〈BD〉「SBE 2024レポートその2【展示販売キュー・人物編】」――Detective “K” season 8 episode 07

 

~4/22公開の【その1】より続く~

 

私の名はDetective K。

ビリヤードキューの調査を引き受ける探偵だ。

 

2024年4月11日から14日。

 

アメリカのペンシルバニア州オークスに

ある会場、『グレーター・フィラデルフィア・

エキスポ・センター』にて開催された、

 

年1回の『スーパービリヤードエキスポ』

(SBE)レポート。

 

今回はオレの本業である、エキスポの華、

キューの調査報告。

 

まず今回は、

人物にスポットを当ててレポートしたい。

 

展示メインの

インターナショナル・キュー・コレクターズ・ショー

(ICCS)とは異なり、

SBE会場内のキューはほぼ全て販売対象。

 

キューメーカー、

キューディーラーから気に入った1本

(複数本でも構わないが)を購入可能。

手持ちのキューの売却やトレードもアリ。

 

限られた時間と空間の中、

手持ちの予算を計算しつつお目当ての1本、

掘り出し物の1本を手にするため

徘徊するマニアたちは、

エキスポの重要な構成要素。

 

その存在なくして、エキスポの成長は

なかったとオレは思う。

プレーだけがエキスポの目的ではないのだ。

 

そんな交渉上手なマニアたちや、

プレイヤーの買い替え需要を狙って、

多くのブースがキューを展示販売する。

 

金額が大きい商談になるため、

各業者にとって真剣勝負の場に他ならない。

 

******

 

よくある物販ブース。ここでコグノセンティが売られているなどと誰が思うだろうか?
よくある物販ブース。ここでコグノセンティが売られているなどと誰が思うだろうか?

 

会場内でキューが買える場所は、

大きく分けて3つ。

 

キューメーカー、

キューディーラー、

ビリヤード用品業者、の各ブースだ。

 

全てのブースを合わせると、

1,000本以上のキューが売られているが、

数の多さに圧倒されていてはいけない。

 

「こ、これは!」と思うような1本が

どこにあるのか、全体を俯瞰する眼と、

微細な違いを見分ける眼の両方が必要だ。

 

「このブースには何かニオイがする」的な

野生の勘を養うには、

失敗や後悔も含めた経験が必要だ。

 

キューメーカー、Doug Beasleyと彼のブース。カスタムメーカーは10本程度の展示販売が多い
キューメーカー、Doug Beasleyと彼のブース。カスタムメーカーは10本程度の展示販売が多い

 

まず、キューメーカーは、

大手から少量生産メーカーまで、

ブース数はおよそ36。

 

新作モデルの販売が基本だが、

オーダーやリペア、追加シャフト製作などの

相談にも乗ってくれる。

なにより製作者本人に会えるのがうれしい。

 

1枚目=キューディーラー、Four Kings Cueのブース。貴重品は金属とガラス製のケースで保護。2枚目=For Kings Cueの主宰者Kenny Carfagno。現在ザンボッティの取扱いでは彼の右に出る者はない

 

 

次に、キューディーラーは7業者が出展。

 

ヴィンテージキューをメインとする業者、

来場しない少量生産メーカーの作品を

揃える業者など得意分野が異なる。

 

品ぞろえをチェックしているうちに、

「どのメーカーのキューを揃えるのが得意」

なのかが見えてくる。

 

エキスポ終盤になると、

キューメーカーが展示していたはずの

新作を仕入れて販売することもある。

 

1枚目=ビリヤード用品販売業者、Omega Billiards。チャラそうなブース(笑)に驚きの逸品が潜んでいる。2枚目=Omega Billiardsのブースに足を踏み入れるとTonkin、Black Boar、Ginaなど超高額キューがさらっと売られている

 

 

そして、ビリヤード用品業者は、

エキスポに欠かせない物販ブースの花形。

 

キューがメインとは限らないが、

高級モデルや珍品を扱っているところもあり、

油断できない。

 

量産メーカーの旧作デッドストックを

探すならこれらのブースに限る。

 

1枚目=リペアブースにも売り物が並んでいることも。Dan Dishaw。2枚目=「なんだKか、久しぶりだな。キュー買うならサービスするぜ」(リペアマンのDan Dishaw)

 

 

また、販売用のキューを展示している

キューリペアブースもある。

 

まぁ元キューメーカーの

ダン・ディーショウなのだが(苦笑)。

 

キュー販売に熱心ではないものの、

顧客からの委託品を売ることもあり、

掘り出し物を探すためには素通りできない。

 

******

 

「キュー探偵」といっても、

エキスポ参加は6年ぶり。

 

キューメーカーは世代交代が進み、

若手メーカーや欧州・中国のメーカーが台頭。

 

クオリティ面でも水準が高まり、

カーボンシャフトもずいぶん普及している。

 

