例年通り、JPBAプロ公式戦では
高いアベレージを維持して、
年間ランキング2位で
2013年シーズンを終えた羅立文。
しかし、あと一歩のところで
勝利を逃した試合もいくつかあり、
今年の優勝回数は「ゼロ」。
失意の中で過ごす日々もあった。
その羅が、
2013年最後の大イベント
『フレクシェカップ2013』
(「プロフェッショナル・ゲームズ・オブ・プール」
シリーズ第一弾イベント。プロランキング対象外の大会)
で、完全に復調して優勝を決めた。
ギャラリーの視線を力に変えて。
表彰式では目に涙を溜める姿も見せた羅。
その胸中とは?
写真・文:B.D.
●今大会の結果
(ナインボール9ゲーム先取。
ファイナルのみ13ゲーム先取)
Best 16 W-6 菅谷慎太郎
Best 8 W-7 塙圭介
Semi. F. W-5 大井直幸
Final W-7 田中雅明
――優勝、おめでとうございます。
「とてもとても嬉しいです。僕の地元、横浜で開催された、こういう素晴らしい大会で優勝できてすごく嬉しいです」
――その喜び、表彰式でもとても良く伝わってきました。
「2013年はプロの大会で一回も優勝ができませんでした。だから、いっぱい悩みましたし、技術的なことやメンタルのことなど、色々なことを取り入れました。この優勝は、苦しい時期も含めて一年間頑張ったご褒美だったのかなと思っています」
――大会前にも話を聞かせてもらいましたが、タイムルール(40秒のショットクロック)は気にせず撞けましたか?
「はい、大丈夫でした。全然問題ないです」
――ファイナルを観ていると、すごく良い集中状態に入ってどんどん調子を上げてきていましたね。
「そうですね。最近は色々な経験をして、研究もした結果、試合を今まで以上に楽しめるようになってきました。もちろん、『僕はいつでも勝てる!』という強い気持ちも持っていますし、同時に、心の余裕も持っています。今回の試合でも良い精神状態になれていたと思います」
――大会について感じたことを聞かせて下さい。初めてのフレクシェカップ、いかがでしたか?
「とても良い大会だと思いました。スポンサーのフレクシェさん、主催のJBプロモーションズさん、そして、JPBA東日本(主管)の皆さんのチームワークと頑張りを感じました。ビリヤードの試合が『クイーンズスクエア横浜』という大きなショッピングモールの中で開催できるということは、本当に素晴らしいことですし、お客さんもいっぱいいましたよね」
――ええ、多かったですね。
「その中で自分は最高のプレーができたと思うので、この舞台を与えて下さったことを感謝しています」
――今回、ビリヤードをやらない人もたくさん試合を観ていましたね。
「はい。すごく新鮮な気持ちでプレーできました。初めはプレッシャーもありましたけど、そこを乗り越えて、自分が良い球を撞けていれば、ギャラリーの視線は力に変わります」
――その通りでしたね。あの空間を楽しんでいるように見えました。
「僕、試合のない時は吹き抜けの上の階にいたんです」
――ああ、そこからギャラリー目線で他のプロの試合を見学していたんですか?
「あ、少し違います。観ている人に大会のパンフレットを配っていたんですよ」
――えっ! それは知らなかったです。
「おじちゃんおばちゃん、若い人……たくさんの人に配りました。
もちろん知り合いの人じゃなくて、全然知らない初めての人達です。『どうぞこれを見て下さい。ルールと選手のことがわかりますよ!』と話し掛けて、50人ぐらいに渡したと思います」
――それは本当に素晴らしい。
「受け取った人は皆、興味を持ってくれました。『へえ、プロの試合なんですね』とか、『ここにいるのが日本のトッププロ達なんですか。すごい!』と言っていましたよ。話をしながら一緒に試合を観たりもしました。土曜日の朝、大井直幸プロと栗林達プロが当たって、大井プロが勝ちましたよね(ベスト16)。あの時の大井プロを観てた人は驚いていました。早いリズムでどんどん球を入れていくから。『何この人、すごい!』って(笑)」
――それは貴重なエピソードですね。でも、ファイナルの時は、羅プロが「すごい!」と言われていましたよ。
「ああ、それは嬉しいです(笑)。やっぱりそうやって、ビリヤードをしない人にもたくさん観てもらいたいですよね。そのために僕は何ができるのか?……それは良く考えています。僕は、ビリヤードをプレーするだけじゃなく、自分でどんどんできることをやって、このスポーツを宣伝したいです」
――いや、もう「素晴らしい」しか言えません……。しかし、羅プロはタフですね。大会直前までロード生活(Kiethandyの仕事であるチャレンジマッチツアー)をしていて、終わってすぐにまたロードなんですね。
「はい、皆、ロードは『大変な仕事』というイメージを持っていると思います。毎日移動して、違うビリヤード場でたくさんの人とプレーしますから。でも、僕は本当に良い仕事だと思っています。ロードのお陰で毎日成長できているし、試合のための最高の調整になっていますからね」
――わかりました。最後に来年(2014年)の目標を教えて下さい。
「2013年のJPBAランキングが2位だったので、来年も海外の試合に行ける権利は今年と同じぐらいはあると思います。やっぱり世界選手権に勝ってワールドチャンピオンになりたいですね!」
――ありがとうございました。
羅立文プロはこんな人→
2010年JPBAランキング1位
全日本14-1優勝2回
ニックネームは「Rolex」。
1978年7月10日生まれ。
台湾出身&神奈川県在住
JPBA(日本プロポケットビリヤード連盟)43期生。
所属・スポンサーは、
Keithandy、Just Do It、UK Corpration
※フレクシェカップに関してはこの辺りに
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