現在20歳、
国内女子アマポケットビリヤード界で
注目を集める小西さみあ選手は、
小学4年生でビリヤードに出会った。
もちろん初めは親に連れられて。
訳もわからずに遊んでいただけだった。
ビリヤードを純粋に楽しいと思った記憶が
あまりないという当時の小西選手が、
プレイヤーとして目覚めていく過程とは?
取材・写真・文/B.D.
取材協力/AZ. Place
――初めてのビリヤードはいつでしたか?
「小4の時だったと思います。高田馬場の『シチズンプラザ』で(ボウリングやスケートリンクがある複合施設)。まだお店にビリヤードがあった頃です」
――ご両親と?
「そうです。父は元々四ツ球をやっていたことがありました。ある時、両親が『ビリヤード、やろうか』という風になって、私はただ連れて行かれた感じでした」
――どうでしたか? 初体験は。
「全く訳もわからないままプレーしていたので、10分ぐらいで『帰りたい』って言ってましたね(笑)」
――その後は?
「何回か家族でそこに行きました。私は半強制的に引きずられて行った感じでしたけど(笑)。楽しいと思う以前に、『まだ帰れないのかな?』と。それと、困ったのがタバコですね」
――ああ、そうですよね。
「小学生にはとにかく臭いがきつかった。あの臭いにはずっと慣れなくて、そんなに積極的にビリヤード場に行きたい訳ではなかったです」
――それからは?
「シチズンプラザに行ったのは数えるほどで、それから『山水』(高田馬場)に行くようになりました。その時私は小4の終わりか小5だったと思います」
――場所を替えたのは何かきっかけが?
「兄が山水のことを教えてくれたので。そして、山水には松野剛明プロ(JPBA)が専属でおられたんですが、松野プロが個人レッスンを始めるということで受講してみたんです。それが、小5の終わりぐらいですね」
――習い事みたいなノリですね。
「そうです。週1のレッスンだったかな。でも、レッスンがない日も山水に行ってましたし、松野プロはお店にずっといらしてたので、なにかとお世話になっていました」
――その頃にビリヤードの楽しさに気付いたとか?
「どうだったんでしょう(笑)。あまり覚えてなくて。楽しいなと思えるようになったのは……小6ぐらいかな。BC級戦とかマンスリーとかに出始めたんですよ。そこで、なんとなく球が入るようになってきたり、1回勝てたりした時に、嬉しさを感じていた……はずです。今思えば(笑)」
――より競技志向になっていくのはその後?
「はい。中学に入った時ぐらいに『もっと本格的にやろうか』と松野プロに言われて、レッスン内容も変わってきましたね」
――松野プロはどんな先生なんですか?
「その頃、私はまだ小さくて難しい言葉とかは理解できなかったけど、松野プロは丁寧に噛み砕いて教えてくれました。叱られた覚えはないですね」
――レッスン内容は?
「主にショット練習でした。松野プロオリジナルの課題配置というのがあって、撞点や球の動きが書かれた紙をもらって、それを繰り返し撞いていました。紙をまとめ続けていたら、ファイルが分厚くなりました(笑)。あの頃に基礎を重点的に練習できたから、他の台で撞いても対応できる力が付いたと思います。松野さんに教えてもらえてすごく良かったです」
――縦の撞点が上手くて、テーブルコンディションに左右されにくいスタイルですよね、小西さんは。
「まだまだですけどね(笑)。でも、先に縦の撞点でのボールコントロールを徹底して練習してきたのが良かったんだと思います。ヒネリは後で覚えました。今でも上下の撞点でコントロールする方がイメージしやすいです」
――フォームは昔と今とでは違う?
「松野プロに教わる前に、同じ高田馬場の『ビッグボックス』(※既に閉店)で、週1ぐらいでグループレッスンを受けてたんですが、その頃はフォームは好きにやってました。でも、松野プロに教わるようになって、イチから作り直しました。お陰で安定したと思います」
――小中学生だった頃、印象に残っている練習はありますか?
「山水に行き始めた頃だから、小4か5だったと思うんですが、お店のスタッフさんが『センターショット』を教えてくれたんですよ。やってみたら割と球が入って、「あ、入る!」って思ったことは覚えてますね。当時はまだ、しばらく撞いたら『もうやめる』って言っていた頃。なんだろう、センターショットはできたら嬉しかったのかな(笑)」
――松野プロに教わっている時も、大好きでやっているという感じではなかった?
「うーん、まだビリヤードに対して特別な感情はなかったかな。だんだん試合で成績を残せるようになって、そこから嬉しくなった感じです。私、学校では色々な行事をちゃんとやっていて、生徒会もやってたんですけど、終わってからすぐ練習に行ったりという生活で。だから、『行きたくないなぁ』って思う日もあったけど、それでもサボらずにいっぱい撞くことができたのは、今となっては良かったと思います。親が色々と支えてくれたお陰もあります」
――少し義務感みたいなものもあったんですね。
「そうですね(笑)。中学の頃は、楽しさよりも『これを頑張らなきゃ!』が先だったかな。でも、続けてきたということは、今思うと楽しいことがあったんでしょうね。楽しさということでいえば、最近はビリヤードが楽しいと思える時がどんどん増えてきています。大学生になって自分の時間を自分で決められるようになってきたせいか、『球を撞きたい』という欲求に合わせて自然にビリヤードができる感じになってきていますね」
小西さみあ選手はこんな人→
国内女子ポケットビリヤード界
トップクラスの大学生アマ選手
2014年全日本アマチュアナインボール選手権
(通称:アマナイン)優勝
2013年&2014年全関東2連覇
世界女子ジュニア5回出場(最高位は銀メダル)
他、優勝・入賞多数
1994年1月18日生、東京都出身・在住
女子美術大学アート・デザイン表現学科
メディア表現領域3年生
プレー歴は約9年
練習場所はAZ.Place、Triggerなど