(Page 1からの続き)
実験前に鈴木さんと打ち合わせ。
だいたい何kmぐらいを目安に
打ってもらうのが良いのだろうか……?
「一般的なビリヤード場の
テーブルコンディションだと、
まず、『10km台のブレイクはアウト』
だと思います。
最低限20kmは越えないとダメでしょう。
恐らく25km以上なら、
ほぼ毎回クリアできると思うんですよ。
とりあえず、20km~25kmぐらいの間で
打ち分けてみたいと思います」
すごい。さすがブレイク大好き鈴木さん。
スピード感覚が備わっているだけでなく
打ち分けることができる……と。
また、鈴木さんは成人男性としては
小柄で華奢と言っていい体格ですが
(細マッチョです)、
「20km~25kmというスピードは、
成人男性のビリヤード経験者ならば、
"体を動かさないブレイク"で
十分に出せると思います」
とのことで、
いわゆる『手打ちブレイク』で打っています。
では、早速、お願いします!
…………
●第1打目
(※下の表中の「第1打」も参照)
「まずはちょっと強めに……。
25kmぐらいで打ってみますか」
コッ、ガーン!
的球イン2個! ヘッドライン通過2個!
判定は「Good」!
スピードは?
「24.8km」。
…………
●第2打目
(※下の表中の「第2打」も参照)
「次はギリギリ弱く……20kmぐらいで」
コッ、カーン
的球イン1個! ヘッドライン通過0個……。
判定は「イリーガル」。
スピードは?
「20.6km」
「これは自分も弱いと思いました。
じゃあ、ここから少しずつスピードを
上げていきましょう」
…………
……ということで、以降、試打を繰り返し、
この2回を含む、
全10回のブレイクデータを表にしてみました。↓
スピードの「遅い→速い」の順に並べています。
さて、どうでしょうか。
テスト回数が十分とは言えませんが、
なんとなく、
「OK」の分岐点が見えてきましたね。
24.5km以上であれば、
少なくともこのテーブルでは、
イリーガルにならなさそうです。
しかし、
22.6kmでもクリアできた一方で、
それより速い23.6kmで
イリーガルになったという
ちょっとした逆転現象もありました。
この辺りは、
はっきり言えば運勢次第というところで、
「的球同士のキス(接触)の有無」
によるところが大きいです。
的球が十分なスピードでラインの方へ
走って行った……と思ったら、
他のボールとクラッシュし、
急減速あるいは方向転換した、
ということは非常によくあります。
それも見越した上で、
合格ラインを「24.5km以上」と
考えて良いと思います。
…………
表中の2つの「※印」について説明を。
まず、『※1』の「24.3km」のブレイクですが、
的球が1個入った後、
1番がサイドの「角」(つの)に引っかかって失速。
ブレイクラインをまたいだ球は1個だけで、
鈴木さんは「あちゃー」の顔だったのですが、
7番が本当にギリギリの転がりで
ポトリと落ちたのをBDは見ていました。
これでなんとか
「2個イン/1個通過」でイリーガル回避。
しかし、BDが伝えるまで鈴木さんは
7番インに気付いていませんでした。
「ギリギリ入ってたんですか(笑)。
24km台は『イリーガルになることもある』
スピードだということでしょうね」
(鈴木さん)
公式戦でも
「今のセーフ? イリーガル?」と
プレイヤー同士で顔を見合わせたり、
2人とも球の動きを見てなくて
確認に手間取ったりすることは
割と見かける光景です。
皆さんもご注意を。
…………
次に『※2』の「26.7kmブレイク」ですが、
これは、
「1個イン/2個通過」という数字だけ見ると、
特別パワフルなブレイクには感じられませんが、
1番はブレイクエリアに入って
短クッションで楽々と折り返し、
もう一つの的球は、他の球とキスしてなお、
余裕でラインを越えてきました。
ブレイク音だけでもう、
数えなくても大丈夫な気がするブレイクでした。
「安全に安全を重ねるなら
26km以上出しておくといいい
ということなのかもしれないですね」
(鈴木さん)
…………
数字だけではスピード感が伝わりづらいと
思いますので、動画も2本載せましょう。
まず、22.6kmと遅めだったけれど、
とても的球の散りが良く、
2個イン/1個通過だったブレイク。↓
「スピードが遅めでも、
『イリーガルにならないこともある』
という良い例かなと思います」
(鈴木さん)
…………
もう一つは、
「イリーガルを回避するであろう
最低限のスピード」の中で、
ヒット感、的球の散り、手球コントロール、
3つのバランスが最も良いと感じた
1個イン/3個通過の24.5kmのブレイク。↓
…………
これら2本の動画では、
鈴木さんはプレーキューでブレイクしています。
その点も含めて、
ビリヤード経験がある程度以上ある
成人男性であれば、
●プレーキューで
●身体を動かさない「手打ちブレイク」で
●手球コントロールを意識しながら、
スリーポイントルールをクリアすることが
十分に可能だということもわかります。
つまり、「コントロールブレイク」
(「パターンブレイク」)の抑止力としての
効果の程は若干疑問……
という、また別の結論が
導き出されてしまった感もありますが、
女性やブレイクが不得意な人だと
25kmぐらいが
一つの"壁"であると言えますので、
本稿はそういう方々にお届けします。
……ということで、BDの暫定的結論。
「スリーポイントルール採用の試合では、
24.5km以上でブレイクをすれば、
イリーガルになりにくい。
26km以上ならまず間違いない」
ただし、特設会場など、
新(さら)ラシャが張られていて、
転がりが速めに設定されている
コンディションのテーブルなら、
もう少しブレイクスピードが遅くても
大丈夫でしょう。
以上、長くなりましたが、
参考にしてもらえたら幸いです。
テストデータをもっと取って、
第2弾をお届けする…………かもです
(鈴木さん、その時はまたよろしくお願いします)。
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