優勝3回(3連覇))

『セントラルレディースオープン』優勝2回

『九州レディースオープン』優勝1回

『北陸オープン』優勝3回

『関東レディースオープン』優勝5回

『全日本選手権』準優勝3回

『京都レディースオープン』優勝2回

その他、優勝・入賞多数

『アンセーズ』(大阪)所属

使用キューはEXCEED & MEZZ

使用タップは

スポンサー:BANDEL、Roi MARKETING DESIGN、西日本装建工業

 

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◇ 2025 JPBA女子プロ公式戦

 

1月『関西オープン』 ソソア(韓国)/河原千尋

3月『全日本女子プロツアー第1戦 in 千葉 BEEP』 河原千尋/平口結貴

今回→『関東レディースオープン』河原千尋/奥田玲生

 

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