時代遅れのオレのことを、

メーカー・業者は覚えていてくれた。

 

また、初対面であっても身構えることなく、

皆気さくに話せる好人物ばかり。

 

やはり探偵業は足を運んでナンボ、

直接会って交流すること自体、

重要な仕事だと痛感したぜ。

 

そんな愛すべきメーカー・業者たちを

一挙に紹介しよう。

 

pfdのPaul Drexler。1995年からの知り合いだが、今や巨匠と呼ばれるベテランだ

 

リチャード・ブラック直系の弟子、John Bender。いつでも笑顔の気さくな紳士

 

今回最もぶっ飛んだキューを展示したCory Barnhart。実直な性格の持ち主だ

 

若手メーカーの注目度No.1、シェルビーキューのShelby Williams。一見強面だが実はナイスガイ

 

ニッティキューのChris Nitti。クラシックなスタイルのデザインは健在。いつも親切にしてくれる

 

エリオットキューのDavid Elliotはクリス・ニッティの娘婿。期待の若手キューメーカーだ

 

二代目が手伝うMike Capone。二代目のファーストネームもMikeらしくややこしい

 

ドイツのメーカー、Authur QueueのMarcus Dentiest。こんなオレと気が合う、茶目っ気たっぷりのヤツ

 

キューメーカー殿堂入りを果たしたJerry McWorter。日本人は皆、彼の世話になっている

 

面倒見がよく何かと世話になるトレッドウェイキューのJosh Treadway

 

新進気鋭・超高級メーカーのアスティルキュー。作者のAaron Astileは、強気の値付けとは対照的にフレンドリー

 

高品質の中国製ブランド、CUE LEE'SとO'MINのとても友好的なスタッフ

 

オレが長年に渡り、一番会いたかったMariposa CueのKyle Van den Bosch。親しみの持てる好人物だった

 

名匠Barry Szambotiは来場せず、ポスターで参加

 

******

 

エキスポにおけるキューは、

アメリカン・メーカーの互助組織である

アメリカン・キューメーカーズ・アソシエーション

(ACA)の存在抜きには語れない。

 

ブースエリアの中心を占め、

共用の試打用テーブルを設置し、

入場者投票によるキューコンテストを開催。

 

また、キューメーカー殿堂

(Cue Maker’s Hall Of Fame)の

選定を担っている。

 

キューコンテストの展示・投票ブース。木曜~土曜の投票で1位~3位を決める
キューコンテストの展示・投票ブース。木曜~土曜の投票で1位~3位を決める

 

キューコンテストは、

各メーカー1本ずつの出品で、

投票用ブースではメーカー名は明かされない

(まぁ、見れば大体わかるのだが、

一応ルールだ)。

 

各メーカーとも相当に入れ込んで製作した

超高級モデルで勝負するため、

入場者の関心は高い。

 

1枚目2枚目ともにACAキューコンテストの出品作

 

 

キューコンテストのディスプレイ台は

今年から電化、キューが回転するようになった。

 

ところが、現地悪天候による落雷のため

会場全体が停電。電化したため

トラブル発生となった(苦笑)。

 

 

投票は土曜日夕方に締め切られ、

夜8時から招待制で行われる

ACA晩餐会で結果発表。

 

オレを始め、UKコーポレーション大原氏、

“酔爺”、骨董グッズコレクターI氏、

そして、札幌のコレクター松實信之氏の

日本人グループは、

招待状無しでも出席して問題なかった。

6年経っても、顔パスは効いた(笑)。

 

ACAキューコンテストの受賞者。優勝Brandon Jacoby(中央)、準優勝Joe Pechauer(左)、3位Eddie Cohen(右)
ACAキューコンテストの受賞者。優勝Brandon Jacoby(中央)、準優勝Joe Pechauer(左)、3位Eddie Cohen(右)

 

キューメーカー殿堂入りは、

ジェリー・マクウォーターとサムサラの

2メーカー。

 

サムサラはジム・スタダムと

デイブ・ドーセットの2人組なのだが、

D・ドーセットは

2023年12月29日に68歳で逝去。

J・スタダムも体調を崩していたため、

製作本数は極端に減っていた。

 

1枚目=キューメーカー殿堂入りを果たしたジェリー・マクウォーターと家族。2枚目=キューメーカー殿堂入りを果たしたサムサラのジム・スタダム(中央)と2人の息子

 

 

両メーカーとは、約30年前、

オレがキュー探偵となるきっかけを

与えてくれた時からの付き合い。

 

今やカスタムキュー史の一部となった

数々のイベントや作品を考えると

感慨深いものがある。

 

******

 

次回も引き続きエキスポレポート。

超絶キュー・変態キュー等々の紹介だ。BD!

 

※ SBEレポートその1【概要速報

※ SBEレポートその3【キュー調査報告編

 

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Detective Kとは? 過去記事は?

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