僕がビリヤードを始めた時、
そこに当たり前のようにあった名前。
アール・ストリックランド。
初めての海外出張で行ったイギリス。
目の前で世界選手権を優勝して、
テーブルに土足で飛び上がって、
「Yeeeaaaahhhh !!!!」と吠えた人。
圧倒的なまでの球ヂカラと目ヂカラ。
プールの本場・アメリカを体現する
強烈なパワー感。
そのオーラと態度は「帝王」。
誰が言ったか日本では「スト様」。
感情の起伏が激しく、
御乱心遊ばすこともしばしばで。
そんな彼を
世界の多くの人が「ヒール」扱いして、
遠巻きに眺めている状況も、ある。
ある日本のトッププロはスト様をこう評した。
「ビリヤードが神がかり的に上手い、子供」
腑に落ちる。
一方で、
また別のトッププロの言葉も忘れられない。
「ストリックランドが組むラックはいつも
綺麗だった。よくマスワリさせてもらった」
木のラックで相手が組む時代の話だ。
納得できる勝負を、それができる環境を、
どこまでも求めて止まない
アメリカンナインボールモンスター。
馬力に物言わせた
「ボールに言うこと聞かせる系」の
あの豪快なランアウト、また見たいな。
あの甲高い声での悪態も、また聞きたい。
(BD)
私がビリヤードを始めて最初に
大ファンになったプレイヤーは
エフレン・レイズと、ストリックランドです。
ですので、描いていて感慨深い思いでした。
良く「両雄並び立たず」などと言いますが、
当時の彼とレイズは「並び立って」いました。
ストリックランドがいたからこそ
レイズもより強く輝けたと思っています。
今の彼に全盛期の輝きはないですが、
今でも眼力は健在ですね。
あの頃の彼は
ワルの後光で眩しいくらい輝いてました。
(オカヒサヨシヒロ)
Earl Strickland
1961年6月8日生
アメリカ合衆国・ノースカロライナ州出身
『US OPEN』5勝、『世界選手権』3勝。
他、大小合わせて数えきれないほどのタイトルを持つ、
アメリカが生んだトッププレイヤー。
ニックネームは「The Pearl」。
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