2014年新春。
将来性溢れる20歳の
スリークッション(3C)プレイヤーが
JPBFプロとして新しい一歩を踏み出した。
その若者の名は森雄介。
全日本選手権者である森陽一郎の息子であり、
世界的名手のサンチェスや梅田竜二が教え、
日本3C界全体がその成長を見守ってきた
「日本の希望」そのものでもある。
そんな森を2014年1月5日、
つまり、プロ入り5日目にキャッチ!
写真・文:B.D.
森プロはこんな人→
Yusuke Mori
JPBF最年少プロ(2014年現在20歳)
1993年10月15日生・O型・天秤座
アマチュア時代戦績:
2012年全日本アマ3C準優勝
2012年全関東アマ優勝
世界ジュニア3C・7回出場(最高位はベスト8)
所属及び勤務地:
『ヤマニ』(東京都江戸川区)、
『アレナ』(東京都練馬区)
ビリヤード歴:3Cは7年・ポケットは11年
使用キュー:ロンゴーニ
――なぜ、2014年の今、プロ入りを決めたんでしょうか?
「特にこれといった理由はないんです。ただ、2013年はアマチュア公式戦には一つも出てなかったんです」
――そういえば、結果表でも名前を見ませんでした。
「それでプロのオープン戦に出ていたんですけど、やはり自分はこういう高いレベルの試合が面白いと思いましたし、そうなるとアマチュアでいる意味もあまりないなと。プロに見合う力が付いたとまではいかないですけど、そこに近付けたかなとは思っています。それと周囲の方に『早くプロになったら?』と言って頂くことが多かったというのもあります」
――「いつかはプロになるだろう」という気持ちは以前からあったんですよね。
「はい、なんとなくは。以前は『20歳までにはなる』と思っていました」
――おお、まさにそうなりましたね。
「それは小学生の頃ですけどね。しかも、ポケットの方のプロですけど(笑)」
――あらっ(笑)。
「ついでに言えば、何年か前までは『25歳までに世界チャンピオンになる!』って思っていました。これは3Cです」
――「思っていました」って過去形にしないで下さい(笑)。まだ十分間に合いますから。さて。お父様もプロ(森陽一郎プロ)ですが、プロ入りを相談することはあったんですか?
「ほとんどなかったですね。元々、うちはあまり家族会議とかをしない家で(笑)。例えば僕は高校卒業後、大学に行ってないんですが、その時にも僕の決断について何かを言われたりはしていません」
――では、「プロになる」と報告した時はどんな反応でしたか? 激励されましたか?
「いや、激励とかは特にないですね。ただ、『プロになったら、態度や行いなどには気を付けなさい』とは言われました」
――お父様は師匠という訳ではないのでしょうか?
「うーん、微妙ですね(笑)。師匠ではないかな。僕の師匠は、D・サンチェス(スペイン)と梅田竜二プロです」
――スペインと日本を代表する世界チャンピオンが師匠とは素晴らしい(※アマ時代、スペインに短期ビリヤード留学をし、サンチェスに師事していた。日本では梅田プロに師事)。ところで、具体的にはどうやってプロになったのですか?
「僕の場合は、小林伸明先生と梅田プロというJPBFプロ2名の推薦を頂いて、必要書類を東の役員会に提出し、そこで承認を得ました。そういった手続きを2013年中にやっておいて、2014年1月1日からプロになったという感じです」
(※編注/JPBFに確認したところ、森プロの「プロ2名の推薦を得て……」という入会方法は、「準会員」としての一般的なもの。多くのプロ希望者が、まず準会員として入会し、1年~数年で昇格条件を満たして「正会員」となる。初めから正会員として入会する方法もあり、それには実技試験で合格するかアマ時代の優れた戦績が必要となる。準会員だからと言って、何らかの不利益や区別が発生することはほとんどない。「正」と「準」の細かい違いなどはいずれ別稿で)
――さて。プロとして迎えた初めてのお正月の感想は?
「特別何かを思ったりはしなかったですね。大晦日も朝までビリヤードをしていましたし。これはカウントダウンの恒例行事みたいなもので、もう10年ぐらい続けて毎年やっています」
――これからどんなプロになっていきたいですか?
「皆さんに『観ていて楽しい』と思われるようなプレーができるプロです。視聴率が高い……というか一番見られる選手になりたいです。僕の中で、プロっていうのはお客さんの存在なくして成立しないものです。だから、お客さんに楽しんでもらえる選手になりたいです」
――プロとして、具体的な目標は何かありますか?
「初年度のランキング10位以内ですね。そして、将来的にはやっぱりランキング1位と、『全日本選手権』と『ジャパンカップ』を獲りたいです。あと、これはプロとは関係ない目標なんですが、9月に予定されている『世界ジュニア3C』でメダルが欲しいですね。あわよくば金メダルが欲しいです」
――まだ年齢的にギリギリ出られるんですね?
「はい、今年で最後です。僕は確か7年連続で出ているんですけど、過去最高はベスト8で、メダルがないんです。なので今回こそはメダルを獲りたいですね」
――その世界ジュニアでは最年長選手になるでしょうけれど、JPBFプロとしては最年少ですね。次に若い室谷佳秀プロとは8つ離れています。
「8つも離れてましたか。でも、それだけ若いプロが少ないということは、日本で全体的に若い選手が少ないということですし、やっぱりちょっと寂しいですね。お隣の韓国はスリークッションがすごく強い国なんですが、とてもジュニアの選手が多くてレベルも高いんですよ。見てると羨ましいですね」
――それはもう、雄介プロ自らがさっき言ったように、視聴率が高いプロになって日本で憧れの的になるべきですね。
「そうなれたら良いですよね!」
――さて。公式戦ではないですが、2014年のお正月に『ルーツ』(阿佐ヶ谷)の大きなハウストーナメントで優勝したそうですね。
「はい。プロの方数名と、『全日本アマ』で優勝しているようなトップアマの方々も多くいるレベルの高い大会でした。ハンデ戦だったので、初めて『アマチュア選手に試合でハンデを出す』という経験もしました」
――プロ初年度、幸先の良いスタートですね。
「そうですね。良かったです」
――ランキング対象試合の一発目は2月の『東京オープン』になるんですか?
「はい、そうです。1月に予選があります。僕は予選を突破するだけでなく、本戦でベスト4を目標にしています。目の前のゲームに集中できるように頑張っていきたいと思います!」
――期待しています!